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2012年07月15日

日産 NV350キャラバン(ガソリンエンジン搭載車) 試乗

 この日は、数ヶ月後に車検を受けるであろう日産に相談事があり、訪問しました。たまたまキャラバンの試乗車があったため、乗ってみることにしました。

なお、私がこのようなワンボックス車を運転するのは、1993年に部活の移動でボンゴ(ワゴン)、1994年に当時のアルバイトでハイエース、キャラバンに乗って以来であるため、正確な比較はできません。ご了承ください。

商用車の歴史
 日本の商用車の歴史は、経済成長と共に歩んできたと言えます。中小企業や家業の運搬車、あるいは、従業員の運搬車として成り立ってきました。当初は乗用車のライトバン版、トラックとともに歩んできましたが、盗難などの点からピックアップトラックが減り、箱バンが主流となってきました。

トヨタは、長い間ダイナやトヨエースのバン、ハイエース、ライトエースが主流でしたが、ライトエース級は軽バンとハイエースに立場を脅かされ、タイからの輸入車になりました。ダイナやトヨエースのバンは、現金輸送車等に残るのみで、一般向けではなくなりました。旧型の頃からハイエースが主流となり、乗用モデルをレジアス、グランビア、ツーリングハイエース、グランドハイエース、後のアルファード・ヴェルファイアに譲ってからも乗用車的使用を意識し、フラッシュサーフェイス化されたボデーや、箱としてのデザインを残し、キャラバンをボンゴブローニー、デリカと共に追いやるのでした。

日産は、キャブスター、ホーマー、バネットにホーミー、キャラバンを割り込ませ、キャブスター・ホーマーは廃止、バネットはマツダからのOEMとなりました。旧型E25キャラバンが登場した際に、先に登場していたエルグランドが乗用モデルに特化したためか、「日産ビジネスカーシリーズ」の一員として、一部にコーチ(マイクロバス)仕様を残すものの、バンに特化したモデルとなりました。

旧型E25キャラバンが登場した頃、各社が商用車専用モデルを登場させていました。それまでは常用モデルを貨物派生で作ったり、貨物モデルを旧型のまま製造したりしていました。トヨタがその際たるで、プロボックス・サクシードなどは一部にワゴンモデルはあるものの、商用車専用モデルとして登場してきました。

商用モデルは、やれペン置きだとかノートパソコンを広げるスペースだとか夜間電気スタンドだとか、「働く人を考えたモデル」ということを前面に押し出していました。外装も素地バンパーやボデー共色ピラー、タコメーターなしなどがその特徴です。

ハイエースは、その辺りで片足をまだワゴンに置いたため、フラッシュサーフェイスやボデーとも色バンパーなど、ワゴンらしさが残っています。キャラバンもそのあたりを意識していたのですが、登場した2001年にしては少々古く、90年代末期の雰囲気が残ったスタイルになってしまいました。スタイルで言えば、1998年頃のものかな??

乗用モデルエルグランドを出したために、多くの個人ユーザーがエルグランドに移り、キャラバンは法人需要になると見込んだのでしょう。しかし、貨物、乗用兼用のユーザーであるいわゆる「一人親方」、仕事用だからといって惨めな気分になりたくない方に避けられたためか、ハイエースに市場を奪われたのだと思います。

キャバンは、再び個人ユーザー、個人事業主ユーザー等を視野に入れながら、再出発というところです。

エンジン
 この種の商用車は、最新型のエンジンよりも技術的にこなれたエンジンが好まれます。モデルライフが長いため、途中のマイナーチェンジ等でエンジンが載せ変えられることが多々あります。E24では当初Z20、後にNA20が、E25ではKA20,24が、後にQR20が搭載されました。ハイエースも大体同じ傾向ですが、商用モデル専用エンジンであるTRエンジンを搭載しています。

QRエンジンはSRエンジンの後継機として登場し、2000-2500cc級を担っていました。横置き2000ccは、後継機MRエンジンへと譲り、乗用モデルには2500cc4気筒エンジンとして残っています。より大きな排気量まで対応できるエンジンを、小さな排気量のまま使うことで、エンジン自体の耐久性を上げています。この種の車は、人や荷物をたくさん載せて高速道路や山道を上がることがあるため、エンジン自体の耐久力は重要です。ハイエースの2L-TEエンジン搭載車など、この点で苦労させられたそうです。

エンジン自体の出力は130馬力で、現代のエンジンとしては標準かやや低いくらいです。乗用車用は約150馬力でしたので、13馬力の低下は吸排気系統やカムの違いによるものと思われます。車両に対するエンジンの出力は、まあ走る程度のものです。2人乗車でも、余裕はそれほどありません。普通に走る程度です。しかし、この種の車はカーブなどでも大回りする必要があること、荷物を積んでいる場合は、積荷の痛みを気にしなければならないことから、あまり大きな問題にはならなさそうです。

アクセルレスポンスも決して良くはなく、実用エンジンとして地道に働いてくれるところでしょう。しかし、ライバルのハイエースが、133馬力と3馬力上回っています。3馬力の違いなどそれほど感じられるものではありませんが、余裕無い走りの中の3馬力ですので、セールストーク上で不利になるのではないか、と危惧しています。

トランスミッション
 エルグランド譲りの5速ATが採用されています。ハイエースが4速ATであるところ、この点ではキャラバンが有利に立っています。エンジンの出力を引き出すのはトランスミッションですので、1段多いと、その分加速が楽になります。その証拠に、発車はトルクコンバーターをあまり滑らせずに行うことが可能です。

ただし気になる点として、ハイエースの4速ATはもう20年以上も作り続けているA340式ATで熟成が進んでいるのに対し、キャラバンの5速ATはせいぜい10年程度、まだ心配があります。

