折角なので今回はフルスケールでお送りします。
あれから早一か月、
季節は冬になってしまいましたが、今年の遠出の秋(年中そんな気もしますが)は思い切って連休を作ってドライブしてきました。
きっかけは、今年頭に九州本土の最南端、佐多岬まで行ったので、もう今年は末端ドライブの年として、この秋は逆に最北端へのドライブを考えました。
佐多岬は九州島の最南端ですが、何に対する末端なのかで最南端とは言えなくなってしまいます。同じく最北端も変わってしまいます。
小生の中の人は、一般人が気軽に車で行ける、本州から地続きプラス北海道(離島除く)の範囲で、その意味で最南端を佐多岬としたようです。
沖縄も北海道も、自家用車で行くとなると絶対にフェリーを使う事になりますが、沖縄はトンネルもつながっていない明らかな離島なのと、佐多岬を最南端と考えていることもあり、一方で北海道もフェリーは使うが昔はカートレインがあったし鉄道でつながっているし、本州に近いとして所謂本土ととらえているためです。
まあ、沖縄にカーフェリーで行くのが一般的かどうか?というだけですが。
その意味で最北端と言うと、北海道の宗谷岬になります。
最北端に関しては、北海道を含めてしまえば(色々もめている所を除くと)、殆どの場合に宗谷岬となりますので、揉める事はないでしょう。
さてこの意味では、北海道にはもう一つの末端である最東端があります。本当の日本国の最東端は(建設業とかでもなければ)一般人ではまず行けないので、検討してもどうにもなりません。「北海道の」最東端という意味では議論の余地はありますが、一般人が現状で到達できる最東端という意味でとらえれば、これは納沙布岬になります。
計画自体は、実は夏タイヤ交換をしようと思った今年の春あたりに、夏タイヤの溝がほぼゼロなので、まだマシな3年落ち雪溝なしスタッドレスのままにしたあたりから在りました。
雪溝がないのでもう雪道には使えないため、冬には新品スタッドレスに替えるつもりだったので、それなら本格的な冬になる前に、念のために新品タイヤで行こうと。なので、スタッドレスが出回る時期かつフェリーも仕事も空いていそうな時期で、10月末。
もうこれは、「今年やるべき何か」に違いないと小生の中の人が一大決心し、会社の福利厚生を使い切るための原資をはたいて、準備をすることにしたのです。
冬タイヤを店で今年一番に取り寄せて、フェリーも予約を取って、仕事の休みを入れてと、出発の二週間くらい前からはバカンス気分と言う言葉がピッタリな気分でした。
一番困ったのは、北海道についてからの行動予定でした。
自分がドライブ狂で給料をリアルにガソリンに替えて燃やしていることは職場の衆知になっていますが、職場に函館出身の人がいるので車で北海道一周したら何時間かかるかと聞いたら笑われました。
網走から稚内まで車でどれくらいかと聞いたら、北海道なめてると言われました。北海道内にいても道東には行ったことがないそう。
まあ、これらは後々身をもって知ることになるのですが、フェリー片道で実質2日、往復で4日。1週間丸々休みにしたとしても9日しかないので、ドライブは5日間しかできない。最東端と最北端は必ず経由するとして、どうせなら渡れない島も見ておきたい。
コロナ前に札幌に行った時に気になった店も行きたいし、セメダインの匂いがしていた三升漬もリトライに探したい。
というか、ここまでのルート取るなら、もう函館も行ってしまいたい。
取れる休みと諸々の旅程を考えて、雪で時間食った場合に備えて函館は予備日扱いにする。最悪、最東端と最南端以外は全てキャンセルの可能性あり。
北海道1日目は昼過ぎから釧路まで約300キロ。2日目釧路から納沙布岬、羅臼経由で網走まで約400キロ。3日目網走から稚内まで約300キロ。4日目稚内から札幌まで約400キロ。5日目札幌から函館まで約400キロ。6日目函館から苫小牧で約400キロ。7日目に苫小牧から帰路。
どう考えても道内で1週間。さらに休み延長。雪降ると多分破綻するので、この時期がギリギリ。流氷は次の機会に。
こんな長期の休みを申請したのは、コロナ中に原因不明の熱が下がらなかった時以来で(ちなみにその後から今迄職場で結構発生)、妙に話が広がって逆に引けなくなってしまった。
フェリー代、タイヤ代、油と高速、ホテル代で新品のBRAXスピーカーも買える30万近くをかけてドライブしてきましたので、記念に残します。
◆1日目
自宅~茨城県大洗~商船三井さんふらわあ フェリー乗船

