• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2017年07月27日

車体剛性の特集本で、「あれ!?過去の否定?」と思う

車体剛性の特集本で、「あれ!?過去の否定?」と思う  この日は勉強会に参加するため、丸の内にに行きました。勉強会終了後、大きな本屋があったために、勉強の続きと考えて入りました。そこには珍しい本こそありませんでしたが、「モーターファンイラストレーテッド」も置いてあり、いろいろ読んでみました。面白い本です。

その中で、ちょっと気になる記事がありました。展開が始まった、スバルの「SGPシャシー」の設計をされた方の記事です。このSGPシャシーは、これまでの「SIシャシー」に対して、電動駆動への対応が可能になったり、剛性の向上が図られています。

昨今、どのメーカーもシャシーの一新が行われており、高張力鋼板や板厚を自在に変えたパネルなどを採用することを前提で、設計されています。合理化も行われ、同時に軽量化も図られています。

 これまでも、自動車メーカーは何度も同じような施策をしております。1980年代前半にはFWDシャシーの構築、1990年代は剛性向上やハンドリング向上の流行を狙った改変、1990年代半ばの、衝突安全基準の確立による一新、1990年代末は、いわゆる「安全ボデー」による一心ないしは改変、2000年代初めは、車型が変わっても同じシャシーを伸縮して成立させられるようにするための改変などです。

その後、ミニバンの流行などから、ボデー剛性向上は売りにならないようで、カタログから文字が消えてしまいました。

剛性向上について、気になったことや言葉がいくつかあります。

まず、1996年の二代目レガシィ後期型に行われた剛性向上策です。当時は、フルモデルチェンジ並みのマイナーチェンジと言われたものです。この時の変更で、Bピラーにはいくつもの「パッチ」が当てられています。Bピラーの内側に、パイ生地のように同じような形状の当て板を溶接し、Bピラーの厚みを増すことと同じ効果を狙いました。「初めからその厚みで作れば」とは思いますが、鉄板メーカーから供給される板の厚みは決まっていますので、それ以上の厚さで製造するとなると、このような方法しかありません。また、それだけでは足らず、何と「中空丸棒」までもがBピラー内に溶接されています。

その効果もあって、二代目後期型レガシィや三代目レガシィは、「ボデー剛性が大幅に向上した」と、高い評価を得たのでした。

また、四代目レガシィは、さらに高張力鋼板を各部に採用しています。モデルライフ途中にも各部に補強材を採用し、剛性を向上させる努力をしています。また、私を含む一部には「3ナンバー化」を惜しむ声がありましたが、幅が広いエンジンをより低い位置に搭載するとともに、フロントサイドメンバー(エンジンルーム部縦方向の骨材)の太さを増し、エンジンルーム部の剛性を向上させています。

 一方、メーカーが変わってマツダですが、二代目アテンザを発表したモーターショーで、メーカーの方がこのように言っていました。
「今まで補強というと、やたらと補強材を追加していました。ところが、後から解析してみると、全く補強につながっていないことがわかった部分があります。そういった無駄な補強を排除し、一から設計したので軽量化が進みました。」
その後、スカイアクティブシャシーが登場しました。歴代の担当者が次々補強、その担当者が異動したら、なぜそこに補強材を加えたのかわからなくなり、後の担当者が「まあ、いいか」と、そのまま受け継いだ歴史だったのでしょう。

「先輩の言うこと」は、話半分に聞くことが大切だな、と改めて感じました。

 そしてこの日、SGPシャシーの設計者の文章を読んだのでした。その方は2002年入社だそうです。当時のことを、このように振り返っていました。
「私が入社した頃は、解析法もベンチマークも曖昧でした。それをコンピューターで設計することで適正化し、無駄のない補強が可能になりました。」
とのことです。
コンピューターの性能もソフトウェアの機能も進化しますので、当然のコメントです。2002年頃というと、四代目レガシィ発売直前の時期です。その前の三代目レガシィでは、カタログや「すべて本」では、以下のように書かれていました。

設計担当の桂田氏という方は、シャシー設計の渋谷氏をして、
「全面体に信頼している。渋谷が言うことは全て正しく、渋谷が「ここが不足している」というと、その子の改善を指示している。」
とのことでした。
渋谷氏は、ダートトライアルなどモータースポーツ活動もされており、徹底的に走り込んで新型レガシィ(三代目レガシィのこと)を鍛えた、とのことでした。

すなわち、「走り込んでは評価して改善し再度走りこむ」設計が、SGPシャシーを設計する以前の設計方法だったとのことです。走り込んでは補強していけば、補強は進むばかり。ある補強をした結果、前の補強が当初ほど効果がなくなった、ということはありそうです。結局、構造物の設計はコンピューターで行うことが理想的になったのですね。

 とはいえ、トヨタ自慢のTNGAですら、モータースポーツに使うともう不足が出てきたとのこと、現在のメーカーのシャシーも、いずれは「再補強」の繰り返しが行われ、またある時に一から再構築されることでしょう。
ブログ一覧 | 新型車調査 | クルマ
Posted at 2017/08/14 22:56:47

イイね!0件



タグ

今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

モニター当選✨エンジン内部洗浄添加 ...
SOROMONさん

ちょっと‼️この噂知ってた😳⁉️ ...
なぉなぉちゃんver.2さん

チャレンジ‼️
チャ太郎☆さん

スターダストミーティング2025【 ...
Wat42さん

伊勢参り
あつあつ1974さん

木更津散歩
fuku104さん

この記事へのコメント

2017年8月15日 11:24
コメント失礼します。

机上のコンピュータ解析が進化しても、乗り味走り味の善し悪しにおいて、結局最後に頼るのは人間の感性ですからね…。
解析が大幅な工数削減に繋がってはいても、机上と実車評価ではずれが生じているのも事実ですね。
今後も、優秀な評価実験部門が最終仕上げを行っていく事に変わりはないでしょう。

