
ご存知の通り
市街地マカオはクラッシュやトラブルが命取り、
30分2本しか決勝までに走行は許されないので、
経験を元に大きなクルマの変更は出来ない中で
普段以上にドライビングによる微調整が求められます。
しかも路面は刻々と変化する・・・
F3やWTCC、そしてローカルツーリングカーレース、
2輪のレースも行われクラッシュや赤旗で路面処理なども
頻発するので自分が走行する前に
そういった情報を収集して整理するのも大事です。
セットアップに関して言及しましょう。
クルマは基本アンダー方向で自分で何とか曲げる・・・
私の従来のスタイルには比較的近いのですが
特に海側の1コーナー、マンダリンという最低速度200キロ以上の高速コーナーの挙動で
全体の目標軸に対してクルマがアンダー/オーバーの何処辺りに居るかを判断します。
F3(2分12秒前後)やWTCC(2分32秒前後)は簡単に全開なので弱アンダーで良いでしょうが
GTカーの場合は勝手が違う・・・1コーナーは全開で行けるか?ちょっとアクセル戻すか?位で
マンダリンはブレーキを踏むしクルマによってはシフトダウンする場合も・・・
速度域やコーナーの形状は非常に近いこの2つのコーナーですが
踏みながら入っていく1コーナーに対して
減速状態で入るマンダリン、クルマの挙動が微妙に違います。
1コーナーを全開で行けるクルマにすることはセットアップで出来るのですが、
そうするとマンダリンはオーバーが出易くなる・・・高速コーナーの入口オーバーはとても危険です。
普段は一般道なのでFSWのようなスムースな路面ではない・・・バンプやウネリに
釣られて挙動を乱す場合も想定する必要があります。
だからサーキット神話の一つ、
”コーナーはなるべく減速しないで速いスピードを維持してクリアしたほうが速い”
これは半分はホントですがもう半分は嘘です。(意味を履き違ったり用法を間違えると逆効果)
← これを上手に伝えるのがREVSPEEDの役目です(笑)
新品タイヤの時やグリップが向上した際に上手く行ったら全開ギリギリでクリア出来るかもしれない?
1コーナーですがアクセルOFFになってもそれが直接大きな問題にはならないのです。
問題になるとしたら、そこから踏み直してマンダリンまでの車速の伸びと
マンダリンの入口の挙動、そこからマカオ1番のパッシングポイントである
リスボア90度コーナーまでの再加速・・・そういった一連の全体バランスが大事なんですね!
仮に1コーナーでニュートラルな挙動だとマンダリンはおろか、
山側はオーバーステアが大きくなる可能性だって高い。
セットアップで大事なのは・・・
リスボアのブレーキングの挙動と高速時の姿勢(車高とダウンフォース)、
そして”良い”アンダーステア状態を作ること・・・
アンダーステアに良いとか悪いとかあるのか?と思われるでしょうがあるんです・・・
(これはまた次の機会に・・・)
例えて言うならガヤルドは今回6速を一杯使う仕様でしたからダウンフォースを削りすぎると
特にブレーキング時に後輪のABS作動が早まって制動距離が長くなってしまう症状と
マンダリン手前で6速でREVリミットに当たってしまって失速してしまう症状があった
(特に予選アタック時)
これでは全体としてリスクが増えた割にはタイムに貢献してないとも言えるので
ダウンフォースを付けて山側をより速く走る事、ブレーキングで詰められるようにする事、
そして高速の海側は1コーナーやマンダリンをダウンフォースに助けてもらって
通過速度を上げた方がトータルで速い・・・
そんな結果に予選後のエンジニアとのMTGでなりました。
今回はプラクティスから決勝を通じてセットアップの変更点で言えば
初期ブレーキのバンプタッチを嫌ってフロントのハイスピードバンプと
フロント車高アップ(ストローク確保)、その上でアンダーの量と質を調整するために
エア圧とウィング角度・・・この位しか実際はやっていません。
それ以外は”正しいオンドリャー(気合)”と
繊細な操作の微調整がマカオは一番のセットアップ要素だからです(笑)。
だからプラクティスでの”安全も考えてちょい重めのダウンフォース”から
予選は路面も出来てくるので”攻めのギリギリ軽め”でしたが、
決勝はリアタイヤの温存と一発のブレーキングも大事なので
プラクティスと予選の中間からちょっと予選寄り程度のダウンフォースレベルとなりました。
補足として予選のリザルトに掲載されていたトップスピードがダリル君より今年は2KM速かった事も
このダウンフォースレベル調整結果に大きく寄与しています。