高速で大洗まで…道は何度も走っていますがフェリー乗船は初めて
大雨の中で乗船待ち…何もやることがないが待つしかない 飛行機くらいの気持ちで居たほうがいいですな
揺れる(笑) まあまあ荒れた日らしいが酔わなかったものの、一番しんどいのは揺れながらの夕飯、平衡感覚本当に持っていかれる 飯は美味かった
リアル1畳で寝る(シングルベッドより若干長い位)、20時間余りひたすら、この空間で過ごす事になる
◆2日目
フェリー下船~北海道苫小牧市~釧路市 約300キロ
地震以来の地面が波打ってる酔いが続く中、一般道を抜けて初の北海道の高速へ
途中、道の駅に蒸気機関車の展示があったので、柄にもなく寄ってみた

あとは1車線高速をひたすら走って、明日の納沙布行きのため釧路の宿へ
サービスエリアどころかIC自体が間隔長い、降りられもしない(笑)
トイレを探すもコンビニがない 北海道広いorz
◆3日目
釧路市~厚岸町~根室市納沙布岬~野付半島~網走市 約350キロ
納沙布岬までひたすら下道を進む
途中で厚岸駅前でほたて入かきめしを買う (東京駅で売ってるのは関東工場製造で、ここは手作り販売 ほたて入りにした)

本土最東端、納沙布岬到着 意外に人が多い、空かないw 道内ナンバーも多い
案外、道内でもここいらは滅多なレベルの外出らしい

ニュースなんかで聞くには聞くが、思ったより近く感じる北方領土(萠茂尻島、左はたぶん水晶島)、断崖の筋まで普通に目で見える 展示館も二か所拝観、
今回は最東端到達証明ももらった

根室市を抜け戻り、真っ黄っ黄の紅葉の中を北上、地図を見てると細すぎて今にも流されそうな道があるみたいで気になっていた野付半島の先っぽへ、
山でもないのに普通にエゾシカもキツネも居るのが北海道らしい

ぼーんやり、でーんと横に広くある国後島(択捉島は配置的に見えない) 今回、天気はかなり良い日みたい

予定では知床半島を羅臼方面へ北上して知床峠を抜けていく予定だったが、当日朝に初雪が降って冬季閉鎖になったらしいため断念して国道244号へ

旅行中一番気温が低い零度を記録、道の脇に雪が残るも凍結路まではいかず、来週だったら多分大変だった
大地が広すぎて本州人が感じたことのない人間の希薄さと自然の深さそしてヒグマの存在が、日没と共に慣れている筈の山道ドライブを言いようのない不安感で覆い尽くす
◆4日目
網走市~網走監獄~猿払村道エサヌカ線~稚内市 約330キロ
ひたすら下道で330キロ走る、正直一番キツかった日

折角来たので言わずと知れた網走監獄を観光、宗谷岬に日のある内に着きたかったので一時間以内で出るつもりが、やっぱりレビュー通り二時間以上かかった 流氷館は次にとっておくことに

売店のオバチャンに本州あったかそうと言われたので、暖房焚いてるせいで北海道は部屋の中が暑すぎて汗かいて寒くて風邪ひきそうだと教えてあげた
サロマ湖の道の駅で焼きホタテと豚の串焼きを買って湖畔の駐車場で食ったのが旨かった チャレンジメニューのバケツみたいな大盛カレー完食してる人すごかった
そこから稚内までの道は、二日目と似たような海沿いと集落内の繰り返し
全然進まないので、ただただ遠い鹿児島パターンで無心で走り続ける、全く見知らぬ道の駅でもまだ距離半分という絶望感
問題は枝幸町の市街地を越えたあたりで日が暮れてしまい、稚内までエゾシカだらけに
噂に聞いていた猿払のエサヌカ線も夜は真っ暗、エゾシカだらけでおっかないだけで快走なんて感じで走れたもんじゃない
宗谷岬に近づくにつれて急ブレーキ10回以上踏む羽目に
何とか到着、時間が時間だけにフリー状態だが、何にも見えないのでかえって変に怖さを感じる
たまらず日本最北端のコンビニへ
疲れてしまい何もする気にならず。しかし最北端のすき家でいつものメニューをテイクアウトし、ちょっとだけほっとした
◆5日目
稚内市~宗谷岬~留萌市~札幌市 約370キロ
昨日とは違って午後四時までに札幌市内へ到着するミッションの日、かつ前日に昼間宗谷岬に行けなかったのでリベンジを追加
昨日はこの距離を走ってきたと思えば納得…よくやった俺
何がって高速じゃないから走っても数字が減ってかないのよ+エゾシカ効果

ロシア語の看板 学生時代にロシア語を取っていてアルファベートは読めるので、これが見たかったと言っても過言ではない 大統領変わってからは定期船も止まっておりフェリー乗り場も閉鎖中とのこと、初海外旅行にしたかったのに

宗谷岬に舞い戻り 土産物屋で北海道型の葉書を買って送った後、日本最北端の給油所で給油(最北端給油証明をもらえる)

