
日頃ドラサポ等で
皆さんの愛車に乗らせて頂く事がありますが
セットアップの良し悪しについて
「私の車のセッティングってどうですか?」と
問われることが非常に多いです。
これは皆さんがドライビングの向上と共に
クルマのセットアップについても
現状を知りたいとかもっとセッティングを詰めたいと
思っている方が多い事を物語っているんでしょう。
しかし私の走行後の返答としては
「大きな間違いは無いと思います。
大体良いところに入っていると思いますよ」程度のものが実は多く
もしかしたら皆さんの期待からすると肩すかしにあった気分の方もいるのかもしれません。
しかし、クルマのセッティングは本当に突き詰めていくと細かい部分に入って行って
ドライビングの仕方が違うと良いセットアップというのは常に変化が求められてしまうものです。
ここから先、コンディションやドライビングに合わせても1秒も変わらないよな~という
所謂”ゾーン”に入っていれば上記のコメントになるケースが多いですし
既にオーナーさんもその領域内での話が必要と感じればドライビングスタイルを加味して
細かい話をさせて頂くケースもあるのです。
セットアップの楽しい所であり厄介な部分は、タイヤの銘柄を変えたり車高長を変えたり、
ブレーキシステムを変えたりするとベターの状況が変化していくので
このセットアップでずっと正しい状態のままで走れるという訳ではないと言う部分です。
何処まで行ってもクルマの現状に合わせたドライビングとドライビングに合わせたセットアップの
高次元での融合が求められるという事です。
だから”クルマはスイートスポットが広いノーマル状態が一番”と言われたりするし、
なるべく固くしないで車高も落とし過ぎないでドライバーの操作によって
車を路面から近いところで動かせるようになってセットアップ変更の効果が高くなってきたら
まずは安全の為にブレーキをやって、それからクルマの挙動も感じやすいようにシートを変えて・・・
足を変えて調整幅を広げてみよう(足を変えただけではタイムは効果的には上がりません)
スタビを調整できるタイプに変えてみようか?と泥沼(←失礼)に進んでいく訳です。
これは私の経験談ですが・・・
出口のオーバーが怖いから足を固めたと言う人が居ました。
→ 結果本人は入口の反応も良くなったと喜んでたのですが実は反応は良くなっても
旋回性能は落ちて入口~中のアンダー量が本人も気づかない内に増えてしまいました。
これが出口での加速のし辛さに繋がってトラクションを掛けてもクルマは安定しているのですが
絶対的なトラクション量は実は減っていてタイム向上に繋がらなかった。。。というケース。
→ 出口のオーバーが印象に残り易いのでそこから直そうとしてしまうのですが
入口のアンダーを直して出口でアクセルON時に極力ステアが残らないようにしたほうが治る時も
その為には逆に柔らかくした方が正解の場合もある
固いとか柔らかいというのはその時点の正解軸に対しての相対的な表現なのが難しいのですが
固い方向にすると当然クルマの限界は高くなるがタイヤへの要求も高くなって
限界過度期がナーバスになる
→ これが怖くて自分の限界が低くなる事でタイムが落ちるケースもある。
固くするとロールが当然減るので恐怖心が減ったり、車の限界領域を感じれるゾーンが
自分の怖さを感じない部分で感じれることによって”自分の限界が高くなった”状況になり
結果、クルマの限界はちょっと減ったかもしれないけどドライバーの限界が高くなった分が勝って
タイムが向上に繋がったというケースもある。
コーナーリングは必ず入口から始まり出口に向かっていくので
入口が原因で出口に結果が出るというケースがやはり多く、
まずは入口の問題を消して行って徐々に中から出口に向かって行くというセオリーを忘れてしまうと
直したい症状が気づかないうちに悪化していくという悪循環にもあるのが怖いところです。
ただセットアップはドライバーの感じる部分の微妙な違いによって
プロの中でも評価が大きく分かれるものですから
慎重に多角的にそして軸のぶれない整ったドライビングの中で評価をしていき
調整する楽しみもまた楽しんでほしいと思います。
大切なのは・・・
どういうコーナーのどういう部分で自分がどう操作をした時に
車がどうなったか?(どうなりそうなのが怖いか?)、
操作でこういう調整をしても治らないとかこういう変化があった、
これをこういう操作をした時にクルマがこうなってくれれば、こういう目的が達成できるのプロセスで
その結果タイムが上がったのか?乗り易くなっただけなのか?の効果判断です。
セットアップにも目的に応じて色々あって
感じやすいクルマにしてドライバーが攻めやすくする為のものや
限界を上げてタイムを狙うためのもの、コンスタントに走る為のもの、
滑ってからでもリカバリーやコントロールがし易いようにする為のもの等・・・千差万別です。
ショックスピードの変更(減衰値)はクルマの挙動の味付けの部分で
最終的にはとても大事な部分なのでどうしたらどうなるか?こうしたい時にはこうする?等
知っておくと弄る楽しみも増えますよね。
この辺も今後ワンスマDVDでも徹底追及していきたいと思いますよ!
その前にタイヤ実技編の後は3月末にタイヤThe学編をお送りする予定です >>>
こちら