
8月初っ端の業務はFSWショートコース。
海外のお客様がUSでBMWのM3を中古で購入し、カリフォルニアのチューニングショップでクルマを製作。
外装は全横2Mオーバーのオーバーフェンダー!
内装は全部引っ剥がしてロールケージ装着、2脚のバケットシートのみ。
エンジンはノーマルのままのようですが吸排気系と足とブレーキ周りが変更され、ロガーシステムが装着。タイヤはSタイヤという結構ハードな仕様。。。
先月カリフォルニアから横浜港に到着し通関や運搬などの手配をしてやっと御殿場のとあるガレージに到着。
来週そのお客様が来日してこのマシンでFSWを走行するので、その前にチェック走行という事です。
まず言いたいのは・・・「クルマはノーマルが一番!」です(笑)
このマシンを前にそんな事を言うのはバカげているようですが本当です。。。
メーカーが時間とコストと威信を掛けて製作したマシンですから全方位的に良いに決まっている。
でもサーキット走行だとか、速く走りたいとか、かっこよくしたいとかとう欲望がそこにあり、そこに市場(マーケット)があるのも事実。
でもノーマルから何かを変えるという事は全方位万能型から方位を絞って特化させるという事ですから、何かが良くなる反面、何かが悪くなったり、リスクが高くなったりするのは受け入れるべき部分です。
特に今回の様にこのマシンを作った製作責任者も不在、オーナーも不在の中で既に弄っているマシンを走らせるのは一般道は当然ながら(このマシンはナンバーが付いてないのでそういう意味でも)、レーシングコースも環境を十分考慮して走らないと行けません。
レーシングカーのシェークダウンよりもリスクがあるのがこの手のチューニングカーのチェック走行、私も凄く怖いので慎重にスタートさせます。
特にBMWは前後のタイヤサイズを変えると敏感にクルマの前後バランスが反応するのでタイヤを大きくすれば良いというクルマでは無い。
カレーというモノを食べた事が無い人がいきなりインド人シェフを捕まえて「スパイスたっぷりの本場インド風のチキンカレーを作って俺の舌を唸らせてくれ!」とオーダーしてしまったような今回のケース。。。
今日ショートコースでの走行スタートを選んだも、レーシングコースが走る時間が無いというのもありますが、レトルトで良いのでカレーの基本が保たれているか?これを確認すると言う意味でもあります。
まずはブレーキが作動するか?フェードしないか?ABSは作動するか?液漏れ等は無いか?取付てあるものが外れそうになったりしないか?ステアリングは効くか?アクセル操作にリニアに反応するか?等”ちゃんと走るか?”のレベル。
まだ原因は不明ですがエンジンの熱なのか?バッテリーが弱っているのか?オルタネーター系のトラブルなのか?エンジンが走行中に停止してしまうトラブルが発覚。
一番製作者が居ないと困るトラブルでもある相手は”電気”。。。
来週の走行迄に原因を解消できるのか心配です。。。
こうしてトラブル出し、基本性能チェックなど、クルマを弄るとやるべき事が増える = コスト増でもあります。レーシングコースで走行する領域だと起こるトラブル源がまだ潜んでいるかもしれないという頭もまだ一部に残っている位。
とにかく安全性が保たれているか?クルマの素性の良さが失われてないか?素性の悪さが解消しているか?全体的なバランスは保たれて、製作の意図、オーナーのレベル(意識と技術)に準じているか?が大事。
そういうリスクを背負う事になるという事を車両を作る側、製作を依頼する側も認識した上で”チューニングの楽しさ”があるのは事実ですから、その楽しさを広めないと責任不在、業界の未熟さを露呈する事になりますよね。
クルマをチューニングする = パワーを上げる、固くする、低くする ではないのです。。。
是非皆さんはモノに頼りすぎず、腕と安全管理の技術もチューニングして”正しく楽しく効果のあるチューニング”をしましょう!
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Posted at
2014/08/01 11:03:16