
台風が接近していますね。今回の台風は、中心気圧が低いままに近づいていることが特徴です。とはいえ、昭和54年台風20号が記録した907ミリバール(当時の単位。現在のhPa(ヘクトパスカル)と値は同じ)よりは高いですが、それでも珍しい低さです。
台風は、中心付近に吸い込まれた風の中の水蒸気が結露する際に放出する「潜熱」が発達のもとになっています。鍋に入れた水を沸騰させたとき、加熱し続けてもなかなか蒸発しないのは、液体が気体に変化する際に、「潜熱」の分だけ余分にカロリーを必要とするからです。
この潜熱は、水蒸気が水に戻る際には周囲に放出されます。この熱が台風の中心付近で放出されると、周囲の空気を加熱します。すると、台風中心付近の空気は台風周囲の空気よりも軽くなり、より上昇気流が強められます。上昇気流が強められると、その気流が上昇していなくなった分が台風の外から補われて・・・、の繰り返して台風は強くなります。
台風の進路は、500hPa等高度線図(添付の図の下の方、高度5000m付近の天気図)の風向きを見て予報します。風はこの等高度線に沿って、気圧が低い方を左に見ながら吹きます。日本の南岸には風が強いところ(偏西風帯)があり、南西よりの風が吹いています。
台風自体には推進力はないため、台風はこの偏西風に乗って速度を上げ、急速に「流される」見込みです。
その後、台風の中心の北西方向から北の乾いた風が吹き込むと、台風は末期を迎えます。乾いた風には水蒸気が少なく、気温が低いと台風の動力源である「潜熱」がなくなるため、台風の中心の北西のところから雨雲が消えてきます。
こうなると台風自体の構造が変化し、温帯低気圧へと変わります。以前中心であった場所は温帯低気圧の「暖気域」になり、旧台風の前面には温暖前線が、中心から南西方向に向かって寒冷前線が現れてきます。なお、この変化は「内部の構造が変化した」、というだけのことであり、「弱まった」という意味には解釈しないでください。温帯低気圧になって、再度発達することがあります。もちろん、構造が変わっていますので、再度台風になることはありません。
台風の接近に伴い、前面の秋雨前線も強まっています。進行方向前側、山の南側斜面付近にお住まいの方は山で上昇気流が強化され、局地的に強い積乱雲が発生し続ける、広島豪雨にも似た状況になりますので、くれぐれも注意してください
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気象 | 日記
Posted at
2014/10/06 01:27:04