今年のモーターショーに、なぜか各社マット塗装の車両を展示していました。
画像の「HONDA Urban EV Concept」は、親しみやすさと柔らかさを表現するためにマットホワイトで塗装されています。
トヨタ GazooRacingの「GR HV SPORTS」もマットブラックで塗装されています。
今年発売予定のレクサス「RCF10th」もマットシルバーブラックで展示されていました。
このままマット塗装で販売する予定なのでしょうか
基本的にマット塗装のメンテナンスは、質感を残そうとすると大変デリケートになりますので、メーカー純正色には採用されていませんでした。
2~3年前からBMWやベンツの特別限定車にマット塗装が採用されて、タガが外れてしまったのか日本のメーカーも追従していくようですね
BMWの「i8」もモーターショーで艶消しイエローを展示していました。
結構、金っぽい質感出てて中国向けに売れそうですね。
マット塗装を使用すると未塗装樹脂パーツとの境目の違和感がなくなるのでi8みたいな車には、アリかもしれません。
ベンツの限定車のようにただただ威圧感をかもし出すために艶消しにするのもアリなんでしょう
この流れだと2~3年でマット塗装の車が一般販売化してきそうな気もするのですが個人的には、あまり大量生産には向いていないカラーのような気もします。
塗装の厚みや粒子の立ち加減が均一でないと綺麗に見えないですし、目立たない程度の厚みのムラだとしても長年使っていくうちに目立ってくることもあるでしょう。
塗装厚を均一にしないと綺麗に見えないのでぶつけてしまったあとに部分板金塗装でうまく合わせることも難しいですし、水垢や輪ジミ、虫骸がつくとすぐに塗面に浸透して落としにくくなります。
※純正で塗ったときと同じ塗料を同じ空気圧で同じ口径のノズルを同じ角度・速度で塗っていかないと色が合いません
※虫骸に関しては落とせないケースのほうが多いです
表面がザラザラしていますので泥汚れも目立ちやすく付きやすいです。
とは言ってもザラザラしてなきゃマット塗装じゃないですし、ただの曇った色ですからカッコ悪くなっちゃいますもんね
研磨剤を使用すると、その部分だけ艶が出てしまうので使えないですし
ワックスやコーティングをしても艶が出てしまいますので汚れ防止対策も取れません。
※均一に塗料が塗れていればコーティングしても均一な光沢感になり、そこまで不自然ではないんですが塗装厚にムラがあるとコーティングすることで塗装ムラが目立ってしまうこともありコーティングが落ちるまでムラが目立ってしまいますので、長期間維持できるコーティングもあまりお奨めはできません。
通常塗装であれば研磨剤で磨いて落とすタイプの汚れがすべて落とせなくなると考えるとちょっと怖いですよね
屋内保管できて、ある程度の汚れや塗りムラは気にしないで、さらにぶつけたりこすった場合は、全パーツ交換できる人向けのカラーとすれば良いのですかね…
せめて貼るシートタイプのマットカラーならば貼り換えでそれっぽく対応できるのですが…
さてマット塗装のメンテナンスですが、基本的には
水をかけながら布で拭くだけです。
純正で限定車にマット塗装をラインナップしているBMWは、専用のグラスファイバー製の布も一緒についてきます。
「その布で水をかけながら拭く」だけのメンテナンスまでがメーカー推奨のメンテ方法です。
それ以上のことをすると塗装の凹凸がなくなって艶が出てしまい質感が変わってしまいます。
もちろんワックスやコーティングどころかカーシャンプーの使用も推奨されていません。
さすが純正は厳しいです。
おそらくカーシャンプーに配合されてる艶出し成分や研磨剤、撥水剤でも質感に違いが出てしまうので推奨外にしたのでしょう。
水だけでは落としにくい汚れが付いてしまったらどうするのかまでは考えてないのでしょうか
おそらく付属のクロスが水だけで汚れが吸着できるような高性能タイプなんだとは思うのですが、さすがに限界があるように思います。
そもそも車をピッカピカにするのって日本だけの文化なので対象外にされてしまったのでしょうか…
とりあえずメーカー推奨外でも塗装のザラザラ感をなくさずにできるメンテナンスは、スーツに使うような柔らかいブラシでサッサっとやるかエアーブローで吹くか、くらいまでが安全な範囲で、それ以上の圧力をかけると塗装粒子をつぶしたり落としてしまってザラザラ感がなくなってしまい、やった部分とやらなかった部分でムラが出てしまう可能性があります。
アグレッシブな方や自家塗装の方は、鉄チンホイール用の洗剤をかけてナイロンブラシでゴシゴシって方もたまに見かけますが、あくまでも自分で塗りなおせることが前提のメンテ方法ですので純正で出てきてしまうと、この方法が通用しなくなります。
輪ジミや虫骸がついたら、その部分だけ艶が出るまで研磨してしまうか強めのクリーナーを使ってゴシゴシやって質感を変えてしまうか、汚れをつけたままにするかと、純正のマット塗装は、何かをあきらめるしかなくなりそうな気がします。
まぁ マット塗装の車両をちゃんと作るには、専用の塗装ブースを作ったり、特殊塗り職人を育てたりと大変なこともあるので、そうそう簡単に一般販売化できないとは思うのですが、なぜか今年のモーターショーでは各社、マット塗装で展示する謎のムーブメントが起きているのでちょっと心配です。
マットは、特殊なカラーなので大事に綺麗に乗って頂きたいのですが「綺麗にする」の部分が、難しすぎますよね
やっぱり車って
コンパウンドでトゥルントゥルンに磨いて「
ブリス」でキッラキラに輝かせたほうが単純に美しいと思います
宝石のような輝きを毎日眺めていたいですよね