2011年03月05日
朝日新聞別刷りの柳井正氏仕事コラムに違和感を覚える
柳井正氏は、ユニクロの経営者です。
彼が言うには、「社員が管理職になったら、部下に手柄を上げさせるような仕事をしなければならない。仕事は個人一人ができても会社全体にとっては大したことがなく、全体の成績が上がらなければならない。」だそうです。
うーん、立派なチームワーク論!全くビジネス本の教科書のような内容ですね。
しかし思い出してください。バブル崩壊直後、職安にこんな人がたくさん来たそうです。
職安職員「こんな仕事はどうですか?」
相談している人「いやあ、その仕事はちょっとできません」
職安職員「では、こちらの仕事はいかがですか」
相談している人「うーん、これもちょっと」
職安職員「では、あなたは何ができるんですか?」
相談している人「部長の仕事ならできます」
職安職員「・・・・・」
人をまとめる仕事というのは、必要な場合もあります。巨大タワーを立てる仕事、大規模ショッピングセンターの経営をすること、、、。タワーのビル部内装だけどんどん作って、タワーの柱は後から追いついてくる、ということはできませんよね。
柳井氏の言いたいことは、みんなでまとまって仕事をすることを優先した意見でした。しかし、その下に書いたタワーの仕事を考えますと、タワーの柱を作る人も、内装を造る人も、それぞれがプロとしての業を発揮し、まとめ役はあくまでも裏方、といえます。
ユニクロは、1990年代半ばまでは「一回洗濯すると生地が伸びるポロシャツ」を作っていましたが、その後経営方針を大きく変え、とにかく安いけど大量生産の香りがするフリースなどで成績を上げてきました。
そして今、ファストカジュアル服の供給業者として、一角をなすどころかデパート、ファッションビル(丸井やパルコなど)を脅かし、ジーンズメイトなどユニクロ隆盛以前のカジュアルファッション販売業者を追いやる存在となっています。
しかしユニクロはユニクロ、家の中や近所に出かける程度の服としている人も多いはず。私は避けているわけではありませんが、買っていません。やはり「おしゃれ」ではなく、「服として着る製品」なんですよね。
仕事をするようになってからというもの、普段着は休みの日にしか着ません。週5日は仕事をするため、休みの日は思い切り休みたい気分でいます。そんなときに着るのがユニクロの服ではちょっとさびしいです。もちろん、給与水準が下がるなどした場合は、その限りではありませんよ。
まとめますと、柳井氏が言うような組織は、自動的に出来てくる服をとにかく店頭に並べて、接客に手間をかけずに売る服には通じます。同様に、製鉄とか化学工業とか、「装置工業」には向いているといえます。
その一方で、「ブランド製品を売る」「高額製品を売る」「人の面倒を見る」「高度な技術を必要とする製品」などと言った、技術や経験などを求められるような仕事には向かないと思います。こういう業種には、「出来高制」や「一部歩合制」などといった、個人が能力を磨きやすい組織のほうがむいているでしょう。
一部の企業の人が何か言うと、すぐそれにならえをしたがるのが「ビジネス本」「新聞」「コンサルタント」です。他人が言うことをそのまま鵜呑みにせず、必ず検証をしてから導入するようにしましょう。
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Posted at
2011/03/06 23:11:53
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