2008年12月28日
ビートたけしが新解釈!ニッポン人の現代史『2008を総決算!大混迷の原点は…1980』
一昨年の「バブルへGO!」に影響を受けてか、あるいは平成が20年になったからか、ここのところ現代史的番組が増えています。この番組は20年史というよりは、30年史というところが斬新ですね。番組内でもいろいろ興味深い考察があり、楽しんで見ることができました。
1.東急田園都市線の歴史と現在
番組の軸足を、東急田園都市線においています。東急田園都市線は、関東近郊では最も歴史が浅く、昭和40年代に路線ができています。しかも観光や物資輸送とは無関係に、純粋に「宅地開発と旅客輸送」に目的を絞っているのだそうです。そもそもこの地域は全く開発されていない「丘と田んぼ(畑?)」の地域でした。開発前の風景も流れていまして、「ボンネットバスが丘の周囲を回るように付けられた砂利道を、砂埃を上げながら走る」という、トトロの世界そのものでした。その土地を、東急グループの五島慶太が宅地開発とともに鉄道を敷設し、その上商業施設も敷設することで、大きな利益を上げたというもの。
宅地開発は昭和40年代初めからはじまり、昭和50年代終わりに完成したとのことです。その地の第一世代はすでに定年を迎えています。最近は空き地も増えてきているとのこと。(田舎へ引っ越す?)子の世代は各個に家を買い、二世帯同居は見られない模様。
感想
私の住む地域のT鉄道とは全く成り立ちが異なる路線なんですね。街の出来かたも全然違います。また、退職したら引っ越すだとか、住み替えるだとか、老いた親を残すとか、家族そのものの暮らし方も全く異なります。日本国内が均質化に向かっていても、結構地域ごとの違いがあるんですね。
2.最近の凶悪事件と、1980年発生「金属バット両親殺人事件」
最近の凶悪事件の源流は、1980年に発生した「金属バット両親殺人事件」にあるという仮説をたて、当時を振り返るというもの。私にとってもこの事件は衝撃的でした。当時は「少年犯罪(とはいっても、彼は21歳でしたが)の源流」とも言われていましたね。この事件が東急田園都市線沿線で起こったことははじめて知りました。
感想
事件そのものの背景は、今とはちょっと違うところもあります。彼の父親は昭和9年生まれと、軍隊は体験していないものの戦中戦後の厳しさがわかっている世代で、子にも厳しき接したそうです。しかも当時は学歴戦争第二期で、良い学校に入らないと人生が終わりであるかのような言われ方をした時代でした。そんな時代と家庭に育った彼が、受験に失敗したことを親になじられ、その反抗として親を殺したのは、まあ、秋葉原事件とはちょっと背景が異なるものの、残忍さという点では確かに通じます。
3.東電OL殺人事件
1997年に渋谷で起こった東電OL殺人事件。彼女は田園都市線沿線には住んでいなかったものの、渋谷という点でつながっており、紹介されました。彼女、男女雇用機会均等法前に東電に入社し、職務上の差別が鬱憤となり、渋谷で水商売をしていたという考察です。
感想
女性の社会進出、および、水商売をすることが後ろめたくなくなった現代からみると、当時の騒ぎ振りが大げさに感じられます。彼女のような女性もいれば、「簡単な仕事しか与えられないことに、むしろ胡坐をかく女性」もいるわけで、女性の意欲格差に驚かされた時間でした。
総合的な感想
いやあ、なかなか興味深い内容ばかりで、あっという間二時間が過ぎた感じがします。たしか20年史に時間を割いていたような気もしますが、本番組からはむしろ1980年代初めの雰囲気が伝わってきました。1980年といえば、いかにも「デジタル時代到来」的な雰囲気があったように覚えていますが、人間史的にはずいぶん前の時代なんですね。やっぱり「バブル」は、「応仁の乱」に匹敵するほど前の時代を壊していますね。
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Posted at
2009/01/01 19:37:46
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