2019年11月04日
流行語と「三語症」と1982年の女子大生
インターネットは、物事を調べるのに非常に便利です。その一方で、歴史として研究家がいる分野の時代とインターネット普及期の間の出来事は、あまり記されていないようです。特に、流行の分野は一過性なのか、特に正確性に劣るようです。
いくつもある中で、「三語症」があります。1982年頃の言葉で、当時急増していた女子大生をして揶揄したものです。この5年前の1977年頃は、「ハマトラ(横浜のトラディショナルなファッション)、ニュートラ(高度経済成長期に対して、新しいトラディショナルなファッション)」が流行りだした頃でした。それまで高校を卒業すると、地元の企業の事務や信用金庫の職員になっていた女性が、だんだん短大に進学するようになっていった時期です。
子供がいる家庭が経済的に良くなってきたこと、女性も勉強することが当たり前になってきたこと、高度経済成長期が終わり、仕事は必ずしも体力を使うことではなくなってきたことなどが、その理由だと思います。もちろんこれは表向きの理由で、「働くまでの間の2年間程度、親の金でおしゃれをしながら遊びたい」という傾向もありましたし、「周囲の人の推薦でお見合い結婚をするよりも、学校に進学して都会の企業に就職したほうが、より良い人と結婚できる」というのもあったことでしょう。
そんな傾向が当たり前になり、短大卒が基本となっていたのが1982年でした。なお、この5年後までもこんな差別的な傾向が残っていました。
「女は短大卒までが当たり前」
「4年制大学なら文学部じゃなきゃ、おしゃれじゃない」
「4年制大学の社会学系分野卒は、生意気でね」
「4年制大学理工学部卒は、女じゃない」
と、言われました。企業でも、
「4年制大学卒業者は使いにくくてね」
と、短大卒者しか採用しない企業もありました。
まったく差別的です。
1982年頃は、前年に「Drスランプ アラレちゃん」の放送が始まり、「キーン」と言いながら走ったり、会えば「んちゃ!」とあいさつする女性がいたようです。現代なら「不思議ちゃん」ととらえられかねません。「オールナイトフジ」などの深夜番組も始まり、バカっぽい女性がもてていたようです。
そんな時代背景が影響したのか、「三語症」なる現象が起こったと思うのです。その「三語」は、
1.「エーッ」
2.「ウッソー」
3.「ワカンナーイ」または「カワイイ!」
です。何を聞かれてもこれで会話を成立させると、「バカっぽくてかわいい子」とされていた模様です。
もちろん、この三語しか話せないような退陣コミュニケーション力が劣る人もいたのかもしれません。しかし、勉強したり自分の意見を持ったりすると、
「生意気だ」
「女らしくない」
「雇いにくい」
と思われてしまうのでしたら、自衛策として三語しか話さないことも考えられます。
何年か前までは「「三語症」など、当時の女性はバカだった」と表面的なことしか考えなかった私ですが、最近はこのように考えるようになりました。しかしまあ、実際の当時の状況はどうだったのでしょうね。
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Posted at
2019/11/04 21:45:10
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