2005年10月22日
マツダ ロードスター(NC1) 5速MT 試乗
この記事を読む方は、日付にお気を付けください。2005年10月22日にレンタカーで試乗したロードスターのことを、2011年12月に思い出しながら書いています。
ロードスターについて
1989年に発売されたロードスターは、この年に3代目にフルモデルチェンジしました。初代から二代目へのモデルチェンジはビッグマイナーチェンジとも言えるくらいキープコンセプトであり、初の真のモデルチェンジと言えます。それまでの1600-1800cc級であったボデーが、2000cc級に移行しました。エンジンも新型のLF-VE型に変更されました。当初、大型化を残念がる声が聞こえましたが、内容の充実ぶりからすぐに聞かれなくなりました。
エンジン
この前の月に、筑波サーキットで行われた「メディア対抗4時間耐久レース」で新型を初めて見ました。旧型のB8エンジンと比較して獰猛なエンジン音が聞こえなくなった一方で、音、振動とも少なく(そこそこ)なめらかに吹け上がるエンジンが特徴的でした。
「これが近代的なスポーツエンジンか!」
とも思える吹け上がり方で、もはや吸気音を響かせながら走る姿は旧式のスポーツカーであるかのように感じさせました。
L型エンジンは、ZOOM-ZOOM第一世代のエンジンであり、クラッキングコンロッドや高剛性シリンダーブロックなど、トヨタAZ、日産QR、ホンダKとともに、21世紀を担うエンジンとして登場したものです。初代アテンザに搭載され、ロードスターに搭載されるまでは時間がかかりました。
出力は170馬力で、2000ccエンジンとしては出力は出ている方です。ものすごくハイパワーというわけでもないのですが、低速域でのパワーはやや不足している印象でした。そのため前の車が法定速度で走っている領域では4速に入れられず、3速で走ることになる場面もありました。
高回転域でびっくりするパワーが出ている印象はありませんでしたが、中回転域から高回転域までなめらかに吹け上がり、振動も少なく、気持ちよく自然な感じで使うことができるエンジンでした。スポーティーな音や官能的な音というのは、、、なかったかな。加速騒音規制のなせる業です。「ムォーン」ではなく、「ヴィーン」という音質でした。
電子制御スロットルとのマッチングは今一つで、シフト後にクラッチをつなぐ場面では、エンジンが吹け上がりすぎるように感じました。そのため、エンジンが吹け上がってからクラッチをつなぐ「へたくそシフト」になってしまいがちでした。この辺は、操作に対する反応を過剰にしていた「ZOOM-ZOOM第一世代」ならではの現象でしょうね。
トランスミッション
5速マニュアルトランスミッションです。6速は新型ですが、5速も新型でしたっけ???シフトフィーリングは非常にしっかりしていました。シフトストローク、セレクトストロークとも適正で、レバーの首ふり角度も適当でした。マツダのMT作りには、感心して止みません。シフトの際にも引っかかることなく、なめらかに入ります。
5速のギヤリングは適当なのですが、ファイナルギヤ比が少々高いような気がしました。前述の一般公道で4速に入れられないのも、もしかしたらファイナルギヤ比が高いことが原因かもしれません。
サスペンション
フロントダブルウイッシュボーン、リヤマルチリンクのサスペンションです。乗り心地は締まっています。ストロークもしなやかで、ストローク時の渋さもありませんでした。しかし、あくまでもスポーツカーであってグランドツーリングカーではありません。2時間を経過すると、やや疲れを感じさせるサスペンションです。しかし、キャラクターにはあっています。
車体のロールは、前後均等に起こるような印象です。もうちょっと前のめりな姿勢になっても良いように思いました。が、メディア対抗4時間レースで見たような、ロールスピードの速さは感じませんでした。
ステアリング
遊びが全く(?)ありません。シフトチェンジをしようとステアリングホイールを持つ片手を離すだけで車がふらつくほどです。これでは痛快を通り越して、疲れてしまいます。ラック&ピニオン式ステアリングは構造上遊びが少ないのですが、これは度を越していると言えます。今(2011年)は解消されているでしょうが、ここにも「ZOOM-ZOOM第一世代」の特徴が表れていました。
雨でしたのでコーナーリング特性はそれほど試せませんでしたが、操舵角度が増しても舵の効きが付いてきて、グリップ力の高さとコーナーリングの楽しさを感じました。
ブレーキ
あまり印象に残っていませんが、なんとなく「スポンジー」な操作感であったように思います。制動力は良かったように記憶しています。
ボデー
コロナの紹介にもある通り、1999年にNB型ロードスターの購入を検討していました。試乗をすると、段差で車体が「ブルッ」と震えるのを確認しました。また、後輪が突起に乗り上げると車体がねじられる印象がありました。
しかし、この代になってからは車体の剛性は非常に高まり、曲げ、ねじりとも非常に強くなった印象です。オープンボデーながら、その辺のクローズドボデーの車よりもあるかに高いボデー剛性があるように感じました。
幌の開閉も楽で、Z型に折られた屋根は1アクションで収納、取り出しが可能です。幌の作りはしっかりしていて、かなり丈夫なのではないかと感じました。
一方、どんなに立派でも幌は幌。車外の騒音は結構入ってきます。高速道路やトンネルでは、結構うるさいです。騒音はうるさく感じるだけでなく、疲れも誘発するので、長時間ドライブは難しそうです。
また、「オープンカーの解放感」と雑誌は書きますが、風は入りません。人間はボデーやダッシュボードに囲まれ、西洋風呂に浸かった印象です。屋根は広く開いていますが、それほど開放的ではありませんでした。「解放感がある」と言ったのは、バイクや自転車に乗らない人ですね。
それに、当然ながら後席スペースはないので、車内で「のび」をすることができません。これも「スポーツカー」ですから、短距離走者用と割り切る必要があります。
その「適当な」解放感からか、ヒーターはよく効きます。屋根が開いていても窓を閉めれば、冬でも快適に走れそうです。
内装の出来は良く、ピアノ調パネルと相まって、高級感をも感じました。
視界は、人間が低く座らされることもあり、あまり良いとは感じませんでした。
まとめ
この車は、オープンカーとしてよりもスポーツカーとして評価すべき車ではないかと思いました。もはや「オープンボデーだから剛性はあきらめないとね」というガッカリ感は皆無です。操縦性はシャープで、乗り心地もややハード、長距離ドライブを楽しむというよりは、ちょっとその辺のカーブや山、海辺に行って運転を楽しみ、時にはサーキット走行をする、という車です。
ロングドライブに対しては、機敏すぎる操縦性と固い乗り心地、「のび」ができない車内であるため、不向きとすら言えます。
非常に割り切られた車であると言えますが、長く所有したい人はもう一台性格が異なる車を持った方が良いでしょうね。ロードスターの世界に足を踏み入れ、もう二度と(?)戻れなくなるくらいどっぷりつかる人もいれば、「一度乗ったからもう良いや」と、1年か3年位で手放しても良いでしょうし、そういう人も多数いると思います。
それくらいこの車はキャラクターがはっきりしていて、内容も充実した車と言えます。ハードトップのRHTを選んでも良いし、基本グレードを選んでも良いし、サーキット仕様にしていっても良ければ、「つるし」のままでも十分楽しめます。
ブログ一覧 |
試乗 | クルマ
Posted at
2011/12/10 22:59:26
タグ
今、あなたにおすすめ