篠原涼子さんが、これまでの刑事もの作品を離れて描かれる、40歳代女性の恋愛模様の作品が本作です。友達役として、吉瀬美智子さんと鈴木砂羽さんも出演されています。
数日前のフジテレビ社長の会見によると、本作品は苦戦しているそうですね。私は第一話を見て第二話も今見ていますが、さもありなん、と思うのでした。
ドラマとは、あるシチュエーションが描かれ、そこにあらかじめ性格設定をした登場人物を投入、人間模様を描くものです。しかし、本作はそのほとんどが登場人物の会話のみで完結してしまっています。
例えて言うならば、あなたの高校の時の友達に招かれ、そこに行ったらその友達の中学生の同級生が3人以上いるような状況です。当然友達はその中学の友達と当時のあだ名やら出来事やらで盛り上がることでしょう。状況がわからないあなたは、愛想笑いや適当な相槌を打って時間を過ごすでしょうが、とんでもない場違い感を感じ、隙を見つけて帰りたくなることでしょう。
また、本作では登場人物の女性の周りには都合よく男性が現れます。恋愛ものですから恋愛が始まりませんと作品が始まりませんが、都合良すぎるような印象が拭えません。
コミカルな作風と音楽も邪魔をしています。第一話の冒頭、満員電車に乗った篠原涼子と江口洋介は、おしくらまんじゅうのような状態になります。江口洋介を痴漢と勘違いした篠原涼子は抗議をしますが、その様子がまさしく小雨学生の男子と女子のものです。お互いの遠慮の壁を取り去った、小学生風の会話は、あるいは親しくなるためのきっかけかもしれません。しかし、古いなあ。
その後、江口洋介と篠原涼子は商談の場でばったり再会、「あ、痴漢」とやりあうのです。
第二話では、さらに登場人物間の会話が主体となり、退屈してしまいます。視聴者に疎外感を感じさせ、感情移入をさせないというのはどうもねえ。私が男性だから感情移入不能なのかもしれません。それにしても、撮影現場だけが盛り上がって楽しそうな感じだけが伝わってきます。40歳代女性の多くの方の視点では、「よくもまあこんなに遊んでいるね。」でしょう。
この作品が大人気になるようでは、テレビドラマは40歳代の娯楽となり、やがて視聴者は50歳代、60歳代と老けてしまい、滅ぶことになるだろうと危惧していました。しかし、不人気というところでどこか安心してしまいました。ミステリアスさは不要で、コミカルは辞め、シリアスを全面に作品を製作されてはいかがでしょうか。女性が主役の恋愛ものに、拳銃密造グループや、地方から出てきて都会に馴染めずに犯罪に手を染めてしまう若者は不要だとは思いますが、もう少し視聴者の感情移入点(視聴者として、誰の視点でドラマを見るか)を考えて欲しいなあ、と思うのです。
視聴者として私は選ばれなかったようですので、本作は挫折したいと思います。
追伸
この作品は、既婚者は「またこういう恋愛をしたいなあ」、未婚者は「こういう恋愛をしたいなあ」という視点で見るのでしょうか?どう考えても部下に仕事を放り出している篠原涼子さん演じる女性を見て、このシーンが去来するのでした。カナダで起こった事件でご主人を亡くした妻が、仕事と個人的な感情に苛まれます。
<動画の公開は終了いたしました。>
悩み無き登場人物に、感情移入はできません。
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2015/10/26 22:38:53