この日は、SAIに加えてランドクルーザープラドにも乗りました。性格の上では、まるで正反対(「真逆」は使いません!)の車です。
エンジン
1GR-FEエンジンです。GRエンジンはいろいろありますが、最大排気量です。しかも、唯一の「カップリングファン」付きです。これまでもGRエンジン車(
アルファード、
クラウン、
クラウンアスリート、
マークXzio、
ヴァンガード、
旧型クラウンアスリートと、いろいろ乗っていますが、GRエンジンはやはり「ポート噴射」に限りますね。筒内噴射エンジンでは「ドロドロ」といった嫌な振動と音が聞こえる領域があるのですが、ポート噴射エンジンにはそれがありません。古い直列6気筒エンジンにも似た、力強いうなりと滑らかな印象で回ります。それと、カップリングファンであるためファンの音がエンジンに連動して聞こえる場面もあります。これがクラシカルでかつ気持ちよく聞こえます。
この1GR-FEですが、何しろ2トンの車体を動かしているため、パワー感はあまり感じられません。普通の走りというところです。しかし、エンジンの気持ちよさにより、その重苦しい感じを返上しています。もちろんそれは全開加速のときのことであり、普通に走るには軽快さすら感じます。
トランスミッション
もはや古くなりつつある5速ATです。というのもフルタイム4WDゆえ、それほど頻繁にモデルチェンジを行えないためでしょう。ギヤ比は車に対して適性で、1速は結構なローギヤで、トップでは静かなクルージングが可能です。ギヤのステップ比が大きいため、6速ATには及びませんが、まあ、それだけのことです。
ただ、マウントなのか「トルクコンバーターニュートラル制御」のためなのか、停車直後に「ゴト」と、トランスミッションが触れるような動きをします。停車のたびにこれが発生し、気になって仕方がありませんでした。
それと、左折時等にも頻繁に1速に落とされるため俊敏な発進は可能ですが、その際にアクセルにエンジン回転が過剰に反応する感じがあり、気を使ったアクセル操作が必要になります。
乗り心地と操縦性
車が車なので、ハンドリングについては「車としてごく普通」としておきます。ヴァンガードに比べると
、だいぶ反応が鈍い車であると感じます。とにかくハンドルを切っても車が反応するまでに時間がかかります。そういう車といってしまえばそれまでですが、いまやオフロード走行をする人は少ないでしょうから、ヴァンガードの乗用車的操縦性を味わってから決めたほうが良いと思います。
乗り心地は柔らかく、路面の段差や突起をしなやかに吸収します。スタビライザーコントロールが付いていない車だったのですが、ロールは適正でした。オフロードではもしかしたらこのスタビライザーの効き具合では接地性が低くなるかもしれません。
車高が高い車は久しぶりですが、運転感覚はまったくセダンそのものです。幅の広さも都内の公道ではそれほど苦痛にはなりませんでした。
ボデー
CピラーはJラインを描いていますが、これまでのトヨタ車と比べると大分ゆるくなっていますので、視界を妨げてはいませんでした。並みの視界、といえます。また、SAIほどではありませんが堅牢なボデーで、車体が大きな車特有の「ブルッ」はありませんでした。
まとめ
車の機能としてはまったく不満はありません。しかし、こういう車の居場所はなくなってきていますね。すれ違う車に、このようなSUVはありませんでした。大きく重く、燃費も良くない、となると、買う候補の車に最初から入れてもらえない、ということになり、指名買いを待つしかありません。三本和彦さんはSUVを、「銀座を登山靴で歩くようなもの」と評したことがあります。ファッションの流行の上で、「アウトドア風」や「ドレスダウン」傾向になることはありますが、それはあくまでもおしゃれの上での「はずし」です。流行が終わればそれまで。乗り続ければ「流行おくれ」のそしりを受けるだけです。かつての「クロカン4WDブーム」はそんなものでした。ランドクルーザープラドは、そのときにSUVにほれ込んだ人と、一回はこういう車に乗ってみたい人だけで残った車であり、だからこそハイラックスサーフが消えてしまったのでしょう。難しい車となりました。
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試乗 | クルマ
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2010/02/06 23:08:32