2016年02月12日
パッシブとアライメントを同時に…
先日マルチアンプ化して、数日経ちましたが、高音がウルサイ…
このスピーカーは高音がとにかく耳に付きますね。スピーカー本体と言うかインストール状態からそうなるのでしょうが、高音うるさい低音出ないと、両極端な感じです。
出すぎは落とせばよい話なので、ネットワークで落としています。基本的にアンプの利得は全チャンネルで同じにしているのですが、ミッドバスに比べて10dBも落としています。
パッシブの時からとにかく耳につき、ツイーターレベルの切替を最低にしてもまだ耳についた位でしたから、元々そういう音か、インストールのせいか、どちらかでしょう。
マルチアンプにすると嫌でも出て来るのが、タイムアライメントですが、例の如く距離を測って入れています。
今回、MH21Sの純正ツイーター位置とミッドバスが偶然にもリスニングポジションから左右それぞれ等距離にあることがわかりました。
スピーカーは箱に入れて使うのが一般的ですが、基本的に、ユニットの装着面は平面にします。そうでないと位相がずれてしまうからですが、車の中ではできないので、タイムアライメントで敢えてずらして元に戻すという事をやっています。
しかし、左右片側のミッドバスとツイーターが等距離に近い場所にあるということは、この二つのユニットから出た音は位相が合っているということになります。但し、運転席から見て運転席側のスピーカーと助手席側のスピーカーとは明らかに距離が違い、其の分位相がずれています。
なので、片側のミッドバスとツイーターは同じ数字になるも、左右ではそれぞれ数字が違ってきます。
タイムアライメントはデジタル処理で演算してずらされているので(実際には0.00は「処理をしない」ではなく、0.00が「目一杯ずらした状態」)、処理としてはただの遅延回路で、特段ものすごい計算をしている訳ではありませんので、負荷は小さく、音に与える影響も小さいとされています。とは言いつつも、できれば処理せずにいきたいのが日本人と言うかオーディオ好きの性でして、どうせなら外したい。
タイムアライメントよりも演算を必要とするのがアクティブネットワークで、これは文字通りの演算をして帯域別に音声信号を分けています。なので負荷も大きく音に対する影響も大きいとされています。実際、ネットワークを使うとそれだけで音が幾分劣化したように感じられます。
それならば、ネットワークは使わずに、タイムアライメントだけ使えば、いくらか音に対する影響は軽減しつつも、かつ音場をより再現できる。
そこで生きてくるのが、パッシブネットワークです。
パッシブネットワークは基本的にアライメントをかける事ができません。アライメントをかけるならばデジタルプロセッサーでアクティブネットワークを使うというのがほぼ決まりですが、何故アライメントがかけられないのかと言うと、アライメントの処理はスピーカーユニットそれぞれで違ってくるため、帯域別に分けた後で処理をする必要があるからです。パッシブネットワークでは分離した後は直接スピーカーに行くため、演算装置をいくつも入れなければならず、今のプロセッサーはそのような接続ができないものばかりで(一部にできそうなものもあるが)、「1台のプロセッサーの内部でネットワークをかけてからアライメントもかける」のがセオリーになっています。
けれども、左右片側のミッドバスとツイーターが最初から等距離にあるのだとすれば、全帯域をあらかじめずらして置いて、それをパッシブで分けたら、同じだけずれる事になります。
プロセッサーによる音質劣化を抑えながらアライメントをかける方法として、良いのではないかと思います。
本当はパッシブネットワークのような、ハード的な処理でも音質劣化は発生しています。寧ろ回路を通すと信号にずれが出るそうで、デジタルのほうが理想的だという意見もあります。しかしこれくらいのレベルのスピーカーともなると、ネットワークにもなかなかにコストがかかっています。また、パッシブネットワークはメーカーが作り上げた模範解答でもあります。できればこれをそのまま使ったほうが、生みの親の理想をリアルに再現できるということでもあります。それならば、ハード的な劣化は織り込み済みだとも言えましょうから、別にそれも、そのスピーカーの音である訳です。
不思議と言うか偶然なんですが、たまたまアクティブネットワークに設定した数値を見直していて、クロスオーバー周波数にパッシブネットワークのローパス、ハイパスフィルターのスロープ設定値を確かめてみたら、自分が設定した数値と一緒だったため、「あーやっぱりw」と、設計者の考えが分かったような気になってしまったというのもあります。
