
テレビドラマには時代性が映し出されています。好景気になりつつある時期は明るい作風が好まれ、好景気が飽きられ始めると、徐々に濃く暗い作風が好まれます。バブル崩壊は、株価の下落は1990年1月、公的に景気後退が認められたのは1992年3月だったと記憶しています。そしてテレビドラマでは、1990年春期の「恋のパラダイス」(演:浅野ゆう子、本木雅弘、鈴木保奈美)、1990年夏期の「キモチいい恋したい(演:吉田栄作、安田成美、田中美奈子)辺りがピークからやや超え、「そろそろこういうお祭り感覚よりも、しっかりした作品を見たい」とい声が出てきた時期でした。
そんな中、私の記憶に残っているのは1995年秋以降に放送された、おそらく刑事ものドラマと記憶している作品です。これまでに書いたように、1995年は阪神大震災にオウム真理教地下鉄サリン・国松警察庁長官狙撃事件、折からの不景気と就職難が重なり、終末思想すら出ていた時期です。
その作品の概要
大地震が起こった街で、大学生Aが撲殺される事件が発生した。大学生は今度4年生になる男性で、東京から友人たちとボランティア活動に来ていた。捜査の過程で、その大学生たちはがれきの上で記念撮影をしていたことが明らかになる。
当時、就職活動は難を極め、面接時にボランティア活動をしていたことを売りにしていた人が多数いた。しかし、本当にボランティアをしていればましな方で、実際には友達同士で被災地を訪れ、はしゃいで回って記念撮影だけして帰る者もいた。そのがれきは、Bという中年男性の家があった場所だった。
Bは震災で家族を亡くし、家族のことを思い出す(あるいは、家族の遺体を探す)ため、日々その自宅があった場所を訪れていた。そんな折、記念撮影をしていたAたちを見て怒りがこみ上げ、Aを撲殺したのだった。
しかし、Aは早くに両親を亡くしており、祖母に育てられていた。折からの就職難で、Aは祖母に「絶対良い会社に就職をして、おばあちゃんに楽をさせてあげたい。」と言い、友人たちと被災地に行ったのだった。
(実際にボランティア活動をしたのかどうか、描写があった記憶はないのですが、多分今でいう一日ボランティアをしていたように思います。今でこそ被災地に負担をかけず、自分のできる範囲で復興を手伝う一日ボランティアはごく普通のことになりましたが、当時は「冷やかし」として、あまり良い目で見られていませんでした。)
そしてボランティア活動が終わり、帰京するところでBに殺害されていたのだった。主人公の刑事は、Bに対して
「被災して家族を失った苦しみもわかるが、Aにも苦しい事情があるのだ。一仕事を終え、ついはしゃいでしまうことは若者にはありがちのことだ。皆それぞれ苦しい中で、必死で生きている。あなたもどうぞ罪を償って、人生をやり直してください。」
と呼びかけ、逮捕するのだった。
以上、記憶終わり。
こんな話だったと思います。阪神大震災と就職難を織り交ぜ、見ているこちらも悲しい気分になった記憶がはっきりと残っています。おそらく、「はぐれ刑事純情派」か何かだと思うのですが、どうしても思い出せません。どなたか、覚えている方はいらっしゃいませんか?
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Posted at
2025/09/27 18:05:26