
録画していた「陸王」最終回をこの日に視聴し、2017年秋期のテレビドラマを見終えました。意外に多くの作品を視聴しながら、満足度は「?」な時期でした。
「刑事ゆがみ」 フジテレビ木曜日22時
ちゃらんぽらんな先輩刑事と、生真面目な後輩刑事がコンビを組む刑事ものです。「俺たちの勲章」から始まった組み合わせであり、珍しくありません。
2話までは割とまともに事件を解決しておりましたが、以後はごちゃごちゃとしたストーリー展開となってしまい、惰性で見続けました。この、「先輩刑事の「ちゃらんぽらんさ」が面白い人物だと思っていること辺りが古いフジテレビ体質を象徴しておりました。役者自身は、ちゃらんぽらんを演じようが真面目を演じようが大変さに変わりはないのですが、視聴者からするとまるで「遊んでいる」ように見えてしまいます。
フジテレビは、これまで真剣勝負で刑事ものを制作したことがありません。「ただの」刑事ものを制作されてはいかがでしょうか?
「ブラックリベンジ」 日本テレビ木曜日23時45分
罠にはめられて自殺に追い込まれた夫の復讐として、色々な人物に対して主人公が復讐をするドラマです。復讐は「社会的地位からの追放」であり、展開方法などは自然で納得いくものでした。後半になってやや展開が緩慢かつ間延びしてしまいましたが、総じて面白い作品でした。
1990年代にも吉田栄作氏主演で同様の作品がありましたが、終始一貫した展開になっていたことが評価出来る点です。結末は、この事件は、主人公の身近な医師が黒幕でした。主人公と医師は高校生時代に同級生で、LGBTが事件の原因でした。医師は最終的に自殺してしまうところが、なんとも後味の悪い展開でしたが、後味の悪さもストーリーが良く出来ていたからこそ、ではないでしょうか。
「コウノドリ」 TBS金曜日22時
シーズン1の好調さを受けたシーズン2です。前シーズンでも「患者の描写がほとんどなく、断片的に複数のことを盛り込むため、ドラマとしてのバランスが悪い。これは、医事研修ビデオだ。」と評価しました。
この点は更に強化され、視聴者心理描写はさらに薄くなっていました。シーズン1のみ可能な「医師側の描写」はもう使えなくなり、話は更に薄くなりました。もし今後も放送を継続するならば、医事監修も大切ですが、ドラマとして心理描写や視聴者が人物に感情移入出来るような、自然な展開方法を望みます。
「さくらの親子丼」 フジテレビ土曜日23時15分
清水有生さんという、学園もの作品を得意とされる方の脚本です。第一話を見て、「なんだか2000年頃のような雰囲気だな。」と感じました。茶髪(金髪)や、シルバーアクセサリーをジャラジャラとさせているような「ヤンキー」が多数登場し、いくら「学校から溢れた子供たち」を描いているとはいえ、さすがに現代の状況を描いているようには見えませんでした。
そこに目をつむって見ると、登場人物の心理描写、特に心理の変化を上手く描いており、ついつい画面に引き込まれてしまいました。脚本をていねいに作った結果だと思います。
「陸王」 TBS日曜日21時
「池井戸潤 原作 + 福澤克雄 演出作品は苦手」と先日書きましたが、シリーズ後半頃にはその苦手による嫌悪感が出てきてしまいました。なんとか最終回まで見続けられた、という印象です。
以前も書きましたが、ソール素材の「シルクレイ」が架空の素材で、その架空素材を製造する機械が故障し、シリーズ後半は機械の再生に伴う資金繰りが物語の主軸になるという、原作者お得意の分野になってしまいました。
演出は相変わらず舞台的で、大げさな台詞回しと音楽で飾り立てられています。主人公側の立場は振りながら、シューズの上ではライバルに対して常にまさっているという、「主人公は絶対的に強い」描き方で、これも退屈してしまった原因です。
私がドラマに関わるのでしたら、以下のようにします。
シルクレイ製造機は故障しましたが、あれは大量生産機械です。手作りならば、個数は少ないものの製造出来るはずです。機械故障後のソールは若干性能が劣るものであるとします。この間にアトランティス社はシルクレイに勝るとも劣らないソール素材を開発し、主人公側のこはぜ屋は不利な立場に立たされます。
そして迎えた豊橋国際マラソン、ランナーは互角に戦っていました。ソール素材の不利さをアッパー素材の改善で補った陸王は、若干有利な展開でした。しかし、ゴール直前にソールが破断、ランナーは倒れそうになり、極端にペースをとしてゴールに臨みます。その間に追い上げたR2を履くライバルのランナーですが、鼻の差で陸王側のランナーが勝利します。
このような、映像付きのドラマならではの「ハラハラ、ドキドキ」感は、小説では描けません。そこを補うのが演出家の腕の見せどころです。
「民衆の敵」 フジテレビ月曜日21時について
私は、1話のはじめから10分程度で挫折してしまいました。その後、「第一幕終了」という言葉のもとに「テコ入れ」が行われた話も見てみました。しかし、全く興味をそそられず、これも10分程度で見るのをやめてしまいました。視聴率の点でも大苦戦したようで、最終回は4.5%と、「月9」最低の水準になってしまったそうです。
ストーリーもひどかったそうですが、政治ものをドラマにするのは難しいと思います。主に「権力争い」を描いたそうですが、権力争いはセリフだけで描かれますので、絵柄の上で魅力が出ません。政治を題材とした作品としては、まっとうな結果だったのではないでしょうか。
おまけ
タイトルの写真は、「さくらの親子丼」最終回で、登場人物の10年前の姿を描いたものです。2007年秋、この腹の上までの長さしかないダウンジャケット/ベストを、二週間だけ市中で見ました。これ以後、一切見ておりません。服は、暑い時には羽織りものを、寒い時には薄着と、ガマンをすることでオシャレ度が増します。この服も寒いのにお腹を出すスタイルで、寒さと引き換えに軽快さを出しています。しかし、市中見たのはたった2週間程度、おしゃれの限度なのでしょうね。インターネット上でも見ることが出来なかったこの服、10年ぶりに見られたことに、「時代考証」の素晴らしさを感じたのでした。
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Posted at
2017/12/29 22:52:46