
この日は、ブルーバードシルフィの修理部品を受け取るべく、日産のお店に行ってまいりました。すると、ニスモ仕様のノートとマーチとジュークが置かれているではありませんか!一時帰宅の上、免許証を持った上で再訪問しました。
ニスモ仕様について
改めてノートとマーチを見ると、車体番号等ラベルが、1200cc仕様になっております。則ち、いずれも改造車扱いであることがわかりました。
いずれのモデルも、日本国内ではHR12DEないしはHR12DDR仕様のみ、3気筒エンジンしかラインナップしておりません。あまりに不評であれば4気筒エンジンもラインナップしたのでしょうが、意外に普通の人は買っているようで、何気筒でも買う人は買っているようです。私は、相変わらずお勧めできない車の一つでしたが、雑誌によるとフィット等も3気筒ターボエンジンを追加するとのこと、日本人は、軽自動車で3気筒に慣れきったのでしょうね。
さて、この車ですがHR15DEエンジンを若干チューニングして出力を向上、5速MTを組み合わせています。ボデーも補強されているようですが、ノートほどはエンジンにも車体にも手は入っていないようです。
経営上、日産はアジア諸国でも売れるような安価な車を作らなければならないのでしょうが、現場では「こんな車を作りたい」という思いがあり、この車に至ったのではないか、と思います。
エンジン
HR15DEエンジンです。出力は、確か旧型ノート等に搭載されていた時には110馬力程度であったと記憶していますが、この車は116馬力を発揮しています。カムシャフト等も変更されているとのことですが、低回転域の出力はそれほど犠牲にされておらず、ちょうとP10プリメーラのSR20DE 150馬力仕様と同じ程度の印象でした。もちろん、車重も出力も異なりますので、馬力あたりの出力に置き換えて、という印象が同じという意味です。
エンジンはカムシャフトと圧縮程度のチューニングのようですが、非常に扱いやすい性格になっています。スロットルバルブは電子制御化されておりますが、絶妙なチューニングがなされており、あたかもワイヤー式スロットルであるかのような印象です。踏み込みに応じてリニアに出力が発生し、出力遅れも反応の鈍さもありません。ペダルの重さも適当で、この重さでしたらエコドライブも簡単に出来ることでしょう。ペダルを軽くしてエコモードで出力を規制して、という方法がいかに愚かであるか、ということがよくわかるアクセルペダルです。
隣にセールスマンが乗車していますので高回転まで回転を上げることはできませんでしたが、3000回転も上げれば十分街中では速く走れます。エンジン音もうるさすぎず静かすぎず適当で、走っている気にさせられるものでした。
低回転で十分な力があるために、シフトチェンジを頻繁に行う必要はありません。時速40kmで5速からでも加速することが可能で、ディーゼルエンジンほどではないもののものぐさドライブが可能です。AT派の方は、シフトチェンジ、特にシフトダウンが怖いという方が多いと思いますが、そんなに神経質にシフトダウンをしなくても十分に乗れるものです。
全体的に未来への提案はなく、1980年代の「ボーイズレーサー」車を思い出させるエンジンですが、これで燃費と排出ガス量を現代的にしているのですから、昔を懐かしんで乗るのに適当なエンジンでした。
トランスミッション
5速のMTを採用しています。かつての車種とは異なり、搭載性や事故時の安全性、サスペンションメンバー設計の自由度などから、ワイヤー式のシフトレバーを採用しています。基本的にはノートと同じトランスミッションのはずですが、シフト時の引っ掛かり感、シフト後のレバーの遊びともこちらの方が仕上がりが悪くなっています。
特に、停車時にシフトをすると特にリバースは失敗しやすくなっています。シフト時にも引っかかる感じが強く、シフト完了時も「グニュッ」とも「ウニッ」とでも表現するかのような、不快な感じがします。シフトレバー部には節度機構は内蔵されていないようで、上記の不快感は、シフトケーブルの伸びによって発生していると考えられます。
シフトノブはノートと同様、シフトアップ時の引きの動作には都合が良いのですが、押しの動作には手が滑りやすくなっています。上記のシフトフィーリングとともに、最低なシフトレバーで、これまでの乗った車でも、こんなにひどいシフトレバーはありませんでした。
ギヤ比は結構ローギヤードで、1速はかなり低く感じます。2速、3速も結構低く感じられます。1速でのギヤノイズはなかなか快音で、MT車を運転している喜びを味わえます。ギヤ比設定は悪くないのに、シフトレバーがすべての印象を台無しにしています。どうしてこのまま製品として出てきてしまったのでしょうね?不思議でなりません。
サスペンション
固く引き締まっています。タイヤも固めですので、ゴツゴツと路面の突起をそのまま伝えてきます。ボデーに対しても若干硬さが勝っているようで、ほんの少しですが、ブルブルとした振動を感じます。とはいえ、ノーマル車のタイヤだけを太くした仕様とは異なり、メーカーチューニングの優れた点を感じます。
