「働かないおじさん」が話題になり始めたのは、2018年頃だったかな?当初は、「新入社員は、話しかけてくるおじさんに気をつけろ!社内で疎まれている存在の人かも?」という内容だったと思います。そのおじさんは社内ではヒマなので、そのおじさんの言うことを聞いていると新人がダメ人間になる、という理屈でした。
そこから始まり、今やある年代以上の男性労働者は働かないかのような言われっぷりです。しかし、私の記憶では、働かないおじさんもいますが、働かないおばさん(歴史的都合で少数)、働かないお兄さん、働かないお姉さんもいましたよ。
また、働かないおじさんを書くインターネットニュースでは、「全く働かない」おじさんとして書かれますが、私が今まで出会った働かない人たちは、3-4割くらいの働きだと感じました。
今回は、私がかつて出会った働かないおじさんを紹介します。なお、以下のお話は事実をもとにしたフィクションであり、文中の名称などはすべて架空のものです。
その1.部長
その人は、私の職場に出向だか転籍だかで来た人でした。その職場の繁忙期はとてつもなく忙しく、仕事が終わるのは10時半頃でした。私が「まかない」とやらの存在を知ったのは、その職場です。私たちの面倒をみてくれた?のは職長でしたが、そのさらに上には係長級の責任者がいました。課長はいなかったようで、係長の上が部長でした。
部長は、定時よりはるか前に出社して、特に現場社員の手伝いをすることもなく、定時に退社していました。私は外勤職でしたので、部長がどんな仕事をしているか知る由もありません。転籍云々というのも、同僚から聞いた話です。さらに噂によると、部長はグループ中核企業での出世争いに敗れて、グループ企業に飛ばされたとか。
ある仕事が一段落した日、仕事が終わって一息ついている私たちの近くに来て、こう言いました。
「君、あの部長を何とかしてくれる?困っているんだよねえ。当社に来たは良いけれど、当社の仕事をしないどころか、関心すら持とうとしない。座っているだけなんだよねえ。」
当時から「ジョブ型 ≒出来高制」論主義者だった私は係長社員に、
「え?そんな人でも、私たちがしているような外勤仕事ならできるでしょ?言いましょうか?」
と答えたら係長社員は、
「おいおい、勘弁してくれよ。」
と言い残し、仕事に戻ったのでした。当時の私は、「転籍や出向は、グループ中核企業の優秀なノウハウを、グループ企業にも伝達するために送り込まれること。」だと思っていたのですが、そうでもない人がいたようです。
ちなみにその部長、会社に置かれている私物の中にはパターゴルフセットがあったり、自分は仕事をしないのにおしゃべりをしているし私たちの同僚には「お前のおしゃべりに金を払っているわけではないんだ!」と大声を出したりしたそうです。
でも、仕事が終わった際の打ち上げでの「乾杯の挨拶」は、過去あった打ち上げ・お疲れ様会の中でも、素晴らしい方から数えた方が早い方です。
その2.認知症
上記の会社とは異なる会社での出来事です。多くの会社であるような、「業界紙切り抜き回覧板」を作って居眠りをしているだけの部長がいました。営業部に所属しているのですが、営業部は実質課長級以下で成立しており、部長は置物だったそうです。営業部に配属された同僚によると、課長級は「部長の言うことは聞くな」と伝達していたのだとか。
たまに社内で私とすれ違うことはありましたが、会釈をしても挨拶をせず、誰かと話すこともなければしゃべっているのは独り言、と、ほとんど変な人です。今思えば、認知症だったのかもしれません。なお、60歳はとうに超えていたようです。
その部長がなぜこの会社に残っていられるのか、噂によると
「その昔、会社経営を軌道に乗せる時期に活躍してくれたから。」
「娘が若く、まだ学校に通っているから。」
という理由だったそうです。
私がこの会社を辞めようとしている頃、不満の一つとしてその部長の存在を上げましたが、私の所属部署の職長は、
「あの人の存在は自分も不満に思っているけれど、あの人を辞めさせたところで君の給料は上がらないよ。」
と言ったのでした。
当時の私はなお不満でしたが、今考えれば当たり前のことですよね~。
ほんの一時期会社で活躍したからといって、その後何十年もその功績を評価、認知症のようになっても会社に置いたまま、というも、おかしいですよね。働かないおじさんを生成させる、誤った考え方だと思います。
その3.年下に丸投げおじさん
多くの場合、若い社員ほどどんどん物事を経験しませんと、成長しません。だからといって、入社早々に工場の海外移転や同業他社との合併、銀行からの増資を任せるような会社はありません。
しかし、いるのです。自分よりも若い社員に仕事を回すだけで、自分は何も出来ないので何もしない「自称ベテラン」社員が。
そのおじさんも、若手に仕事を振り分けるだけで、自分は何にもしませんでした。中途で転籍してきたらしいのですが、最初から年上だったゆえに仕事は若い人に振り分けていたようです。自身は何も学ばず、何もわからないまま年数だけが経過したために、
「ベテランのような外観の何もわかっていないおじさん」
になっていったのでした。
そして、その事実に気づいた数名の社員は不満を募らせて、当時のその会社では珍しかった、「不満による自己都合退社」をしたのでした。
このタイプの「働かないおじさん」は、結構多いのではないでしょうかね。自分よりも若い人に仕事を振り分けることは、早い場合には中学2年生から可能です。すなわち、中学2年生のクラブ活動の時期から、「働かないおじさん」は形作られていたのでした。
まとめ
「働かないおじさん」現象は、日本型学校・労働環境で生成される、ごく自然な現象だと感じました。先輩や年長者や年長者的風貌の人をあがめて、「働かなくてもよいことにしてしまう」ことが原因だと感じます。年長者を敬う風習を辞めるとともに、芽が出なかったり失敗した年長者に、非出世型労働職や転職を含めた別の道へ引導する制度が有効ではないか、と考えるのでした。
Posted at 2022/12/28 23:16:21 | |
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