2017年09月11日
フジテレビ「コード・ブルー シーズン3」第十話に、情けなくて涙が出てくる
「父ちゃん、情けなくって涙出てくらぁ!」とは、ドラマ「あばれはっちゃく」において、桜間長太郎の父親(東野英心)が、長太郎を叱る際に発する枕詞です。確かに、怒りが頂点を超えると、怒りの前に情けなさが出てくるものです。そしてこの日、放送された「コード・ブルー」第十話に、私は情けなさを感じるのでした。
まあ、ドラマはフィクションとして多少の設定のアラには目をつぶって見た方が楽しいのですが、まずは変な部分が多数ありました。
・開通前の地下鉄で、崩落事故発生
今日の地下鉄はシールド工法で作られています。穴あけからコンクリート止めまで、機械で一度に作りますので、一部が崩落することはまずありません。
・その事故現場に、ドクターヘリが急行
地下鉄は、既に都市化が進んだ地域に建設されます。一方で、ドクターヘリは医療過疎地域を中心に活動しています。地下鉄の近くに病院がなく、都市部にヘリが着陸する??
このドラマは、主人公たちの医師チームを引き立たせるためなのか、救助をしている消防やその他の仕事をしている人たちを、とんでもなく無能に描いています。このドラマを見て、怒りを覚える消防・警察・行政関係の人は、決して少なくないと思います。
さて、この十話は、最終回へ向けて大規模災害の導入部分があります。地下鉄トンネル内で大規模崩落が発生、約300名が被災する事故です。医師チームが到着し、被害者の容態を観察、赤や黒などのシールを貼り、措置を決めるシーンが久しぶりに見られます。
そんなシーンに到着した主人公たち、中でも、春風亭翔太医師と比嘉愛美演じる冴島看護師は、既に結婚が決まっています。消防隊の要請により、春風亭医師はコンコースからトンネル内に向かおうとします。そして冴島看護師は、このように言います。
「行かなくて良い。あなたは勇敢な医者に「なんか」ならないで。危ない現場は「他の先生」に任せておけば良い。」
私の思いは、1975年に放送された鋼鉄ジーグへをさかのぼります。亡き父の遺志を受け継ぎ、邪魔大王国と戦う主人公「司馬宙」。命の危険にさらされることもあります。その姿を見て、母のキクエは夫の魂が込められたコンピューター「マシン・ファーザー」に、息子に戦いをやめさせるよう、懇願します。
しかし、人類のために戦う宙の姿を見て、キクエは自分のことを恥じて、夫の遺影に誓います。
「私は弱い母親でした。これからはどんな辛いことにも耐えられる、強い母親になります。そして、宙の心の支えにも。」
母親として息子の命を心配するのは当然です。家族は大切ですからね。しかし、「世の中の他の人が不幸になっても、家族だけが幸せであればそれで良い。」は、余りにも寂しいです。キクエは、そんな自己中心的な思いを恥じ、息子は社会のために働いていることに気づくのでした。
そしてこのコード・ブルーのシーンに戻ります。せめて春風亭医師が、パニックになる冴島看護師を平手打ちで正気にして現場へ向かうような描写が欲しかったです。しかし、最近いるんですよねえ。こういう「自分のほんの周りが幸せならそれで良い」人が。こういう、自分の周りだけを小綺麗にしておく人を、日産の社内では「箒人間」と呼ぶとか!?
これまでドラマ類を見ていて、最もひどいシーンでした。まあ、私を含めて皆さんが万一災害にあった際、そこに到着した医師がこんな人でない事を祈るだけです。
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Posted at
2017/09/12 22:15:34
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