アクティブネットワークに設定した数値は、あくまで聴感上で決めたのであって、パッシブと同じ数値を入れた訳ではなかったのです。後になって数値が気になって(と言うか本当はツイーターをぶっ壊す恐れがあるので真っ先に確認すべきなんですが)調べたのですが、このスピーカーが今一つ不親切なのはスロープがぱっと見でわからず、グラフを見て判断せねばならないという事です。
スロープは大抵はdB/octという単位なのですが、グラフは縦軸dB、横軸Hzです。どうやって見たらいいのかわかりませんwww
何とか調べてわかったのは、「周波数が倍(1oct)になった時に変化したdB」ということで、グラフから読み取ったらアクティブの設定値とピッタリでした。
どうせアクティブでも同じ数字を使うのだし、距離もそんなに変わらないならパッシブで行ってもいいよね…という考えが頭を過ぎった瞬間でした。
パッシブネットワークは所謂「家のスピーカー」の中に組み込まれたネットワークのことで、家用のスピーカーをよーく聞いてみると、ユニットは3つもあるのに全ての音は1箇所から聞こえて来ます。
これがポイントソースと呼ばれるもので、カー用スピーカーを買うと付いてくるパッシブネットワークはそのためのものです。
但し、ミッドバスとツイーターが等距離にないといけません。両者の垂直二等分線上で聴いている限りは有効ですが、あまり距離が離れすぎるとこの二等分線上から外れてしまいます。別にユニットが3つ以上になっても同じですが、3つ以上になると若干距離がずれるので、設計段階で計算して作られています。
平面上にユニットがないといけないのは、このポイントソースができないからです。家のスピーカーの前でこれをやってみると、大体どのスピーカーからも同じ距離に居ると思いますが、正確には、高域になるにつれて指向性があるので、やや高域ユニットのほうが近くなります。
基本的なインストールの考え方としては、家用でも車用でも変わりません。ですが助手席側と運転席側のスピーカーは距離に差があり、どうしても運転席側のほうが近く、減衰しにくいので、大きく聞こえてしまいます。
単に近いから大きく聞こえるというのもありますが、音というのは思ったよりも「遅く」、遠くの花火の光と音がずれてしまうように、距離による影響を大きく受けます。
つまり、運転席側が50cm、助手席側が150cm離れているとすると、同時に音が出たとしても、運転席側の音が届いた頃にはまだ100cm離れた所にいるのです。これが位相差です。
光は1秒間に地球を7週半するというので十分に早いため差がわかりませんが、音は1秒で360mしか進みません。この遅さは花火を見ていればわかります。
案外この位相差というものは気になるものです。ものすごい人数でマスゲームをしても、一人だけ多少遅れると物凄く目立ちますが、ほんのちょっとの遅れがやたらと気になるのが人間なのです。
なにげに人間の嗅覚は、工場で何か漏れたりすると検知器よりも先にわかるのだそうです。
音の場合、波なので打ち消しあって「低音が消えた」とか、余計にわかりやすいものです。
さらに波なので、本来は波の頂点を聞くのが理想ですが、少しずれるとそうではなくなり、音量が小さくなったりします。
故に、単にスピーカーとの距離が違うから音量だけ何とかすればいいという訳ではなく、根本的な原因としては位相差であり、位相を直せば音量も元に戻る筈なのです。
昔はアナログなフェーズシフターというものもあった様ですが、今や殆ど見かけません。汎用性がなかったからでしょう。アナログ機器として作ってしまうと、その機能しか持てませんが、デジタルであれば基本はコンピュータなので、好きな機能を入れたり変えたりできますから、専らこちらが現在の主流という訳です。
強引に、スピーカーケーブルを長-くすれば、いずれは合うはずですが、ケーブル内での内部損失だとか、そもそも導体中では光の速さで伝播するらしいのでとんでもない長さが必要ですが…それなら、スピーカーユニットの取り付け位置をずらしたほうが良いです。
なので、和洋折衷と言うか温故知新と言うか、今ある中で最高と言うと、パッシブとアライメントのコラボなんてのもいいかなと思っています。勿論、アンプはブリッジで200W×2chです。最悪、アンプをA4にしてみても良いかなと。買い替えは…結構するので、できれば避けたいところです。
それで音が良ければいいんですよ、オーディオなんて…オーディオで一番困るのは、変わらない事です…。
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Posted at
2016/02/13 01:05:54
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