樺太がうっすら見えたが、写真にはほとんど写らず

その後は稚内市内からひたすら南下、ミニ高速区間などもあり留萌からは高速に乗れるので予定していた時間に到着
道中、会津のにしん山椒漬でお世話になっております、にしん御殿様(ここのか分からんけど)

苫小牧に近い札幌に帰ってきたので、いざとなったら帰れると一安心
◆6日目
札幌市~定山渓~洞爺湖~函館市
札幌市内ドライブ後に定山渓と洞爺湖を抜けて高速で函館へ、しかし函館に近づくにつれ大雨の日
定山渓は小雨で霧かかっていたが、紅葉始まりでなかなか良い眺め

洞爺湖も見たかったが、濃霧で全然景色が見えないので省略して高速へ
高速で函館方面へ向いていくが雨が増える一方で、函館市内は大雨、夜景を見に行こうと思ったがとても見れそうにないので大人しく宿屋で大雨の中露天温泉三昧
◆7日目
函館市~函館山~五稜郭~七飯町~室蘭市~登別温泉~苫小牧
予備日として考えていたので宿予約無しの日、なんなら道端の休憩所にでも泊まろうと思っていたが、そもそも北海道だとそれも少ないのを考えてなかった(笑)
雨が上がっていたので、昼間なら車で函館山登れると聞いてドライブへ
噂に聞く通りの景色の良さ、個人的には昼間のほうが好きかもしれない

ロープウェイ停まってた だからか人が少なかった印象も、個人的には良い具合だった
五稜郭 やっぱりこの星形が魅力 星形というのがいいのだ

調子に乗って函館奉行所も見学 個人的に絶対に生活に必要な便所を見るのが好きなのですが意外と展示されてない所が多く良い感じ(注・未使用新品)

16億…盛況。ロープウェイといい、五稜郭タワーといい、函館市はこういう観光投資が上手い気がします
八雲PAから 北海道はこういう見下ろしのパノラマが至る所にある 大き目の白菜一玉が350円だったので衝動買い、利尻の地酒もあったが金欠で買えなかったのが心残り

高速代節約のため&どこかで仮眠できればと、室蘭で降りて白鳥大橋横断 室蘭市内のスーパーで地酒探しついでに良い仮眠場所(路傍の休憩宿泊所)を探すもなく、そのまま苫小牧方面へ進む途中で登別温泉があるので地獄谷見物、なんなら空き部屋探しに寄り道 結局部屋は開いてなかった これだけは後悔した
その日の内に苫小牧港まで到達
◆8・9日目
苫小牧市~茨城県大洗~商船三井さんふらわあ フェリー乗船~自宅

