2012年08月03日
トヨタ ウイッシュ のマイナーチェンジに見る、技術の方向の変化
この日は、トヨタ ウイッシュのマーナーチェンジについて調べました。おそらく、トヨタの社長が変わって初めてのマーナーチェンジ車かもしれません。
フルモデルチェンジ時の変更ですと、フルモデルチェンジで行われた変更なのか、時代や方針に合わせた変更なのかがわかりません。
マイナーチェンジですと、極端な話、バンパーやグリルの形状、ヘッドライトやテールライトの意匠変更程度で済ませてしまうこともできる中、あえて変えるだけの理由というものがそこにあるはずです。
変更点は、時代や車種設定の変化、売れ行き、同型他車の同行、世の中の動向が影響しているはずなので、その辺りを考えながら調べました。
エンジン
これまでは2000ccエンジンと1800ccエンジンが同じラインナップでした。すなわち、どの排気量を選んでもグレードを好みで決められるものでした。しかし、バルブマチック化によって1800ccエンジンでも十分なパワーが出ていること、2000ccを選ぶ人の多くがノア・ヴォクシーを選択することからか、1800cc主体のラインナップとなりました。2000ccは、特別なグレードとして、1つだけ残りました。旧型ウイッシュのラインナップに近づきました。
これが一番の変化です。
排出ガス規制強化と燃費規制の強化にともない、シリンダー壁のエンジンオイルを柔らかくすること、シリンダー壁に付着した燃料を気化させることを目的として、十数年前からサーモスタットの設定温度や冷却ファンの作動温度は高めになっていました。
ところが、この車のサーモスタットは、純正品でなんと80℃です。ほとんど社外品の値です。というのも、高応答性サーモスタットになったということ、燃焼室付近を冷やし、低速高負荷時のノック限界を高めることがその理由のようです。
これまでの理論を、全く覆すような変化です。おそらく、マツダスカイアクティブ理論に刺激されたのではないかと思います。技術の進化というのは、全く新しい理論の展開で、ある日突然今までの理論が否定されるものです。このマイナーチェンジは、その瞬間を表しているのではないでしょうか?
トランスミッション
旧型には、「ナビ AI-SHIFT」というものが採用されていました。「ナビゲーション上でカーブや坂道が近づくと、それに連動してシフトアップを規制したりし、より場面に合わせたシフトを可能とした。」、とありました。が、それはメーカー純正HDDナビゲーションのみ装着されるシステムなのです。
その後、メモリーナビゲーションが価格の上で主流となったのか、あっさり廃止になりました。クラウンマジェスタなどには、「ナビ連動エアサスペンション」というものがあります。凹凸などをナビゲーション上に記憶し、その場に来るとサスペンションの伸びやショックアブソーバーの効きを調整し、乗り心地をよくする、というものです。
3年くらい前、なんでもGPSで解決しようとした時代の雰囲気を強く感じる装備です。車の外の装備である地図や衛星情報を使うというのは、なんとなく車の制御としてはクルマ作りの手抜きに繋がるような気がしてなりません。
一方、CVTの変速にわざわざ段を設け、有段ATのように変速するモードを追加しました。加速時にエンジン回転数の上昇を運転士に知らせ、加速をしやすくするということが目的のようです。CVTを採用する一番の利点が、エンジン出力の上で最も効率が良い回転数を使いながら加速をすることでしたが、それを否定するかのようなモードです。
CVTの加速は、エンジン回転数がほぼ一定のまま、車速だけが上がる特性が主流でした。しかし、加速感をスピードメーターの針の上昇でしか知らせない、というのは、人間が運転する車である以上、インフォメーションが少なすぎる、ということでこういう傾向になったのでしょう。
ボデー
見た目の上では、VWのようにフロントバンパーに黒い部分が加わり、シャープなイメージになりました。が、よく考えれば2000cc車を減らしたのに、イメージは走りの方向、ということです。ここにも「アンチ”ママ”スタイル」の傾向が現れていると思います。
また、この車にも「エアロスタビライジングフィン」が採用されています。
まとめ
1800cc中心のラインナップは、アイシスを引き立たせるためかもしれません。アイシスは登場して随分と経ちますが、トヨタはなぜかCMを定期的に流し、この車の存在を訴えます。初代は小雪、中期は菅野美穂、後期は持田香織でしたっけ?
それはさて置き、今回のマイナーチェンジはマーケティング上、正しい選択だと思います。
ブログ一覧 |
新型車調査 | クルマ
Posted at
2012/08/06 01:23:19
タグ