ドラマの感想批評を書くのは、久しぶりのことですね。書いていない期間も、結構見ているのですよ。本当は昨年を振り返ってから今期のドラマの感想を書く予定だったのですが、このドラマは録画を忘れ、振り返りが間に合いませんでした。
まず、題名の「精神分裂」ですが、その昔、母と「パタリロ」を見たときに母が発した言葉に端を発しています。パタリロはところどころにギャグが散りばめられ、ストーリーが弱くなっていました。その話の飛びようをして母は「精神分裂病になっちゃう」と言ったのでした。精神分裂病の中身はわかりませんが、話が分裂しているのは確かですよね。
さて、このドラマ、なんと物語中に事件が3つもありました。これじゃあ、一つ一つの事件を描くことなど無理も無理。どの話もいきなり出動していきなり解決でした。
このドラマの主人公は、子供の頃に幼馴染の母親が目の前で銃殺され、以来警官になることを目指して警官になっています。その事件の際に犯人が銃殺されたことから憎む対象がいなくなり、返って被害者は苦しむことから、犯人は生かして逮捕する、という持論を持っています。
一方で、サブ主人公のSAT(特殊部隊)側には、犯人は逮捕しても更正する見込みがないから殺すべきだ、と持論を持っています。
物語中にはアクションシーンが盛り込まれますが、CGやワイヤーアクションが多用されているようで、ちょっと興ざめです。特にアクションシーンですが、この程度のことはカメラワークで十分迫力を出せるはずです。
なお、主人公はその持論から、銃を使わず徒手空拳(ボクシング技)を繰り出して犯人をノックアウトしようとします。この点は好感が持てます。徒手空拳は、太陽にほえろ!Gメン’75、闘将ダイモス、イデオン以来ではないでしょうか?かつて「アクションシーンだけで内容がない」と評したフジテレビ系の「SP」、なぜか物語を事件を中心に割り切れなかった、レスキュー隊の活動を描いたTBS系「レスキュー」を足して二で割ったような作風で、若干「伝わるもの」は少なくなっています。
物語は、主人公とサブ主人公両者の対決を中心に進むようですが、物語中には主人公でない登場人物の会話などが散りばめられたり、主人公がSATにスカウトされそうになるシーンがあるなど、物語が絞られていません。あれもこれも、と入れていった結果、話は分裂するわ、物語の主題は見えにくくなるわ、犯人は殺されるために登場するだけになるわ、と、良いところがありませんでした。
おそらくプロデューサーか脚本家は、言葉や文字数ばかりが多くて、言っていることの内容は大したことがない人なのではないか、と思います。少なくともプロデューサーは、自分で脚本に赤字を入れて、物語を絞らなければダメです。
さて、この作品を見続けるかどうかは、「犯人の描写」を丁寧にし、「持論と指令、犯人とのやり取り」の中で、職務と感情の間に挟まれて悩む姿を描くかどうか、にかかっています。
皆さんにおかれましても、「見てもまあ悪くない」作品です。ぜひ、二話を見てみてください。
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テレビドラマ感想批評 | 音楽/映画/テレビ
Posted at
2014/01/12 22:44:34