今期もいくつかのドラマは見ているのですが、私が選ぶ作品が良くなかったのか、またもや作りが悪いのか、見ている作品はほとんどありません。
その中でも、この「レジデント 5人の研修医」は見ているのですが、視聴率が悪いそうですねえ~。雑誌などでは、「仲里依紗はまだ主役級ではないのに主役に据えたせいだ」だとか、裏番組の医療ものが優れているだとかの評価がありますが、私の意見は、それも肯定しながら「脚本中のストーリーが二つに別れ、全く溶け合わないから」だと思っています。また、付け加えて言うならば「林遺都演じる男の態度が悪く、見ていて不愉快になる。」こともあると思います。
今回のこの作品でのストーリーは、以下のふたつです。
「専修医の荒川良々が成長が遅いことをなじられる。彼は幼い頃病気をしていて、そこで会った医者に感銘を受け、何浪しようと医師になろうとしてきた。今回は救命措置にあたり、その医者の指導のもと、困難を切り抜けてまた一皮むける。」
「大政絢が、彼女を初めて馬鹿にした男に恋をするが、その男の余命は短く、死を以て別れる。」
どちらも、基本に忠実なドラマらしいストーリーです。前者は、成長ものドラマにつきものの、挫折からの立ち直りです。あえて言うならば、仲里依紗が主人公だからといって、手術室で荒川良々を口汚くなじる?シーンは間違いだと思いますね。あそこのシーンは、彼が幼い頃に救った医者に言わせるか、あるいは、その幼い頃に言われた言葉を頭に思い浮かべるようにすべきでした。感動半減です。
後者の大政絢の恋愛シーンも良かったですね。大政絢のがさつな演技でも、ちょっと感動しました。いわゆるツンデレ物の基本とも言える出来でした。こちらははっきりと時間不足です。恋愛に至るシーンや、彼の具合が悪くなるシーンをもっと増やすべきでした。
このドラマ、脚本家は永田優子という人らしいのですが、この人、脚本家としての経験は十数年程度のようです。基本は押さえているのに、ドラマとしての肉付けが完全に不足しています。わざわざ1回に2つの話を持ってくるには、それぞれが関わり合い、ひとつの結論に持ってこなければなりません。
題名の「ホカホカの ご飯にコーヒー かけて食う」は、太田光氏が何かの番組で、新米を題材にしたネタのシーンで作った川柳です。もちろん、直後に田中裕二氏から突っ込まれています。インターネット上の歴史には残っていませんが、それぞれ個別に美味しいものを混ぜても、必ずしも美味しくなるわけではない、ということをよく表している川柳だと思います。想像しただけで、背筋が寒くなります。
余談ですが、1987年頃、ネスカフェのCMで、「和食のあとのコーヒー、試してみたら良かった。」とかいうキャンペーンCMがありました。当時は皆、気持ち悪がってしませんでしたが、今は割と普通にするようですね。私は、迷うことなくお茶です。
さて、このドラマは、混線した脚本に大問題があります。脚本家が悪いのか、注文した
プロデューサーが悪いのか、どっちもどっちです。プロデューサーが一人前になるには、仕上がった脚本に限られた時間で赤入れをし、脚本家に直させることと、岡田晋吉プロデューサーは語っていました。プロデューサー、脚本家とも、成長過程としては良いところにありますが、まだまだだなあ、というのが私の感想です。脚本をひとつの集中させることか、複数ストーリーを有機的に結びつけること、がこのドラマには必要だと思います。それを怠ったため、話がてんでんばらばらに感じられ、視聴者は他局に逃げたのでしょう。
「視聴率が悪いから何とかしろ」、「主人公の役者がまだまだ」ではなく、どうすべきか、ということを持って批評しなければなりません。
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2012/12/03 01:24:56