この日のドライブは、現行フィットになりました。1300CCで、下位グレードだと思われます。旧型フィットは2005年の秋に草津白根山までのドライブに使ったので、よく覚えています。その旧型フィット、乗り心地は雑誌が言うとおり決行固いのですが、全高が高いためか結構ロールすること、スタートクラッチ付きCVTは、クラッチがつながるとまるで3速のようなもっさりした加速になることが印象的でした。
エンジンについて
基本的に旧型とほぼ同一のL13Aエンジンです。また、シビックハイブリッドのLDAともほぼ共通です。低回転ではなんとなくざらついた印象があり、あまり気持ちが良いとはいえませんでした。高回転になるとざらつきはなくなり、「ホンダらしい」と思えるようなパワーがありました。他社の1500ccエンジン程度の力があります。(もっともCVTであるから有効な出力が取り出せるということがありますが。)
トランスミッションについて
今回のフィットですが、全く予習なしで乗り込んだため初めは「1300ccは、スタートクラッチ付きCVTのままだったか」と思ってしまうほど旧型と加速感が似ていました。トルクコンバーターのコンバーターレンジをほとんど使わず、すぐにロックアップしているためでしょう。CVTのギヤ比も多分あまりワイドではないのでしょうね。兵站路では全く感じないのですが、上り坂での発進がもっさりしていて、まるでMTで半クラッチ時間を長めに取っているような印象でした。
変速についても、燃費を重視したもので比較的高いギヤ比を選ぶようで、「トルクたっぷりの走り」はしません。常に余裕トルクぎりぎりの走りになっています。もっとも、そうだからこそ燃費が良くなるのでしょうがね。変速パターンは、あっという間に高いギヤ比になって、アクセルを踏むと低いギヤを選ぶトヨタと、自然でギヤ比が固定されているかのような印象すらする日産の中間の出来具合です。可もなく不可もなくといった仕上がりになっています。
サスペンションについて
たしかフロントストラット、リヤ半独立だったかな?乗り心地は結構硬く、ハッチバックのボデーが負けているような感じがしました。車体後方からのドラミングとともに下からツンツンと硬い突き上げが連続し、快適とは言えません。3万kmほど走った車ですので、ショックアブソーバーのフリクションではないでしょう。ホンダらしいといえばホンダらしいのですが、長距離ドライブには適しません。どうしてホンダはサスペンションがストロークするのを拒むのでしょうか?
操縦性について
背が高い車ゆえあまり期待はしていなかったのですが、軽快で好ましいハンドリングを示しました。ハンドルを切ったら切っただけ舵が効く感じがします。ロールは浅いのですが、ロールしきったところからでも舵が効きます。また、ノーズの入り具合が軽く、先日乗ったシビックの、ハンドルを切ってから曲がるまでに時間を感じる挙動とは正反対です。アクセルを戻したときの巻き込みも緩やかで、自然なものでした。今回の中速コーナーが続くルートでは、とても気持ちが良い走りを示しました。昨年の
デミオ程ではありませんが、軽快で走って楽しい車といえます。
内装について
最近の樹脂成型技術の向上からか、見た目は良いのに触るとがっかりするプラスチックが多用されています。ステアリングホイールは、シビックが登場したときのものと同じですが、岡崎五朗氏が指摘したスポークの裏の骨丸出し成型部にカバーがなされ、不快感はなくなっています。それにしても、携帯電話の質感と同程度の感じは否めません。このあたりのセンスはトヨタや日産の方がずっと上手です。自動車は高価な買い物ですので、「所有して喜びを感じるような体裁」を目指してほしいものです。
まとめ
道具としては抜群のフィットですが、ベーシックカーゆえ、「持つことの喜び」は感じにくいかもしれません。3年5年は付き合えますが、7年は厳しいかもしれません。携帯電話の発売以来、良いものを長く使い続けることから、技術の進化に合わせて、適度なサイクルで買い換えることに抵抗がなくなった日本では、この車も適度なサイクルで「足」を選ぶような方が対象になっているといえます。この辺が、トヨタや日産とホンダの大きな違いなのでしょうね。
燃費
走行距離は866km、燃料は50.08リットルを消費しました。燃費は17.29km/リットルです。うーん、これは立派といわざるを得ません。エコ替えには反対ですが、たとえば90年代末のスターレットや「タコⅡ」デミオやロゴなどの車を通勤に使っている人は、車としての寿命ももちろんですが燃費を考えても買い替えを急いでも良いかもしれません。
Posted at 2008/09/13 17:06:48 | |
トラックバック(0) |
試乗 | クルマ