
ドバイ24時間から帰国をしました。
改めてこの週末を振り返りたいと思います。
まずは事の顛末・・・
実は昨年に続いてドバイ24時間に出る事は事前に決まっていたのですが、所属する予定のチームが諸事情で出れなくなった為に12月になってから改めてシートを探す事に。
アブダビ→タイに2週間出張をしていた最中に知っている海外(特にヨーロッパ系)の関係者に事情を伝えてどこか無いか?と相談。
タイの現地で会ったPORSHCEのチーム関係者(2008年のスーパーカップ参戦の時からの友人)からBlackFalconが探しているから紹介してやる。と・・・
そこからは直接チームとメールでのやりとり・・・当然”澤なんて知らない”ようで(笑)ドバイは走ったことあるか?耐久レースの経験は?昨年のドバイでどうだったか?(車を壊すようなトラブルに遭遇したか?)等根掘り葉掘り聞かれたので丁寧に説明。
海外行くまでは日本でこれこれしかじか、2006年からPCCA等アジアで、2008年はスーパーカップでドイツとフランス戦出場、2009-2010年はマカオGP優勝、2011年はPCCAチャンプ、毎年年末にシュツットガルトで開催されるPORSCHE NIGHT PARTYも4回行ってるよと・・・
で、めでたくシート確保が決定してからもう年末年始の数週間の間で準備を進めて、超ギリギリな感じでした(苦笑)
だから・・・現地に到着した段階で8割仕事終わっている感じがした!
水曜日に現地に到着すると直ぐにチームと合流、Black Falconてニュルのサーキット近くにファクトリーを構え、ドイツの中でも名門中の名門でニュルのシリーズ(24時間レースを含む)でも数々の勝利を記録してきた強豪チーム。
今回もA6-Pro(GT3)クラスにSLSを2台、そして991(2015年新車)を2台と合計4台走らせる、だから物量もスタッフの数も半端無い!!、当然名前と顔は一致しません。
最低限自分が世話になるDriver達とチームオーナー、エンジニア、担当メカだけはきっちりコミュニケーションを取るように努力したけど、初めてのチームはやっぱり”自分は日本人”と思われるハズだから気を遣う(笑)
チーム全体の最初のMTGで”レースは20年以上やってる、ドバイは2回目、マカオで2回勝って、PCCAはプロクラスでチャンプ”って自己紹介で言ったら皆目の色が変わった気がした(笑)
走行初日の走行でそれは確信になって、上手く走れてタイムもいいし、2台の991カップの仕様違いを乗り換えてセットアップのフィードバックやアドバイスを聞いて取り入れてくれたという点が信頼を得ているという雰囲気だったのでした。
(他の3名のDrは1名はジェントルマンなので走る事に集中、もう1名はF3レースをやっている若いDrでまだツーリングカーの走らせ方やセットアップの話はこれから、もう1名のドイツ人の若いDrが私と同じ位のペースで勢いがある、GT3マシンもそこそこ乗っている所謂この車両のエース的存在、ただ、マシンのフィードバックはまだまだな印象)
こういう”初めての環境”が多いときにワンスマ事業でやっている事が活きると実感しつつ、予選はアタッカーを任せられるという大役。
結果は先のブログの通り不運に見舞われましたがそれでももう1台の25号車のエースDrとデータ比較しても自信が持てた。
991カップはそれほど沢山の経験はないが、自分の中でイメージしていた997カップと991カップの特性の違いをそのまま活用できた。
(ABS装着で足回り等もオリジナルから変更され耐久仕様となっていたのも大きい)
今回はレースWEEK、食事にもいつも以上に気を使ってコンディショニング。体重コントロールよりも体調(スタミナ)切れにならぬよう・・・
スタートはエース君、予定通りクラストップに・・・この後私の1回目のスティント、この最初の雰囲気が大切、まだ熱い状況でタイヤがどう減る?コースのタイヤカスの状況、90台以上居る車両とのコミュニケーション等・・・
1回が約1時間15-45分のスティント、3回休んで1回乗るというペース。
2回目は既に夜間になってより他車とのコミュニケーションが大切、大体バックマーカーの処理の仕方のパターンが安定し出すし、涼しくなってペースが日中より少し良く成りだすのもこの時期。
依然順調にペースを維持しクラストップ(総合では6-10位の間を行ったり来たり)クラス2位とは4-5LAPの差。夜間はエース君と私を中心にスティントが進むのでちょっと休み時間が少なくて大変だった。
私が3回目を終えて4回目に向けて仮眠中に(スタート後15時間の朝5時頃)パドルシフトの接触不良というトラブルで少し時間を掛けてしまったり、Dr-ID切替をDrが忘れてピットスルーペナが1回という事があったらしい、シフトトラブルはチームは機転をきかせて同時に予定していたレース中1回のブレーキシステム交換を実施し最小限のロスに留める。