待ち時間、イオンにて色々観察…
冬靴という文化があるのを初めて知る(冬タイヤも冬服もあるからそれはそうか)、最近南会津の温泉に行くことが割に多いので折角なので安いブーツを購入…靴底がスタッドレスタイヤみたいになってる(バックルもうあるけど)
サッポロビールのクラシックを箱買い 車なので無問題(つよい)
胆振フェスタとかやってたので、しいたけ2パック300円で衝動買い
ここまで来てダイソー系列のショップでクスノキチップを発見してムカデ避けに5袋衝動買い、結構近場にもあることを知る
夕方に乗船手続き、帰りのフェリーに乗船 行きと違い揺れが殆どなかった
❖(いつもの)回想
初のカーフェリーと初の北海道ドライブになりましたが、ドライブは散々なほど出来たし、散在する道内の観光名所もチラホラ回れたので、主目的以上に果たせたと思います。欲を言えば、層雲峡とか夕張も行きたかったですが。
北海道の道ナメてる~については、その通りでした。
道内の道は殆ど直線で、なにより信号がないので、本当に距離÷時速の計算通りに着きます。なので一見して、ただ車を走らせればいいだけに見えがちですが、とにかく長すぎて進んでいかない。都市間の距離間隔が本州とはまるで違うことに注意する必要があります。所謂週末の買い物に行くのに、大阪ー名古屋間張りの移動になる事もあり得るのです。
北海道の車事情だと週末500キロの移動も普通だと聞きますが、実際に市井を見てみるとそう成らざるを得ないと分かります。こうなると、移動時間が生活時間に与える影響は無視できないものになり、ただ転がせばいいだけだが景色を楽しめる旅行中ならまだしも、生活となったら大変過ぎて、いずれ飽きます。
どうもGoogleマップの案内を出すと、早く着くように出て来ます。当方も計画段階でこの予測をアテにしていたのですが、実際に走ると、渋滞やらで流れが悪い訳でもないのに、それよりもかかった、という事が多い気がします。
その原因は、やっぱり距離がありすぎて法定速度だと圧倒的に早さが足りず、実際に走っている人はそれなりの速さで走っているという現実です。
正直、たまにある市街地を除けば、本州と違い道路幅も非常に余裕があり、引き上げても問題なさそうに見える場所が非常に多いです。まあそれでも、今度はエゾシカにぶつかったらどうするのかという問題もあるのですが、それも承知で早く帰りたいというのが生活者の本音なのか、そういう道路事情になってしまうのも止むを得ないのかと思います。
このあたり、正月に走った高知の国道194号線のような、「高知まで100キロ」みたいな場所が似ていると思いますが、すっかり有名になった新4号国道のように単に飛ばしているのではなく、飛ばさないと生活に関わって来るという事情が背景にあります。
正直、週末にキロ数だけなら北海道と同じような感じで走り回っている当方ですので、趣味と生活を両立できそうだ、走るだけなら真似できそうと思っていたところですが、生活のために強制されるとなるとやっぱり不便と感じずにはいられません。
しかも雪が降る事も考えないといけないのですから、基本的な生活が難しい土地柄なのです。
ただ、生計が難しい土地なのかと思いきや、山では無茶苦茶広い畑の農家が点在しており、海沿いの漁村などは家も立派で、集落としては人数が少ないようですが経済は良さそうに見えました。
一番意外だったのがガソリンの値段で、正直家の近所から10円ちょっと高い位の値段で、稚内まで来るともう少し上がりましたが、それでも米沢や会津よりも安いのに驚きました。尤も今回は、層雲峡や夕張といった北海道の山奥には行っていないので、そういう場所では違うのかもしれませんが、すごい高いという印象ではありませんでした。
恐らく燃料調整が入っているのだと思うのですが、そのために暖房費も安いのか、それほど寒くないのに暖房が入っている所が多く、かえって暑いほどの場所も多くて、殆ど暖房を切って過ごしていました。ただこれも、直ぐに暖房を切れない季節に入るのでしょうから、今だけの話にも思います。
あとは、たまたまなのかもしれませんが、コンビニ、スタンドのお姉ちゃん、刑務所の売店のオバチャン、旅館のオバチャン、イオンのオバチャン、偶然にも何か女の人ばっかりですが、開拓者の系統のせいなのか北海道民の性なのか、どっしりした強さを感じました。辛抱強いというか我慢強いと言うか、その環境に対し肝が据わっているのか何がどうなのか上手く言えないですが、まあこれは、雪国に行くと少なからず出てくる傾向かもしれませんが。
開拓からの歴史が浅いこともあり、伝統的なものが想像していたよりも少ない感じがしました。それこそ鰊の山椒漬とかしもつかれと言った類の伝統的なものです。戦後あたりの比較的新しいものなら沢山あるのですが、それより前だと一気にアイヌ時代まで飛ぶような気がします。三升漬が一番それに近い存在です。九州と違い日本酒が多いのは個人的に嬉しかったところです。
フェリーはなかなか良かったですが、次があるなら個室にしますかね。待っている間、一畳間の個室でただ酒を飲んで寝ているだけだったので、個室で色々やったほうが良い気がしました。酒飲んで散策しているだけだと飽きてきます。それか深夜便。
でも現実的な話をすれば、次からはレンタカーでしょうね。道内を毎日連続で車移動は想像以上に大変です。一回の旅行の行き先を絞って、車移動するにしても二都市間くらいにしておいたほうが良いです。なんか普通にネット記事に乗ってる気もしますが。
以上、最北端最東端ドライブの旅でした。今後はこんな無茶なドライブは、有給では恐らく出来ないだろうと思いますが、何とか入れられないか考えてみたいと思います。
さて、これで離島沖縄を除いた日本本土ドライブとしては、最北最東最南については到達したことになります。正月に最西端にも行っておいたほうが良かったかもと思うところですが、これはひたすら道を走れば着くので、そのうち行くでしょうから問題ありません(笑)
次の長距離ドライブについて。実は本州の最西端(毘沙の鼻)は正月に行っているので、当初の最東北端ドライブの帰路は当初、函館から大間に渡って本州最北端も到達、さらに余裕があれば岩手で本州最東端も到達する予定でした。しかしスケジュールとクラッチが心配だったために帰路も大洗迄にしたので、当面は本州東端と北端を目指していこうと思います。
今年はこのドライブに全てを合わせたために、冬季閉鎖までに行けたのは鳥海山だけになってしまいました。渋峠、白布峠、富士山周辺道路も行きたかったのですが結局行けなかった。これは来年の予定にしておきます。
最近になって再度、車中泊仕様について再考を始めました。もし車中泊で布団を持ち込めたら、冬の夜の車中泊もかなり楽になると思いますので、再度布団の敷ける車を検討していきます。
北海道、時間あるならまた一周ドライブ行きたいです。早くて三十年後かな。