おそらく速度域が合わなかっただけでしょうが、それでもノートと比較するとまだ突き上げが少なくなっています。これもまたちょうどP10プリメーラの前期型とよく似ていて、乗用車としては我慢が出来る範囲にはあります。
減衰力は伸びも縮みも硬めで、無駄な動きを抑えると乗り心地も悪化する、という点でお客さんを選んでいると言えます。これもまた「ボーイズレーサー」であるのか、最近の傾向である「しなやかでしたたか」という印象はありません。
ステアリング
当然電動パワーステアリングですが、タイヤの太さもあるのか、標準的な乗用車よりも重めに感じます。ギヤ比も少しクイックな印象です。
路面の状態は、重さも関係しているのかやや伝えるようになっています。操舵に対する反応の遅れや、ロールスピードの速さもなく、気持ちよくコーナーリングをすることが可能です。タイヤやサスペンションにも助けられているかもしれませんが、最近の車のステアリングにありがちな不感さは感じられませんでした。
ブレーキ
ブレーキペダル単独で操作をした場合には、若干遊びが多いものの、踏み応え自体はまずますのしっかり感を伴ったペダルのように感じました。最近の日産車と比較すると正確性には欠け、ちょうど私の家のブルーバードシルフィの頃の感じに近い印象です。効き具合は、決して悪くありません。市街地走行でも、十分な制動力が得られます。
ヒール&トゥをしようとしてブレーキペダルに足を乗せますと、ペダル高さの関係で若干しづらい印象でした。アクセルペダルが少々遠い印象です。
ボデー
基本はマーチですが、トンネルステーを3本追加し、テールクロスバーを追加しています。床下の補強はボデーのしっかり感につながることがよくわかります。また、車両後部を補強すると事故時の修復性に難が出るものですが、それを差し置いてテール部を強化しています。
日本車でも海外仕様ですとリヤにもリーンホースメントが追加されていることがほとんどですが、お膝元の日本人が一番良くない仕様に乗せられているような気がします。やっぱり、「女性重視マーケティング」が、すべての国産車を台無しにしています。
とはいえ、ボデー骨格まで手を入れているわけでもなく、ハッチ開口部を閉断面にするような本格的な変更はなされておりませんので、向上割合も程ほどになっています。
内装は黒中心で、あまり楽しいものでもありませんし、持つ喜びを感じさせるものでもありません。ボーイズレーサーと言えばそれまでですが、デミオやスイフトと比較すると、だいぶセンスが落ちるように感じます。
今回の車は、日産仕様のスポーツシートを採用しておりましたが、肉厚で優しく包み込むような感じで、普通のセダンに乗っているような感じでした。ノートはレカロシートでしたが、街乗りではこちらのシートの方が快適に感じると思います。
また、プレーンなスタイルを取るだけに、視界は非常によいです。スポーツドライビングも安全運転も全ては視界から、これは褒められます。
まとめ
この内容で180万円から、という価格設定は、おそらく安い方であるように感じます。とはいえ、ヴィッツにG'Sが追加され、スイフトスポーツがあり、デミオにもスポルトしようが加わることがアナウンスされると、スタイルの点も含めてマーチは厳しくなってしまいます。パーツの上でもスイフトはかなり充実していますし、G'Sは手の入れ方がより本格的、デミオはスポーツ性ではやや控えめなものの、持つ喜びを味わえそう、ということもあって、マーチは若干苦しくなります。特別なのは、チューニングされたエンジン、というところでしょうか。とはいえ、シフトフィーリングの悪さがすべてを台無しにしているように思えてなりません。
ということで、この車は走る車を買う場合でも日産車でなければ、という事情がある方にしかおすすめができません。このシフトフィーリングが改善されればまだ考える余地がありますが、基本の車が古いだけに難しいところです。
参照して欲しいし上記
トヨタ
オーリス(前期型RS)
ヴィッツ(1.3アイドルストップ車)
パッソ(前期型、+HANA)
アクア(初期型)
日産
マーチ(前期型、標準車)
ノート(前期型、スーパーチャージャー付車)
ノート(nismo s)
ホンダ
フィット(ハイブリッド、ロングドライブ)
フィット(ハイブリッド、試乗)
フィット(1.3)
グレイス
CR-Z(前期型MT)
CR-Z(前期型CVT)
マツダ
デミオ
スバル
WRX-S4
スズキ
スイフト(後期型標準車)
スイフト(前期型標準車)
フォルクスワーゲン
ゴルフ(1.4TSI)
UP!
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試乗 | クルマ
Posted at
2015/04/26 23:33:34