セダンといえば…、今回はトヨタコロナである。現在は、コロナというと感染症のほうが知名度が高いが、トヨタコロナは、日産のブルーバードと「BC戦争」という販売台数を争ったこともある。
今回はサブネームが付かないコロナとしては最終モデルである。ちょうどこの時代RVブームが訪れ、セダンの売れ行きが落ち始め、この10代目のモデルの後はプレミオというサブネームがつけられ、そのあとはコロナのネーミングは消滅したことはご存じの通りである。

T19系コロナは欧州での生産を念頭に開発をされ、欧州基準を踏まえ、パッケージングや空力特性を考慮したモデルである。この辺りは日産の初代プリメーラと共通するところがある。それだけ日本市場が、アメリカ車から欧州車に移行したことも言える。したがってスタイリングは先代の9代目の直線基調から、丸みを帯びたエクステリアになった。欧州では「カリーナE」と名称を変え、セダン、5ドアハッチバック、ステーションワゴンとモデルをそろえた。そしてこのステーションワゴンは実は国内では「カルディナ」と名称を変えヒットした。歌手の佐野元春がカルディナと並走するCMを覚えている方も多いだろう。

しかし、セダンはそこまで受けなかった。同じく真面目に設計をされ欧州基準で開発されたプリメーラと違って「親父セダン」と揶揄した人もいるという。それだけ時代はRVブームに移行していたのかも知れない。
またこのモデルは国内ではグレードに「GT]を置かなかったモデルでもある。GTを置いてもヒットしないことをトヨタの販売サイドは見切っていたのかもしれない。カルディナは次期モデルでは「GT」「GT-T」のグレードを設定する。

国内ではあまり注目されなかったセダンであるが、セリカと同じ3S-GEを搭載し200km/h以上で余裕の巡航が可能であった。このように欧州ではもスポーツイメージの強いセダンとしてロングセラーとなった。そしてモータースポーツでは結果を残し、「BTCC」に参戦。BMWやプリメーラ達と戦い、93年は総合で上位を占めた。当時、WRCでセリカがカストロールカラーを纏い、チャンピオンシップを争っていたことも相まって、BTCCでも同様のカラーを纏って戦ったこともあった。また日本ではJTCCでチャンピオンカーとなっている。

車としては非常によくできた車だったという。しかし、ブームに負けた悲運のセダンともいえる。
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セダン | クルマ
Posted at
2025/03/02 11:07:00