私の4回目のスティントもマシンは絶好調、エンジンパワーもブレーキも全然長時間連続走行でも衰えないのはカップカーとはいえ、”耐久に強いPORSCHE”を再確認。
足回りのダメージとブレーキへの攻撃を最小限にする為になるべく乗せない縁石、ブレーキ旋回を最小限に留めブレーキ温存、タイヤカスを拾ってしまった時だけ縁石を使ってタイヤカスを取る等、”耐久技”を駆使しながら、燃料残量、水温、タイヤの状況など無線でコミュニケーションしながら走行。
数回走ると次々現れる周回遅れの中でも”相性”が出てくる(笑)、きっと毎回同じDrじゃないハズだけどこの車は譲りすぎてそれじゃまともに走れないでしょう!とか、全然見てないでしょう?とか、突っ込みすぎて切り遅れてターンインいつもしてきたり、フラフラしているとか、ウィンカー出す方向がいつも逆のマシン、譲ろうかどうしようか常に迷っていて逆に危ないとか、もう色々居る!GT3マシンに抜かれる時もオラオラ系とこちらの”ここは待っててね”の動きに応じてくれる系がいる。GT3マシンなのにペースが悪くて凄く抜きづらかったり、ちょうどペースが同調してしまって”嵌る”状態になってしまったりも・・・
4回目のスティントは既に朝9時頃で明るい時間でしたが、何とラジエーターにコース上の異物が当たったのか?ピットインの際に水漏れを発見。そこからメカニックの作業がスーパーでした。約15分でラジエーターを交換(水抜きも同時!)、クラス2位に後退してしまうもまだ1LAP差、トップは何とチームメイトの25号車!
”楽勝ペースだから確実にゆっくり行こう”と言ってた矢先、でもまだ幸運だったのは私のスティントの途中でなく、ピットイン直前でほぼロスタイムが無かった点、水温上昇などでエンジンダメージが皆無だった事です。
そこからはペースアップ!!同じくPORSCHE名門チームのレヒナーレーシングの7号車も追い上げてきていて1-2LAP内で3つ巴の様相、ピットのタイミングで順位が変わるという展開。25号車はエース級が1名だけど26号車は私も居るのでここが結果的に勝因となったのですが、私は25号車のエースと同時期に走って差をキープ、うちのエース君も私と同等ペースで走るのでここで3秒/1LAP平均の勢いで25号車と1LAP差以上あった差を同一周回にして、更に詰めていくという感じ。
私の5回目(最終)スティントは1時間半を熱いコンディションの中でフルプッシュ!キツかった(笑)。
最後の1時間でエース君に交代、同一周回でその差は1分少し!
残り40分、計算上は追いつける、残り10分を切って10秒以内、そして残り6分の時点で追いつき逆転!!
チームのピット内は大盛り上がりのようなちょっとお互い気を使うような微妙な雰囲気(笑)
そして残り2LAPを難なく走りきってクラストップでチェッカーを抜ける~!という流れでした。
トラブルの際のメカの早業、ドライバーのペース維持、マシンのコンディショニング、そして強いチームと車両が勝因ですね。本当にBlack Falcon強い!!、A-6(Pro)クラスも総合優勝は同チームのSLSだし997クラスは1-2フィニッシュだし。。。
いつも言いますが車のレースはレギュレーションで定められた中で速い車、強いチームでDriveするのが勝つためにはMUSTです。
だから昨年のGT-Asiaも今回も・・・です。過去を振り返ってもF-1を見たってそれは明白ですね。
結果論ですが、Dr-ID切替忘れのピットスルーや追突されてのスピンも夜間にあったらしい(!)こういう詰まらない事がなければシフトトラブルやラジエータ破損があってももう少し楽に勝てたという意見もあったのは事実ですが(苦笑)
2015年幸先良いスタート、まだまだルマン24時間諦めてませんよ、チームにはニュルも来いよ!と言われた(驚)、自分がだいぶ経験を積んだ”おっさんDr”になりつつあるという事を認識しだした(笑)マカオGPのi-Account様から引き続いてグループ企業のi-Works様(Lion Sight Rreasurey Limited様)のご支援を頂いてそもそも実現したこのレース、ドイツのPORSCHEを使う名門チームに日本人がポッとJOINTして、戦力として使ってくれて戦ったレースは日本でレースを続けていたら絶対に経験できなかった、やっぱりヨーロッパのレースは違う!(何が違うのか良く解らないんですが、何かが確実に違う!)、最高の結果、最高のチーム、最高の支援者の方々、素晴らしい時間でした。
いつもご支援頂いているFORZA!! Keitaのメンバーの皆様やパーソナルスポンサーの皆さんも含め本当にありがとうございました。
澤圭太、2015年もレース業もワンスマ業も”高次元の2足のわらじ”を目指して頑張ります。
長々と読んで頂きありがとうございました。
2kg痩せてしまったヘチマのような体、体全体を襲う痛みや倦怠感を徐々に回復させる週末です。