
先週金曜日は、安倍元総理大臣(以下、安倍さん)が大変なことになりましたね。その後、当日の警備体制についていろいろ指摘する意見が出てきました。そこで、警察にも警備会社にも勤務した経験がないながら、「太陽にほえろ!」好きの私としても、当日の警備体制について、映像でわかる範囲で振り返ることにしました。
基本事項
政治家は、市民になじんでもらうために街頭演説をします。時には握手をしたり、言葉を交わしたりすることもします。そのため、「重装備の警備隊に守られた」状態でいることを嫌う人もいます。ヘルメットや警棒、楯で武装した警備隊に守られながら、
「市民の皆さんの声を聴くためにやってまいりました!」
と言ったところで、心に響きません。
また、
「民主主義は武器弾薬に負けない!」
と、武器には言葉で戦う意思を持った人もいます。そのため、後の報道にあるような「もっと警備」を、自ら断る人もいるそうです。
1.安倍さん後方の警備
誰もが指摘している点です。安倍さん他の演説者は、駅前ロータリーのガードレール囲いの中にいました。一方、聴衆はロータリーから出る、広い通りの方に集まっていました。演説者がいた場所と聴衆の間は結構な距離があり、たとえ暴漢が来ても、演説者の位置に来るまではかなりの時間的余裕があったはずです。
一方で、後方は演説者の背面しか見えないために、人影はまばらでした。とはいえ、車や自転車は通れましたし、何より演説者までの距離が近かったのです。
2.発砲音
発砲の瞬間を撮影した動画を見ると、発砲時の音は
「バフーーン」
と、音の高まりが緩やかな上に、長く続きました。銃火器の火薬は速く燃焼するために、
「パン」「バン」
などと、瞬間的に終了する音になります。発砲音は大きかったのですが、瞬間的にはガスタンクや車のタイヤが破裂したと勘違いしても無理はなかったと思います。とはいえ、安倍さんのそばにいた人はすぐに安倍さんを伏せさせる必要がありました。
3.警官の動き
犯人を捕らえた人たちは、両手を前にして少々漫画のような動きで、犯人を捕らえました。刑事ものドラマで「逮捕」を「確保」と言うようになってからというもの、この種の方法が「本当の警察の方法」と紹介されるようになりました。
しかし、中には転んでいる警官もいる故、この方法は間違いだと思えるのです。飛び蹴り、パンチ、柔道の要領で投げるなど、犯人にダメージを与えなければならなかったと思います。ブルース刑事ならパンチの連打、テキサス刑事なら投げ飛ばしていたことでしょう。
また、遅れて犯人の近くに来た警官は、「もう捕まった」とばかりに、どこか安心してしまっています。今回の犯人は一人でしたが、捕まえた瞬間にそのことはわかりません。もしかしたら、反社会的集団が大挙して演説者を襲おうとしたかもしれません。他の警官は、銃を抜いて更なる攻撃に備えなければなりませんでした。
ところで、高いビルの上などに、監視役の警官はいなかったのでしょうか。また、ライフル銃を準備して、いつでも撃てるようにはしていなかったのでしょうか。山さんが双眼鏡で監視し、ゴリが銃を備えていつでも銃撃できるようにしていました。
4.市民も協力して
犯人を捕まえた瞬間、自転車に乗ったお年寄りや、黒い日産デュアリスの姿も見えました。犯人の異様な動きは見えたはずですから、体当たり攻撃は出来なかったのでしょうか。私は、周囲に異変を感じた際に自身の体を鼓舞すべく、太陽にほえろ!なら「太陽にほえろ!序曲」や「衝撃のテーマ'75」、マジンガーzなら「パイルダーオンのテーマ」を思い浮かべ、即時攻撃態勢を取るようにしています。
5.安倍さん自身が絶対防衛線
SPは、自分の命を投げ出してでも要人を警護するように訓練されているそうですが、人間の本能でどこか自分の体を守る行動に出るものです。ですから、本当にぎりぎりのところでは、今回のようなことになってしまうことが考えられます。
安倍さんをはじめとした政治家は、反対派が多いことでしょう。演説中にヤジによって攻撃されることがあるでしょうから、自然と外部の音に鈍感になるようになるものです。そこが、
「安倍さんが、自身の話の中で「。」になったときに1秒間も止まってしまった」
「その後、ゆっくりと後ろを振り返り、そのまま1秒間も止まってしまった」
原因だと思います。
銃器や刃物を持った者に対しては、大声をあげながら胸元に飛び込み、油断をしたところで、銃器や刃物を持った手を蹴り上げることがポイントの様です。そこまでは出来なかったとしても、反射的にガードレールのところに身を隠してほしかったです。
6.犯人の服装
おそらく、これは他の人やメディアでは絶対に言わない点です。犯人は、体にフィットしたTシャツとカーゴパンツでした。この種の着こなしは、2005-2007年頃のものです。大塚愛が「フレンジャー」をうたい、山田優が「アキハバラ@DEEP」に出演した頃のもので、その後リバイバルしていません。
また、カーゴパンツのわきのポケットは飾りであり、物は入れません。なお、画面からはよく洗濯してるかどうかまでは判断できませんでした。
そして髪の毛は、3か月間程度散髪をしていない様子でした。うなじまで伸びた髪や、額いっぱいに髪があり、まるで髪の向こうに目がある印象でした。
このように、服の傾向がひどく時流から外れていたり、散髪に無頓着になることは、精神的にやられている人の特徴の一つなのです。
平日休みの人や夜勤明け、夜の仕事の人はいるかもしれませんが、平日の真昼間にこのような外見で何十分も演説会が始まるのを待っている人は、注意を払っておかなければなりません。
7.本部長の承認
奈良県警本部長が、警備計画書に承認の印鑑を押したそうです。過去からずっと受け継がれた警備方法だったそうですから、ほとんど目を通したり疑問を持ったりすることなく、承認印を押したのでしょうね。とはいえ、世の中の仕事のほとんどが、継続的かつ大した検討もされずに、脈々と受け継がれていることでしょう。彼を責められませんが、「終わりのない改善行動」は、大切だと思います。
8.まとめ
少し前のブログで、「職務従事者は増えているが、プロフェッショナルは減っている」と書きました。今回も、その現象の現れだと思います。
「警備に携わった人たちが、警察内部の訓練手法にのみ特化し、外部とのやり取りがないので、それ以上にはならなかった」
ことが、残念でなりません。
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Posted at
2022/07/15 23:18:27