いずれにせよ、1段ギヤが多いことは少々の馬力の差などものともしないため、エンジンパワーだけにとらわれないでくださいね。

ブレーキ
 踏みごたえが得られない、10年以上前のブレーキそのものです。ペダルを踏んでも踏みごたえがない領域から制動力が立ち上がるため、なめらかに止まることが難しいです。この辺は、積載時の原則を考えての調整なのでしょうか?乗用車と比べてはならないのかもしれません。

ステアリング
 この種の車はあまりギヤ比を低めてはならないものです。クイックなギヤ比ですと、運転手が急ハンドルを切ったときに車が横転したり、荷物が崩れたり、そうでなくても功績の乗員が酔ったりするためです。

そんな条件がある中では、比較的遊びが少なく、正確で手応えある切れ味です。ステアリングホイールの位置は、この種の車のように比較的寝ています。この辺りが、常用ミニバンとの大きな違いです。

サスペンション
 この種の車では一般的な、「フロント:ウイッシュボーン・トーションバー(?)、リヤ:リジッド・リーフ」です。トーションバー式は、ストロークしていくと急に固くなる性質があるのですが、それほど感じられませんでした。リジッド式も、フリクションによる固さ等を感じることがあるのですが、それもありませんでした。2名乗車でも、特にリヤは気持ちの良い硬さを感じるのみで、不快な感じはありませんでした。常用ミニバンの柔らかい乗り心地よりも、むしろ好感が持てるくらいです。

ボデー



 旧型からイメージが大きく変わったのは、この点でしょう。旧型はとにかくビジネスバンらしいデザインで、ヘッドライトだけがマルチリフレクターであるだけでした。サイドウインドーも倒れこんでいる印象で、ハイエースと比べて明らかに「一代前」らしさが出てしまっていました。

当初の日産の言い分からすると、「ビジネスカーとは、そういうものでしょ。」なのでしょうが、持つ喜び、使う喜び、見栄えというものは、ビジネスの道具にも必要だった、ということです。言われてみれば、今日ではスポーツウエアや作業着ですら、純粋な機能だけでなく飾りや見栄の要素を考えて作っているくらいですので、E25企画時の日産の見識は、全く時代錯誤だったと言わざるを得ません。

「ハイエースにそっくり」というのはトヨタ関係者からも聞こえますが、フロントスクリーンの角度などはE25キャラバンに近いと言えます。また、ルーフサイドの雨樋がなくなったことから、ハイエースに比べてモダンな印象があります。とはいえ、箱のデザインなどそれほど違えることはできませんので、ほんの些細なことではありますがね。

ボデー自体は非常にしっかりできています。かつてE24キャラバンの後席に乗ったことがありますが、突起を乗り越える度にボデーがミシミシ、ブルブルし、いかにも鉄板細工の箱の中にいるような印象をもちました。E25でも、実はボデーがゆるかったと聞きます。が、このモデルではそのような低級なきしみは、全く感じられませんでした。



メーターも綺麗な自発光メーターとなり、見やすくて「持つ、使う喜び」が感じられるものになりました。この種の車は何時間も乗られることが多いでしょうから、この「気持ちの高揚感」は重要です。

シートもストロークが十分で、最近のコンパクトカーや軽自動車のものよりも良くできています。

まとめ
 キャラバンのモデルチェンジで、ハイエースとキャラバンは少なくとも並びました。いや、新しい分だけキャラバンの方が勝っています。

しかし、この種の車では「信頼性」も重要です。なにしろ仕事用の車ですから、「エンジンやトランスミッションが不調で、仕事場に行けませんでした」では話になりません。

ハイエース、キャラバンとも、旧モデルの頃は特にディーゼルエンジンに故障が多発しました。酷使される車であることも事実なのですが、日産の方は噴射ポンプがよく痛み、しかもコンピューター内蔵の噴射ポンプゆえ、交換費用がかかるというものでした。私の勝手な想像ですが、この件でハイエースに先行を許したのだと思います。

そしてコモンレールディーゼルの時代となり、現行ハイエースは2KDモデルに難があり、マイナーチェンジで1KDでは、システムが大きく変更されました。キャラバンは、このモデルで大幅に変更したYDエンジンを再登板させています。

このYD25エンジンは、最初のプレサージュの時に評論家が絶賛、その後いろいろ故障があり、オーナーは不満、というエンジンでした。その頃とは燃料噴射システムが全く異なりますが、キャラバンの市場における評価は、このYD25エンジンの故障の多少によって決まってくると考えられます。

そして、この車はハイエースの競争相手として、十分考慮するに値します。プレミアムGXは、かつてのワゴン仕様にも匹敵しています。なんと、旧型ではコーチ仕様だったものが、今回からはっきりとワゴンとされています。となると、もう少しパワーがあるエンジンも搭載しても良いのではないでしょうか。E24にあったVG30E仕様は、箱ワゴンの歴史中、エポックメーキングでしたよ!

この種の車を買う人は、代々同じ車種を選ぶらしいです。その上、ハイエースが仕事に成功した証ともされているようです。その辺の事情はよくわかりませんが、車としての性能の上では十分両者を比べる価値があります。

おまけ
 旧型は商用車として割り切った、と書きました。今回は反省として「GXプレミアム」などの、見栄が良い仕様も登場させました。旧型の「商用車だから」という割り切りが、完全に裏目に出てしまった形です。これまでの商用車の歴史を調べても、「簡素」が評価された歴史はありません。仕事着だからといって、格好悪かったり古臭いデザインだったりしたら、いったい誰が着たくなるのでしょう。

E25キャラバンがハイエースに大きく水を開けられた事実は、当時の風潮として判断ミスではなかったものの、自動車マーケティングの歴史として後世に残るものだと思います。
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Posted at 2012/07/22 17:46:13

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