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2024年04月27日

1965年放送 青春学園ドラマ「青春とはなんだ」を見る

1965年放送 青春学園ドラマ「青春とはなんだ」を見る  以前、青春学園ドラマ第一期最後の作品となった「炎の青春」を見た感想を書きました。時代をよく映していて面白く、他の同系列作品を見てみたい思っていた中、この日、第一期の最初となった「青春とはなんだ」を某所で見ることができたのです。

この「青春とはなんだ」は、石原慎太郎氏が原作です。晩年は政治家としての活動が主体だった石原慎太郎氏は、当時作家としての活動が主体でした。

「青春とはなんだ」が放送される10年前には「太陽の季節」を執筆し、当時の若者風俗を造ったようです。具体的には、夏の海をたむろしたり、同世代の女子に声をかけて遊ぶ、などです。太平洋戦争敗戦から10年の時期、戦後の雰囲気が薄いで過剰に自由に遊ぶ「戦中に生まれても戦争に行っていない世代」をたきつける形になったことで、俗悪作家とされたり、国会に証人喚問(?)させられたりした模様です。

 そして10年、おそらく石原慎太郎氏は宗旨替えをして、「若者とはどうあるべきか」を問う形で「青春とはなんだ」を執筆したものと推察されます。
 この作品がドラマ化された1965年は、都市周辺でようやく高校進学が広まっていった時期で、この作品は地方の街にある高校を舞台としていました。そのため、生徒も純朴で、貧しい家庭の生徒がいたり、時々出てくるラグビー部もユニフォームがボロボロと、いざなぎ景気前の生活は、まだまだだったことを感じさせます。

 実は、この作品には全く期待しておりませんでした。というのも、1960年代というと世の中の「動画」は映画が主力であり、テレビは出演してくれる人すらいなくて困った時代だったこと、登場人物の内面を描く手法は確立されておらず、出来事を単に並べて描く作品が主体だったこと、そして先生が生徒をけん引していくワンマンドラマ、と聞かされていたためです。

 しかし、後に「太陽にほえろ!」などを制作する、日本テレビの岡田晋吉プロデューサーがかかわっているからか、後の時代のドラマ制作手法につながっていく片鱗が見え、楽しく見られたのです。

中でも、主人公の野々村先生(演:夏木陽介)が森山学園に着任する前に停学処分になっていた話は、当時ならではの貧しさと、学校の仲間感がうまく融合していて、当時の水準を大きく超えてたと思います。

あらすじ

 停学になっていた生徒(演:寺田農)の家は母子家庭で、母親は住居兼店舗を町の有力者から借りて生計を立てていた。寺田演じる生徒(以下、寺田青年)は隣の学校に通う有力者の息子を含む集団と喧嘩、数か月前から無期停学処分を受けていた。そして有力者は、母親に対して店を明け渡すように通告してくる。

そのことを聞いた野々村先生は、生徒にその時の状況を聞く。寺田青年はケンカの場の近くにはいたものの、当時の担任と折り合いが悪く、有力者の息子の言うままに寺田青年が有力者の息子に暴力をふるい、時計を奪ったとして処分を決定していたのだ。寺田青年の無実を晴らすよう、生徒と活動を開始する野々村先生。

野々村学級の生徒は、隣の学校のけんか集団に寺田青年は無実であると証言をしてもらえるよう、赴く。そこには番長的リーダーがいて、対応する。当初はそんな生徒たちと一戦交えようとするも、真摯な姿に共感、全校生徒を調べると約束する。

けんか集団番長の調査によると、問題となったけんか事件の際に、有力者の息子から時計を奪ったのは、そのけんかとは全く別の生徒であったことが判明する。野々村学級の生徒に謝罪するとともに、寺田青年を退学処分とする森山学園の学校会議で証言することを約束する番長。

その頃、森山学園では会議が開かれ、寺田青年を退学処分にするか否か、会議が行われていた。そこで番長たちの証言を得ることに成功、寺田青年は退学処分にならなかったのはもちろんのこと、停学処分も解かれた。

停学処分解除の報を寺田青年のもとに報告に行く野々村先生と生徒、そして番長一同。ところが寺田青年は、そのまま学校を退学するという。

理由は、「このまま学校に通うことよりも、母親を助けながら店を経営していくことが今の自分には大切になった。」

そして、野々村先生には「会ったこともない自分のような生徒のために奔走してくれて、こんなにうれしいことはない。それにしても変わった先生だなあ。そんな先生のクラスになれて幸せだ。」と感謝の言葉を伝え、野々村先生は寺田青年に「いつでも戻ってこい!」と言うのだった。

 いやあ、見ていて目頭が熱くなりましたよ。まだ会ったことがない生徒も自分の生徒そして活動する野々村先生と、仲間を救おうとする同じクラスの生徒、人間的大きさをも感じさせる番長、そして何より、貧しい家計を支えて働いていくことを決意する寺田青年の心意気です。停学処分が解かれても、家庭の事情で働かざるを得ない寺田青年の境遇、そして別れ際に感謝の言葉を伝えるのも、胸を打つ演出ですね。これを見ていた当時の中学生や小学生は、きっと勉強を頑張って高校に進学したいと思ったことでしょう。

 ところで、この番組の主力スポーツとして扱われていたはずのラグビーですが、確かにラグビーを取り扱う回もありました。強豪校が弱小校の森山学園ラグビー部に勝負を申し込み、野々村先生は街の人たちの協力を得たり、細かい作戦を使いながら、辛くも勝利するという展開でした。これもまた傑作でしたよ。

1972年頃にならないとテレビドラマは面白くならない、とばかり思っていたのですが、うれしい誤算でした。もちろん、現代にそのままの形で放送すると、ちょっと単純すぎるとは思いますが、見ている人の琴線に響く脚本を感じました。

当時の世相
 1969年放送の「炎の青春」は、当時の大学生に広まっていた学生運動が高校生にも伝わっていたことや、主力の生徒が女子生徒寄りにされるなどの、ウーマンリブ運動も感じさせる展開がありました。一方で、この作品にはそのどちらも全くありません。学生運動や女性の強まりが、わずか3-4年間で起こっていたことがよくわかりました。
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Posted at 2024/04/27 16:34:12

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