今日は上空に寒気が来るらしく、この時間で既に一部の地域で強い雨が降っています。毎年5・6月になると「上空に寒気が」と言われるのを、みなさんも耳にされていると思います。最近は天気予報も解説が売りのようでいくつもの解説がなされていますが、いずれも「不安定」の説明をするものの、低気圧の説明になってしまっています。おそらく、本当の内容で説明すると、理解しづらいからではないか、と思います。
気塊と上昇
今、ある空気の塊があるとします。風船と考えるとよいでしょう。この空気の塊を持ち上げると、100m上昇するごとに1℃温度が下がります。気圧が減ることで塊が膨張し、膨張のために熱が奪われるためです。
塊を持ち上げる力はいろいろで、地表で熱せられるとか、山の斜面を持ち上げられるとか、風と風とがぶつかるとか、成因は問いません。
この時、周囲の空気とこの空気の塊の温度を比較します。周囲の空気よりも塊の方が温度が低ければ、塊の方が密度が高いために浮力が働かず、塊は降りていきます。
一方、塊が周囲よりも温度が高いと浮力が働くため、塊はどんどん上昇していきます。でも、こうなっていることは少ないです。
塊が浮力以外の力で上空まで持ち上げられて温度が下がると、やがて空気中の水蒸気が水になる温度の「露点温度」に達します。この結露が起こると、水が水蒸気になる時に吸収した「気化潜熱」を周囲に放出するために、温度の低下割合が、100mにつき1℃ではなく、100mにつき0.5℃になります。そうなると周囲の空気よりも温度の低下割合が少なくなっている場合が多くなるため、塊は浮力によってどんどん持ち上がっていきます。
水蒸気が水(湯気≒雲)になって持ち上がるといことは、雲が上空に向かって発達する、ということです。雲が垂直方向に発達すると、雷や雹が発生しますし、空気の塊が上昇する勢いが強い、ということは、竜巻などの現象も引き起こします。
一般に、降るのは雨でも雲の中では雪や氷の状態で存在しています。上昇気流が強いと氷が落ちてきては周囲の水滴をくっつけ、さらに大きくなってまた上空へと持ち上げられてまた降りてきて、ということを繰り返します。そのため、雨粒は大きいですし、溶けずに降ってくれば雹になります。
雲ができる時間
朝から発達して夕方に大きくなる、というほどのんびりしたものではありません。よく晴れた日にできる綿雲から、激しい雨や雷をもたらす積乱雲になるまで、15分から20分もあれば十分です。ただし、雨が降ると下降気流が発生して上昇気流が遮られるために、一つの雲は弱まります。
一方、下降気流と別の空気とがぶつかって新たな積乱雲をつくる場合(マルチセル型)や、下降気流が起こる場所と上昇気流が起こる場所が異なるスーパーセル型の積乱雲とが有り、よく空を観察する必要があります。
上空に寒気がある場合、動きが遅いこと、そう簡単には寒気は暖められないことから、一度雨が降ったからといってその日はもう雨は降らない、ということはありません。特にその場所が寒気の南東側に位置する場合、一日に何度も雨に見舞われることがあります。過去、1日に8回も積乱雲が来たことを経験したことがあります。
ブログ一覧 |
気象 | 暮らし/家族
Posted at
2014/07/27 11:44:47