「シフトブーツ」 を質感の高い生地を使って、自作してみました。
私のアテンザワゴンはLパケのホワイト内装を選んでいますが、全体的には お値段以上の
「質感」 を感じていて 満足していますが、
「シフトノブ」 と
「シフトブーツ」 はもう一歩・・・というのが率直な印象でした。
そこで、先日
「シフトノブ」 は
「セミアニリンレザー」 のパンチング生地を使って巻き替えを行い 質感向上を達成しましたが、今度は
「シフトブーツ」 の質感向上を目指してみました。
「シフトノブ」 の本革巻き替え のブログ
(↓巻き替えたシフトノブ)
< 質感向上のイメージ >
純正のAT用シフトブーツは、黒の合皮生地に 前後2箇所(4本)の黒のステッチが入れられていますが、合皮もかなり薄い生地で ステッチも細くて黒い糸で縫われています。
(↓純正のシフトブーツ)
合皮の質感も残念だったのと、ステッチが細くて同色で目立たないのが残念でした。(・_・;)
そこで、質感を高める為に、
「 『質感の高い生地』 を使って、存在感のある 『ステッチ』 を入れたい」
と考えました。
< アンティークミシンを購入 >
「
本皮」 を使うにしろ 「
合皮」 を使うにしろ、ステッチ次第で質感が大きく変わると感じていたので、存在感のあるステッチを入れるべく、新たに革用のミシンを購入することにしました。(^^)
前車での革弄りでは、洋服リフォーム店にて縫製やステッチをお願いしましたが、リフォーム屋さんでは車のシートのステッチなどで使う様な太い糸が無いこともあり、2本使いで縫って貰ったりもしましたが、それでもステッチが寂しく感じていました。(^_^;)
「サイドパネルガーニッシュ」 の本革化 のブログ
そこで、
「 太い糸でのステッチを入れるには自力で作業するしかない! 」
と思い、使用頻度は少ないとはいえ、
「 今後の弄りでも活用できるはず! 」
と考え、購入することにしました。
とはいえ、革や厚物を縫製出来て、太い糸が使える様な 家庭用のミシン はなく、業者が使う様なミシンだと 2桁の後半 や 3桁 もするそうで、そんな高価なミシンは買えません。
そこで、アンティークミシン(足踏みミシン)を 厚物が縫えて太い糸が使える様に改造したミシン を購入することにしました。
(モーターで動かす電動タイプではなく、手回しで動かす手動タイプです。)
使用頻度はそれほど無くても、
「 自分が作りたいと思った時に好きな様に使える(作れる)・・・ 」
のが理想だったので、購入に踏み切りました。
< ミシンとの格闘(苦悩) >
実際に 改造アンティークミシンで色々な生地で縫製やステッチ入れのトライを始めてみると、縫製作業は思っていたほど甘くは有りませんでした。(・_・;)
現在市販されている 一般的な 電子ミシン は糸の調子を 「自動」 で調整してくれるものが殆どですが、アンティークミシンにはそんな 『自動糸調子調整機能』 は有りません。(^_^;)
よって生地や糸に合わせてその都度上糸や下糸のテンション調整をしながら縫製しなければならないのですが、それが想像以上に難しく、生地の
「厚み」 や
「硬さ」 などによって上糸と下糸との調整が非常に繊細でした。
最初に買ったミシンはその辺りが非常に遣りづらかったので、新たに 縫い目のピッチが広く出来て 上糸調子の調整がし易い(調整具合が判り易い)ミシンを買い直して、再び練習を重ねました。
改造アンティークミシンは、何十年も前のミシンだし、改造ミシンでもあるなので 当時の取説などが付属する訳もなく、必至にネットで調べて 取説をコピーしたPDFを入手して調整方法を調べたり、YouTubeでイメージトレーニングしたり、アンティークミシンにも使えるミシンパーツを探して取り寄せて自分でも改造したりして、最初にミシンを購入してから3ケ月ほど掛かってやっと
「それなり・・・」の物が縫える様になりました。

(↑私が購入したミシンと同じタイプのミシンが発売されていたころの取説)
( 完全に操作や調整をマスターした訳では有りませんが、表面だけなら何とか違和感なく見られる程度・・・の状態で、裏面の『見た目』には目を瞑ることにしました。(^_^;) )
ミシンと格闘していた頃には、何度か
「もうミシンでステッチ入れるのは止めようかな・・・」 とも思いましたが、家の中に大きくて重くて邪魔なミシンを2台も買って並べてとある部屋を占拠しておきながら、
「やっぱり止めた・・・」 なんて言ったら妻に何と言われるか・・・と思うと、ミシンの習得は必死でした。(^_^;)
< 試作 >
1次試作は 「革調合皮」 を使って、純正形状の型取りの練習を。
2次試作は 「アルカンターラ生地」 を使って、「MT車風ブーツ」の様にレバーの周囲が均等に弛む様な形状をトライをしましたが思ったようにはならず、
やはり純正形状のままの方が良さそうだったので、純正形状で行くことにしました。(^_^;)
< 生地選び >
色々な生地を入手してどの生地を選ぶか、非常~に迷いました。
理想は 「
本皮」 だが、革の厚みや加工方法にも難しい面があるし、
「
合皮」 だと耐久性も高いし加工性も良いけど、「
本皮」 に比べると質感が劣る面も有るし・・・。
( 最近の 『合皮』 は、本革以上に質感の高い物もあり驚いたの同時に、非常に迷いました。(^^;;) )
色々縫製のテストした結果、いきなり本皮を使うのはリスクが高すぎると判断し、「
耐久性」と「
見た目」 の
バランスが取れた、「
アルカンターラ」生地の
パンチング生地(黒)を選ぶことにしました。

