この日は帰省二日目、気分的にも余裕が出てきたので、日産に試乗に行ってきました。もちろん目的は、セレナのハイブリッド車です。
ただし、結論から言うとマイナーチェンジ前のアイドルストップ機能付きのセレナと、機構の上でほとんど変わらないため、これまでのセレナとの違い、という形で説明をします。
基準車セレナについては、
こちらをご覧ください。
箱型ミニバン同士の比較が気になる方は、
こちらをご覧ください。
アイドルストップとハイブリッド機構の違いについて
そもそもハイブリッド車には必ずアイドルストップ機構がついています。発車をする時にモーターの回転でエンジンをかけながら発車、そのままモーターのみ(トヨタのハイブリッド)か、エンジン+モーターの力(他社のハイブリッド)で走るかどうか、の違いです。
ここでハイブリッドの定義を難しくしてしまった車を挙げます。トヨタの、クラウンマイルドハイブリッド(JKS175)、クラウンセダンハイブリッド(GBS12)です。ときの首相、小泉氏が「官公庁の車をハイブリッドにする」と鶴の一声の下、当時の技術で開発されたハイブリッド車です。
当時はまだ12Vアイドルストップ車用スターターモーターと、確実にエンジンを始動する技術が未熟だったようです。モーター用電源を42Vとして専用バッテリーを搭載、モーター兼発電機を36Vとして減速時に発電したり、発車時にモーターでアシストしながらクリープ速度までモーターで走っていました。
実験車レベルですが、ヴィッツには「TIIS(トヨタインテリジェントアイドルストップ)」として、助手席下にリチウムイオン電池を積み、スターターモーターでエンジンを始動する車もありました。
その後、繰り返し動作が保証?された12Vスターターモーターや、アイドルストップ車専用12Vバッテリーの規格ができたため、それらは不要な技術となりました。
首相が提唱した意見に基づいて出来たアイドルストップ+車をハイブリッド車と言ってしまうことになったため、クリープ速度までモーターで走れる場合には、「ハイブリッド車」としなければならなくなってしまいました。
セレナのハイブリッドについて
アイドルストップ車は、12Vオルタネーター兼スターターモーターの「エコモーター」を積んでいました。エンジンとはベルトで連結されていたため、ギヤの噛み合いを気にすることなく、静かになめらかにエンジンを始動出来ました。
実車では、クリープ走行まではアシスト出来ず、エンジンがかかってからクリープ走行に至るまでにタイムラグとほんの少しのショックを感じました。
このアイドルストップ仕様では、エンジンがかかるまでの時間は変わらないものの、エンジンがかかってからクリープに至るまでの時間が短くなっています。「せっかち」、でアクセルペダルをすぐに踏む人には感じられない程度の違いです。
一方、減速時に発電できる電力も増大していること、駆動時にモーターに流れる電流も増えていることから、12Vバッテリーを二個積んでいます。
鉛硫酸バッテリーは、大切に使っても寿命はせいぜい5年です。アイドルストップ仕様とハイブリッド仕様とで得られた燃料代金の差は、メンテナンス時にバッテリーの代金として吹き飛ぶ可能性が大です。
また、走行中も加速時も、モーターはエンジンをアシストしません。エンジン車として走行します。これも、クラウンマイルドハイブリッドをハイブリッドとしてしまったゆえの恩恵(?)といえます。
従って、アイドルストップ仕様を買った人が、「もう少し待てばよかった」、と、地団駄を踏む必要は全くありません。新型車には、確かアイドルストップ仕様はなくなり、ハイブリッド仕様と最下級グレードにアイドルストップなし仕様が残るだけなので、選ぶ人も悩む必要はありません。
登場時はアイドルストップ仕様がごく一部、小変更でハイウエイスターを含む殆どの仕様がアイドルストップ化、そして今回はほとんどがハイブリッド仕様化と、主力車種だけに力が入った変更ぶりです。
しかし、そろそろフルモデルチェンジとなり、ハイブリッド仕様も追加となるらしいノア、ヴォクシーが、THSⅡで登場してしまうと、この程度のハイブリッドでは太刀打ちできないことでしょう。マイルドハイブリッドだったり、二列シートで登場してくれば、十分競争できるはずです。
まあ、この種の車が欲しい人は、欲しいと思ったらその時に買うはずですから、先のことを言っても仕方がありません。
Posted at 2012/09/16 22:51:59 | |
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