
この日は、新型デミオを借りてドライブに行きました。グレードはタコメーターもなかったので、1300ccの最下級のものだと思います。トランスミッションは4速ATでした。
車について
エンジンとAT
エンジンは音からオールアルミで、乾いたややザラついた音が聞こえます。ただ、アイドリング時は4気筒とは思えないほど静かでした。実用回転域でも静かでしたね。また、エンジンの回転を高回転にしても雑な音が聞こえず、やかましくは感じませんでした。
パワー(とはいっても電子制御スロットルなので、アクセルペダル開度とスロットルバルブの開度は連動しません。したがって、ここでは従来のワイヤースロットルと同じものとして書きます。)は低中速域で十分あり、発進時には気をつけないと急発進になります。かといってATがローギアードかというとそんなことはなく、1速で80km/hまで伸びますから、わりとハイギアードですね。シフトスケジュールも適正で、CVTほどではありませんがエンジンの出力をうまく引き出していると思いました。ただ、これは電子制御スロットルの制御だと思うのですが、減速後に再加速するとき、どうやら急にスロットルを開いているようで、車がギクシャクします。
エンジンパワーは高回転になるとだいぶ落ち込みますが、日常域では十分ですね。ただし、回して楽しいエンジンかというと、音が没個性なので面白いとは思いませんでした。とにかく車重に対して十分なパワーで、乗っていて楽しい車になっていました。
肝心な燃費は、走行距離が650km、燃料は42.18リットル、15.41km/リットルと、飛ばしたにもかかわらず非常に優秀な燃費ですね!
マツダ独自のホールドモードつきAT
マツダはそれ以外のメーカーとATレバー類の扱いが異なり、一部の評論家には評判が悪いホールドモードつきATになっています。これは、他社がレバーにつけるスイッチがODオフスイッチであるのに対し、マツダのスイッチはHOLDスイッチであるところから来ています。レンジは下からL,S,Dとなっています。HOLDスイッチオフでは、Lでは1,2速の自動変速、Sは1,2,3速の自動変速、Dでは1,2,3,4速の自動変速となっています。HOLDスイッチをオンにすると、Lでは1速固定、Sでは2速固定、Dでは2,3速の自動変速となっています。また、HOLDスイッチオンではロックアップが作動し、オフでは作動していないようです。
Dレンジ走行中にHOLDスイッチをオフにすると3速に、Sレンジ走行中にHOLDスイッチをオフにすると2速になるので、3-2の変速がスイッチ一つで出来ますから、これはこれで使い方を覚えると便利です。ホールドモードで、SとDと切り替えてワインディングロードを走ると、本当にきびきびと走ります。
ただし、ステアリングスイッチやレバーの前後でマニュアルシフト出来る車が出た今となっては、ちょっと旧いかな?とは思います。
サスペンション他シャシーについて
下級グレードであったにもかかわらず、サスペンションは引き締まっていてまるでスポーツグレードのようでした。ロールはほとんどありませんね。ノーズの入りも良く、思わず自分の運転がうまくなったように感じるハンドリングです。下級グレードがこうなのですから、スポーツグレードはかなりの走りをするでしょう。とにかく楽しいハンドリングです。「ZOOM-ZOOM」とCMをしていても、「どうせ安物のマツダ車だからCMだけだろう」とバカにしていたのですが、いやあ、マツダさん、乗らずにそんなことを言ってゴメンナサイ。
ただ、乗り心地という面から言うとこれでは堅すぎる、という意見も出てきそうです。路面の突起をコツコツと伝えてくる感じは、フィットにも似ていますので腰痛持ちには厳しいかな??
また、わだちなど早い周期で上下する路面でブレーキをかけると、タイヤが団速的に路面から離れるのか、ABSが早めに介入して一瞬ノーブレーキに近い感じになります。今まで何台もの車に乗りましたが、こんなことは初めてです。マツダのABSは昔から評判が良くありませんが、この車もその通りです。これはABSが原因なのか、ショックアブソーバーの縮みが堅すぎるのかわかりませんが、早く改善してください。
室内について
プラスチック感が前面に押し出た内装は、ちょっとほめられませんね。他のメーカーの、2000年代初期の不景気だった頃の車と同じです。シボは付いていますが、どこも固くて手触りが良くありません。グローブボックスが上から物を入れられるようになっていますが、その操作感も良くありません。シートはジャージーで、これはどこの車でもコンパクトーカーはそうしていますから、差はありませんね。シフトレバーやパーキングブレーキ、その他スイッチ類の操作感は良いです。
ただ、ボデー剛性を優先したためか、斜め後方の視界が悪いので、バックするときには注意が必要です。
ボデーについて
本当にボデー剛性が高く、タワーバーなどの補強が要らないように感じます。ボデー先端は全く見えませんでしたが、元々短いので心配は不要です。車重も軽く、このグレードでは990kgに収まっています。一般グレードは確実に1トンを越えるでしょうが、それでもこの剛性でこの車重はがんばったといえます。ただ、荷物室と後席は広いとはいえませんね。女性が一人か友達と使う場面を想定しているのでしょう。
ただ、目を凝らしていくとちょっと疑問もあり、「見えないボデーパネルの端部の処理が良くなかったり、リヤダンパーのウレタンバンプラバーがむき出しだったり」と、長期にわたって所有したときに意外に劣化が早いのではないかなあ?という器具もあります。
要望
内装の改善は言うまでもありません。
ショックアブソーバーは、フリクションを取るか、微低速でもう少し良く動くものに変えてもらいたいです。
ABSも作動タイミングを検討してください。
エンジンには、もう少しドラマチックな回り方を望みます。
スロットル開度特性ももうすこし穏やかにしてください。
まとめ
細かいところを除くと、本当に良く出来た車です。かつて乗ったヴィッツと比べると、装備品こそ劣っていますが、走ったときの楽しさはデミオの方が「うんと」上です。とにかく走って楽しい車です。下級グレードでこうなのですから、スポーツグレードはすごいことになっているでしょう。久しぶりにこんな楽しい車に出会いました。「最近面白い車がないなあ」という方にぜひともお勧めです。いやあ、楽しかったです!
添付の写真は、トンネルステーです。
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試乗 | クルマ
Posted at
2007/09/23 21:29:04