(↑アルンカンターラ(黒)のパンチング生地)
この生地は、「ディンプル状(凹状)」 のパンチングではなく、表生地には 「貫通穴」 が開いていますが、裏面に薄い生地が貼り合せてあるので、外から中が見えない様になっています。
「
アルカンターラ」とは、マツダの純正OPでもシフトブーツやパネルなどのパーツに使われたものが有りますが、欧州の高級車にも多数使われている、
スエード調の合皮です。
(日本では 「
エクセーヌ」 という名称ですが、海外では 「
アルカンターラ」 という別名称で販売されている様です。最近は 「
ウルトラスエード」 と名称変更したらしいですが・・・。)
パンチング生地は見た目は良いのですが、縫製作業をする上で難しいのは、
①
生地の合わせ目でパンチングの穴の並びを上手く揃えなければ見栄えがイマイチになる
のと、
②
パンチングの穴にステッチの針が入ると糸の調子が狂い易い(貫通穴の場合)
という点で難しさが有ります。
この点を考えて、パンチング生地を諦めようとも思いましたが、あまりそれらを気にし過ぎると先に進めなくなるし、
「 素人なのでプロの様な出来栄えを求めちゃいけない! 」
と割り切ることにして、先に進めることにしました。
ステッチを入れる糸も どの色にするか非常に迷いました。
とりあえず、今回用意した糸の中から、オレンジ系、シルバー系、ゴールド系、レッド系の4種類でステッチの見本を作り、迷った結果、今回は無難な
「シルバー系」 を選びました。
※参考までに、今回のシフトブーツで使用した糸と針は、
上糸: ビニモ #1 (シルバー系)
下糸: ビニモMBT #5 (黒)
針 : オルガン DB-F2 23番
< シフトブーツの外し方 >
シフトパネルを外して、パネルの裏面からブーツを外しますが、シフトパネルの外し方は以下の私のブログをご覧頂けると、判るかと思います。
MC後 運転席ロアパネルの外し方 のブログ
シフトパネルの裏面で、
① 2本のネジを外す
② シフトブーツがパネルのシフト表示裏面の数箇所の突起に差し込まれているので
それらを外す

(シフトブーツと中の白い枠が状態で外れる)
③ 白い枠から数箇所の差込を外す
と、シフトブーツ と 白い枠 が分離できます。
< シフトブーツ上部リングパーツ >
純正のシフトブーツの上部には、黒いリング状のパーツが装着されていて、ブーツの口がシフトノブの直ぐ下に留まる様になっています。
このパーツは、純正のブーツから外して移植しても良かったのですが、こちらも純正に近い形状で自作してみました。
部材としては、塩ビパイプのキャップを連結して、厚みを5ミリ程度でカットし、角を落として作りました。(材料代は100円程度です)
< 型紙の作り方 >
純正のシフトブーツを外して型紙を作ります。
当初、ステッチ部を半分に折って 生地の左右で型を取ろうと思いましたが、左右で生地長さが違うため上手く型が取れません。

(ブーツの上のテープは重石です(^_^;))
そこで、今度は前後のステッチ部を重ねて、ブーツを前後で2つに折り畳むと前側と裏側の部分に分かれて型を取ることが出来ました。
( シフトノブ側の黒いリングが接着剤で固定されていますが、これも剥がして外した方がより正確な型紙が作れるので、リングも外して有ります。 )
こうすると、型紙が4分割になってはしまいますが、これで前後にも左右にも分割した型紙を起こすことが出来て、ちょうど良い結果となりました。(4分割の型紙を貼り合せながら型紙を起こします)
< 生地の分割 と 縫製 >
純正形状のシフトブーツを作ろうと思い、前述の様に型紙を起こしましたが、純正の様に、ブーツの前後で縫製しつつ、その場所にステッチを入れることは、シフトブーツの上部の口がかなり細い関係で、一般的なミシンでは縫製が出来ないので(特殊なミシンでないと出来ないので)、敢えて生地を4分割にしました。
つまり、純正の様に生地を左右の2枚で作るのではなく、4分割で生地を分けて、前半分と後ろ半分に生地を分けて縫い合わせ後にステッチを入れて、最後に側面で生地を縫い合わせてブーツ形状にすることにしました(側面は縫い合わせのみ)。
(シフトブーツのシフトノブ側が極端に細い為、普通のミシンではその場所の縫製後にステッチを入れることが出来ないためです)
① ブーツの手前側2枚と奥側2枚をそれぞれ縫い合わせる
② ①で縫い合わせた箇所の左右にステッチを入れる
③ ブーツのサイド部で手前側と奥側のシートを縫い合わせる
④口部のリングを接着します。
< 完成したブーツ と 装着写真 >
(↓自作のブーツ(左) と 純正のブーツ(右) の対比)
荒探しをすると、パンチングの合わせ目が多少ズレていたり、ステッチが左右で多少ズレたりはしていますが・・・(^_^;)、予想以上に良い出来栄えになりました!(^'^)
実際に装着した瞬間の、「
感動」 というか、「
喜び」 は堪りませんでした~。!(^^)!
特に嬉しかったのは、シフトブーツ生地の折れ畳み具合(弛み具合)がイメージ通りに出来たので、それが一番のお気に入りです。(^^)
生地やステッチの色は他の色も考えましたが、先ずは純正内装のイメージを壊さない雰囲気で
「質感向上」 が図れたので、大満足です!(^'^)
< 最後に >
前後約30cm(60cm)分のステッチの為に、かなりの投資と時間を費やしてしまいましたが、生地やステッチ用の糸も多数(多種)残っているので、今後 時間を見てシフトブーツの作り替えや他のパーツを作っていきたいと思います。
毎度のことながら、長くなりましたが 最後まで目を通して頂きまして、有難うございました。m(_ _)m