2020年08月01日
1984年は、音楽の上ではプレ・プレバブル?
毎年夏になると、思い出す曲があります。「ナツナツナツナツココナツ!」という曲です。実は私は、つい先日まで1983年か1984年のJALのCM専用ソングだと思っていました。当時は、JALは頻繁に旅行を促すCMを流していたからです。
ふと、この曲について調べてみようと思いましたら、これまでわかってなかったことがたくさんわかりました。
まず、この曲はCM専用ソングではなく、「ふたりの愛ランド」という、独立した曲でした。テイクは異なるようで、CM用はサビの一部を抜き出し、サビのみで終わる音楽になっていました。
そして、女性ソロ曲かと思っていましたら、石川優子さんというシンガーソングライターの方と、「チャゲ&ASKA」のチャゲが歌う、デュエット曲でした。しかもそのチャゲは、プロモーションビデオでは帽子もサングラスも黒い服もまとっていません。石川優子さんは、1970年代末期から活動されている、アイドル年代よりはちょっと上ですが、1980年代前半的なかわいらしさを備えた方でした。
話は、CMに戻します。このCMが放送されたのは1984年でした。曲の明るく夏らしさと映像がぴったり合い、名作と感じました。女性は日焼けしていますが、これが当時の標準でした。このまま「アムラー・ガングロ」期につながったのではありませんが、当時は日焼けが健康の証、とされていました。
女性の髪の毛が縮れていますが、これは前年の「マイケル・ジャクソン」の流行に伴ったものの様で、チリチリアフロヘアっぽい髪形が現れていました。
黒い水着は、もう少し後の時期のDCブランドブームにつながる傾向でしょうか?
このCMは、新しさにあふれています。1980年代前半は、原油価格が高騰していた李、日米貿易摩擦が問題になっていたりと、それほど景気が良くなかったような分析があります。しかし、当時を思い出すと、若者にレジャーが広がっていた記憶があります。景気は良くなかったものの、若者の可処分取得が増えつつあったのではないでしょうか?
1977年頃までは「太陽にほえろ!」でも「地方から上京、孤独から貧困に陥り、犯罪組織に入り込んでしまう」などの設定がなじんでいましたが、この頃になると古い話になってしまっていました。
このCMは、主に20歳代前半の単身OLなどを対象にしていたようです。女性の多くが24歳までに結婚して家庭に入っていた中、働き始める18歳から結婚前の24歳の間は、ほとんどの人が親と同居で地方なら車も親に買ってもらっていたということもあって、可処分所得が多かったようです。パソコンもスマホもなければ、当時のOLはそれほどテレビドラマもみませんでしたので、レジャーといえば旅行でした。それを狙ってのものだったのではないか、と推察されます。
もう一つ、「都会的か田舎的か」という視点があります。この頃すでに、「イモ」という言葉はありました。田舎者を揶揄したものです。その一方で、スマートでクールでおしゃれなものを「都会的」としていました。レジャー旅行は都会的な夏休みの過ごし方に当たり、田舎者は盆踊りや花火大会をして過ごす、という、妙なくくりがあったものです。その都会的感覚を演出するために、この曲の存在感は大きかった、と思います。
1984年は、この年を象徴する曲がもう一つありますので、そちらはまた改めて書きます。
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Posted at
2020/08/01 23:39:14
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