2017年12月03日
TBS「陸王」第7話に黄色信号!?を感じる
ドラマの感想は、各期開始時と終了時に書いております。今期は、「刑事ゆがみ」「ブラックリベンジ」「コウノドリ」「さくらの親子丼」「陸王」を見ており、中でも陸王は話題の上でも面白さの上でも高い評価をしておりました。
今期各作品の中では、「ドクターX」は安定の人気を誇っている中、陸王は徐々にですが視聴率を上げていること、裏番組に強い番組が来てもあまり視聴率が下がらないことが特徴的です。私もこれまではストーリーに引き込まれ、何度も見返した回もありました。
テレビ局の方も、当初は10話で終了する予定だったそうですが、一説によると、延長や途中の回のスペシャル化などを含めて、14話分のストーリーにすべく、脚本を追加中とのことです。
ところが、この7話に来て話の間延びが散見されるようになってしまいました。
私が学生の頃、入学試験では小論文が流行しており、国語の授業では毎月小論文を欠かされておりました。得意な題材、苦手な題材、文字制限など、色々条件を課せられました。文字数の条件として、原稿用紙1枚分なら最後の行に差し掛かること、4枚以上ならば、最終頁の半分から左に差し掛かることがありました。
私が書く際にも、いわゆる「筆が乗る、乗らない」がありました。そのため、文章を書いていくうちに文字制限を超えそうになったり、文字が少なく終わってしまいそうなことがありました。その「少なくなってしまいそうな時」には、なんとか途中で話を膨らませるべく、無駄に文字を稼ぐようなことをしたものです。
この「陸王」も、10話で脚本家が計画していたのを、途中から14話にするなど無理があります。現に、5話の頃には、当分の売り上げを稼ぐ地下足袋の「足軽大将」を発売します。ところが、アイデアを出すところから売上増大まで、ほんの数分で片付けられてしまいました。
一方、この7話では、ソールの材料となる「シルクレイ」製造装置が突然燃えてしまい、復旧には1億円ほどかかる、という大ピンチから始まります。「足軽大将」が大ヒットしたことも、まあ関係はあるのでしょうが、そのような描写なく突然燃えてしまうのです。しかも、5話の終わりには、主人公の息子「大地」が活躍をして、シルクレイ製造装置の修理に成功するところか感動のシーンとして描かれているのに、です。
そして、1億円を調達するために金策に奔走するものの、銀行は貸してくれず、陸王を諦めるかどうするか、というところまで宮沢社長が追い詰められるのです。そのまま頭を抱えていると、二週間ほど前に報道された「松岡修造」氏が日本法人社長を務めるフェリックス社が買収を持ちかける、という展開でした。
全体的に、間延びをして話を引っ張っているような展開でした。私も、冒頭のシルクレイ製造機の火災であんぐりと口が空いてしまい、金策シーンで退屈してしまい、と、少し眠くなってしまったのでした。
話数を伸ばす方法というのは、いくつか方法があります。このように、全体を薄めて「編集で落とすシーンを少なくする」ような方法と、「ボトル・ショー」といって、話の主軸からやや外れた、外伝的なストーリーを盛り込む方法です。「宇宙戦艦ヤマト」のパートⅠの戦闘以外の作品、「巨人の星」の「長嶋茂雄物語」、「アタックNo1」の「革ジャンパーのマヤ」編、「タイガーマスク」の「煤煙の中の太陽」などが有名です。いずれも、話数調整のための、主軸ストーリーとは無関係の話です。
陸王では、第6話前半で「ニューイヤー駅伝」が描かれ、第6話後半から7話は、もとより気が抜けてしまったような回でした。その点からも、難しい位置にあったと言えます。本当なら「足軽大将」だけで1話を費やしていれば良かったのですが、もったいないことをしました。
私は、「こはぜ屋」の過去を振り返るシーン、先代経営者に関する回想シーン、リハビリ訓練用の靴として、リハビリ病院や老人介護施設のような場所を描き、一旦陸王から視点を外す、といった、話を広げるような展開があっても良かったように思うのです。
面白い作品なだけに、プロデューサーさんには、慎重かつ柔軟な話数増大を望みます。脚本家に丸投げではいけません。
おまけ
この「陸王」、ソール材料の「シルクレイ」が架空の素材なだけに、なんとなく嘘臭く感じてしまっています。
「繭を煮る温度」
シルクレイを目標とした硬さに仕上げる編のことです。ふと飲んだコーヒーが、温度が違うと味も香りも違うことから、寺尾聰演じる男は繭を煮る温度を変えてみることに気づきます。繭はタンパク質ですから、多分何度で煮ても性質は変わらないと思います。それと、周囲の人物のセリフに「職人は最後は勘に頼る」とありますが、化学の分野で技術者が勘に頼ることは、この現代にはありません。
「中央制御センサー」
シルクレイ製造機の制御盤であるパソコンには、時々エラーコードが出るようになっていました。「最近あるんだよ。今度見てやらなきゃな。」と寺尾聰演じる男が言います。製品を作るのに、不完全な状態で稼働させていたらダメだよ。
そしてあるとき、エラーコードを示したまま機械は動かなくなってしまいました。重傷を負った寺尾聰男は、大地青年にシルクレイ製造機の設計図を届けます。そこにはエラーコード番号と指示箇所を示した一覧表が出ています。自分で作った機会なのに、パソコンにエラーコードだけ出して指示箇所を出さないようにするなど、「このシーンを作るため」にしか意味がありません。
そして大地青年はエラーコードが「中央制御センサー」であることを知ります。制御するのはコントロールユニットかアクチュエーターであり、センサーは制御しません。そして当該箇所付近を分解し、中央制御センサーに到達します。しかし、いくら見てもどこが故障しているのかわかりません。「もうだめだ」と諦めて寝転ぶ大地青年。ふと中央制御センサーに目をやると、今まで見えてこなかった傷が見えてきたのでした。
修理を急いでいるのですから、普通はまず交換しますよね。「中央制御センサー」は、自動車エンジン制御用水温センサーのように、真鍮の色をしています。その傷は、おそらく「ケースの傷」だと思うだけどなあ。まあ、直ったのでよしとします。しかし、「一般の人が思い描いている故障診断とは、こんなもんなんだなあ」ということがよくわかりました。
まあ、ドラマは気分を味わうものなので、このように重箱の隅をつつくような見方は邪道です。私も積極的にはしません。しかし、これまでのアニメーションやドラマと比較し、「SFチックな要素」が強すぎるように感じてしまうのです。
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Posted at
2017/12/04 23:16:05
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