
この日トヨタの販売店を覗くと、先週発見した昭和48年式クラウンを引き続き展示していたため、改めて訪問しました。前回もスマートフォンを持っていたのですが、神々しい姿に撮影を忘れてしまったためです。
このクラウンは昭和46年12月に発売(写真の左側)され、昭和48年2月にマイナーチェンジを受けた姿(写真の右側)です。登場当初は、車の各部が丸いスタイル、バンパーが車体色、ラジエーターグリルが上下二分割の姿など、デザイン主体のスタイルで登場しました。一代のモデルで一般オーナーへの訴求を図った結果成功し、さらに一般オーナーに向けた方針によるものと推察されます。
しかし、当時この種の車を購入する層というと、昭和初期どころか大正・明治時代の人もいたと思います。この当時の世相というと、おしゃれや前衛的な傾向を迎合することは「軽々しい」と忌み嫌われたようです。結果、クラウンは販売台数でセドリック/グロリアの後塵を拝することとなり、「失敗作」とされてしまいました。
同時期のトヨタ車は、昭和45年12月発売のセリカが前衛的なスタイルを以て大ヒットとなり、この車、そして昭和47年1月発売の「コロナマークⅡ」と前衛的スタイルを推し進める方針だったのでしょう。しかし、この車の失敗からか昭和48年8月登場のコロナはボクシーで大人しいスタイルへ転向しました。以後、トヨタ車のスタイルは「地味」で「普遍的」となっていきましたので、社風を決定づけるモデルだったのかもしれません。
この展示車そのものの点では、SLグレードであることが特筆されます。エンジンは「M-B(有鉛ハイオクガソリン仕様)またはM-BR(レギュラーガソリン仕様)」の、SUツインキャブレター仕様です。
トランスミッションは5速マニュアルトランスミッションと、高速道路時代の到来を予感させる仕様となっています。「ツインキャブ」は、この後まもなく排出ガス規制が始まるために廃止され、その後EFI(電子制御燃料噴射)が主流となるために、以後廃れてしまった仕様です。
エンジン始動に「コツ」が必要だったり、キャブレターの調整にも技術が必要だったりと、「通なモデル」と言えます。パワーの向上分は標準エンジンに対して20馬力程度の125馬力と、最近の車と比較すると大人しいものです。しかし、特殊なモデルというオーナーの誇りは、何にも代え難いことでしょう。
トランスミッションはオーバードライブ付きの5速仕様です。当時はまだまだ高速道路やバイパスは少なく、オーバードライブは必要なかったと思います。
このモデルは、その後の「アスリート」グレードに通じる仕様と言えます。納屋に眠っていた車両と伺いましたが、よくぞ蘇ってくれたものです。
ブログ一覧 |
旧型車 | クルマ
Posted at
2018/08/13 00:02:39