Y君とはすぐに別の話題になり、この車の話題はそれっきりなりました。しかし時は流れ、このドラマの放送回がビデオ化されたのです。何しろビデオは高く1泊2日のレンタルがせいぜいでした。
添付の写真の鮮明な様子ならまだしも、一時停止は画面が乱れ、テープにもよくありません。しかし、明確に分かったことがあります。この車は、「左ハンドル」なのです。従って、ブルーバードでもサニーでもクラウンでもないことだけはわかりました。
海外の車であることはわかりましたが、こんな車は見たことがありませんし、私も海外の車の知識は不十分です。せいぜい、カーグラフィックTVで特集されたものを見ることで精いっぱいでした。不十分な知識の中で、以下のように予想しました。
ドイツ
BMW1500の廉価版:中央のマークはキドニーグリルに用にも見えましたし、1500シリーズのキドニーグリルは控えめだったような記憶があったため。
オペルの車:オペルの車は、カデット以外ほとんど知らないため一応候補とする。
イタリア
アルファロメオジュリアの廉価版:内側ヘッドライトが規格型ライトよりも小さく見え、外側ヘッドライトが大きいだろうと考えたため。
ランチアフルビアのセダン:カーグラフィックTVで見たランチアフルビアがこんな感じの四灯式ライトのマスクであり、セダン版があればこんな感じだろうと思ったため。
イギリス
MGの車:MGの車はほとんど知らないため。
ヨーロッパフォードの車:ヨーロッパフォードの車はほとんど知らないため。
予想を立てたところで、当時は車の写真を調べることは、ほとんど困難でした。唯一、古い車雑誌を販売している「リンドバーグ」というお店に行き、雑誌をくまなく見るよりほかありませんでした。カーグラフィックの編集部にでも手紙を出せばすぐにわかるのかもしれませんが、そもそもこの映像を正確に模写することは、私にはできませんでした。
ドラマのワンシーンが気になる程度で、そんな時間を取るほど暇ではありません。ここでまた、追及をあきらめることになったのです。
事態が変わったのは、その数年後です。私は、輸入車の部品を下す会社に勤務していました。その時も同じように「カーグラフィックの…」と思ったのですが、周囲には「車体番号を読んだだけで、車の形状とよく出る部品番号を空で言える」ようなY2さんという人がいました。
まず話しやすいFさんという方に聞くと、
「この仕事を何とかやっているだけで、車のことは何も知らないんだよね」
と、言われました。
ふとある日、ふと仕事が楽になる瞬間があり、取引先のオペルとBMWの輸入老舗の仕入れ先に
「外側ヘッドライトが大きく、内側ヘッドライトが小さく、背が高いセダン」
を描いて尋ねると、
「そんな車ありません」
と言われ、BMWとオペルの線はなくなりました。
そこで今度はY2さんに尋ねると、
「外側ヘッドライトが内側ヘッドライトより大きいのね?」
と確認後、
「ルノーゴルディーニだよ。これ速かったんだよなあ!」
と、うれしそうな顔をして答えるのでした。いつもは部品番号しか口にしない人の、人間的内面を垣間見たような気がして私もうれしくなりましたが、なんとなくですがルノーのデザインではないような気がしたのです。
その一方で、ボディサイドがプジョー504のようにも見え、プジョーの当時のミデアム級セダンも考えなければならないような気がしてきたのです。
結果として、「カーグラフィックTVのオープニングにクレジットされる、全自動車メーカーの車種をすべて検証しないとダメか。」
と落胆したのです。
いかがでしたか?先日の動画でも二台目のドライバーははっきりと左側に座っています。ワイパーも左ハンドル用です。スモールライトもヘッドライト脇にあります。車に興味がない方にも聞いてみたのは、むしろ車のことを知らない人の方が、記憶の中から似たような車を思い出して勝手に結び付けたりしない分、正確に見てくれるかな、と思ったためだったのです。
つづく
Posted at 2023/09/25 22:44:03 | |
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