市販車はコスト、軽量化、高剛性化(剛性確保、維持)など様々な柵の中で完成されますから、その辺のバランスも車(メーカ)によりけり、ですね…。
コメントへの返答
2017年8月15日 18:58
こんばんは。

解析ソフトウェアといっても人が作ったものですから、誤差などがありそうです。また、剛性と剛性感も違うそうですね。最近の本を読むと、局所的に剛性を上げると峇清の境目(?)で屈曲が起こって、剛性感は大幅に減るとか。

結局、チェックを行う人の能力によるというのは、桂田さんと渋谷さんの関係と同じで、評価者次第で決まってくるものと思います。

その辺りのことはカタログにも本にも出てきませんから、商品として買うときには買う人が注意して試乗しなければ、と思っています。

そう思うと、新車情報もベストモータリングも無くなり、寂しい限りです。
2017年8月16日 0:58
こんばんは、
車ではありませんが、以前読んだ本で航空機の設計に関して、新規で1から設計するより既存のものをベースにして設計した方が重量なども軽減しやすい、と言うような記述を読んだ事があります。
(新規の機体は予測より重くなったり重量バランスが悪くなったり思わぬ問題が生じたりと言う話は少なからず話が出てきます、また既存のものを流用する方が生産要件上でも好都合というのも。)
そうして出来上がった機体もエンジン出力の向上や装備の追加などで細かい改良が繰り返されて初期型と後期型では別物になって行きます、
改良は必要に応じて繰り返され、それと並行しながら新型機の開発が進んでいき、何処かで入れ替わる時が来る、
コンピュータ解析が入っても基本的な流れは同じではないでしょうか、
何処までが新規で何処までが改良と呼ぶかは人やメーカーにより差があるかもしれませんが、
昨今の各社の新骨格というか、新しいそれの中でも何処かに各メーカーが持つ雛形というかお約束といのがあるように思います。
コメントへの返答
2017年8月16日 22:03
こんばんは。
私は設計技術者ではありませんので、実際の設計職場のことはわかりません。が、ほとんどの職場では前任者の仕事を参考にするでしょうから、まずは前任者が残したものの検討から始まると思います。(鉄道ダイヤ、旅行社のツアー計画、販売会社のキャンペーン企画など)

さて、ここ最近出てきたシャシーの特徴は、
Aピラー下部の強化(オフセット衝突対策?)
フロアトンネル部強化(ステー式やトンネル部強化かは別)
フロントサイドメンバーが車室内に到達した後、リヤクロスメンバーに向けて斜めに伸びる
ことなどが目新しいです。旧型シャシーを新規法規制に合わせて対策した結果、変えていった部分を最初から強化していったことがポイントかな、と思っています。
先日、別のブログに書きましたが、STIの方も「新規のSGPシャシーに対し、改良が進んだ(レヴォーグの)SIシャシーは負けていない。」とおっしゃっていました。

この種の「○○シャシー、プラットフォーム」という言い方は、B14サニーやA32セフィーロで日産が作ったシャシーが最初だったように思います。それまで、「モノコックボデーは車体全体で路面からの入力に対抗していた。」が、まるでウソだったかのようにアンダーボデーの強化に向かっています。

コンピューターを導入しても、コンピューターが「ココカラココヘ、ハリヲモウケナサイ」と言ってくれるわけではありませんから、構造力学の基礎知識と、上の方のコメントで書いた「剛性と剛性感の違いと剛性分布」は、設計者が知っておかなければならない、と思っています。あとは、走って感じられる「五感センサー」の充実度でしょうかね。

プロフィール

「パソコンは購入しました。次の週末の都合により、26日夜以降に活動を再開します。」
何シテル?   01/19 13:39
小さい頃、トラック野郎を見てトラックが好きになりました。その後「太陽にほえろ!」のカーアクションを見て、乗用車も好きになりました。カーグラフィックTVや新車情報...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/8 >>

     12
345678 9
10 11 12 13141516
17181920212223
24252627282930
31      

リンク・クリップ

安定 謎 の 直進安定性向上 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/07/04 22:31:44
ビートが勝手に走るようになった? MAPセンサーを交換! 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/07/04 20:17:19
サイドブレーキブーツ取付け 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2025/04/09 17:25:38

愛車一覧

トヨタ コロナ トヨタ コロナ
 自己所有の主力車種です。車いじりと「維持」を中心に使っています。昭和55年式の前期型で ...
マツダ グランドファミリア マツダ グランドファミリア
 1972年頃購入とのことです。ファミリアではなく、グランドファミリアです。同時期のサバ ...
日産 サニー 日産 サニー
 1981年春ごろ、当時同居していた叔父の所有するカローラのセールスマンのつてか何かで、 ...
日産 ブルーバード 日産 ブルーバード
 1982年秋、事故で廃車になったサニーの代わりに買った車です。910型、白の4ドアセダ ...

過去のブログ

2025年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2024年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2023年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2022年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2021年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2020年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2019年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2018年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2017年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2016年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2015年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2014年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2013年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2012年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2011年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2010年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2009年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2008年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2007年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2006年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2005年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2004年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2003年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2002年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2001年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2000年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation