2012年11月07日
先日、各自動車雑誌や専門サイトなどに、CR-Zのマイナーチェンジについての記事が掲載されました。多くは、「臨時出力アップスイッチ」についての記述でしたが、もっといろいろ性能がアップしています。
・ハイブリッドバッテリーが、100Vのニッケル水素電池から、144Vのリチウムイオンバッテリーへと変更。電圧の上では、シビックハイブリッドと同様になる。シビックハイブリッドはリヤシート背もたれの後ろいっぱいにバッテリーを搭載していたが、CR-Zは、従来からのニッケル水素バッテリーと同じ大きさにしている。
・内外装の小変更
そして
・エンジンが、気筒休止VTECから低速高速切り替えVTECに変更(CAR&DRIVER誌以外)
・エンジンの高回転側が、より高出力化されたVTEC(CAR&DRIVER誌)
となりました。
私は、この記事を読んで違和感を覚えました。
「あれ?たしか前期型から低速高速切り替えVTECではなかったか?」
その違和感はずっと続き、本日ようやく事実が判明しました。あわせて、初代インサイトを除く各ハイブリッド車のエンジンについて、整理をしてみました。
初代シビックハイブリッド(ES9)
1300ccSOHC2バルブ 3気筒休止VTEC
VTEC機構を、「カムが回転してもロッカーアームがバルブをリフトさせないように、「空打ち」する状態と、普通にバルブをリフトさせる状態に切り替えることに用いたエンジンでした。減速時にこの機構を作動させ、3気筒は吸排気を行わなくなり、エンジンブレーキが効かなくなります。その分、モーターによる回生ブレーキを作動させ、運転士は違和感なくブレーキング力の調整に専念できます。
二代目シビックハイブリッド(FD3)
1300ccSOHC2バルブ 4気筒休止 及び 吸気バルブリフト量切り替えVTEC
旧型の気筒休止機能を全気筒へと拡大採用しました。それに加え、吸気バルブのみリフト量を二段階に切り替えるリフト量切り替えVTECも装着し、高回転時のエンジン出力を増大しました。
現行インサイト1300cc、1500cc、フィットハイブリッド1300cc
1300cc、1500ccSOHC2バルブ 4気筒休止VTEC
シビックハイブリッド(FD3)のエンジンから、高速カム及びロッカーアームを省略したエンジンです。
フィットハイブリッドRS用 1500cc
1500ccSOHC4バルブ 低速時吸気バルブ一方が低リフト、高速時同リフト切り替えVTEC
早い話が、CR-Zの前期型のエンジンです。昔のVTECのような刺激はありませんが、日常スポーティとでも言うべき性能です。雑誌などでは、やれスーパーチャージャーだターボだと言っていますが、このくらいの性能の方がパワーを使い切れると思いますので、普通の人には良いと思います。なお、現行CR-Zに対しては確かにVTECの機能が異なりますが、最高出力はあまり変わらないため、この車の魅力がなくなったわけでもありません。
CR-Z(前期型)
1500ccSOHC4バルブ 低速時吸気バルブ一方が低リフト、高速時同リフト切り替えVTEC
私はこれを、旧来のB16Aなどと同じ、「低速高速切り替えVTEC」だとばかり思っていました。確かに吸気バルブの一方は低速高速切り替えVTECではありますが、むしろかつての「3ステージVTEC」や、154馬力版「K20A」に近く、低回転時にはシリンダー内に強いスワールを起こすためのVTECと言えます。
スワールを生成させるためにエンジン出力は低下するものの、EGR量を増やしても安定して燃焼すること、何よりアシストするモーターがあるため、燃費を向上させながら運転間隔は従来通り、といった利点が出てきます。
その一方で、高回転時にはバルブリフト量を増やし、出力が低下するモーターの分だけ低下したトルクが補われ、低回転域から高回転域まで、フラットなトルクを得られます。
CR-Z(現行型)
1500ccSOHC4バルブ 低速高速切り替え2バルブとも等リフトVTEC
低回転域から高回転域まで、2つある吸気バルブは同じリフト量で作動します。低回転時にはリフト量は少なく、高回転時にはリフト量を増大させます。これにより、低回転域のオーバーラップを減らすとともに、高回転時には十分な吸気量を得ています。
ただし、これまたかつてのB16Aなどとは異なり、排気バルブは可変しません。また、オーバーラップも増大しません。そのため、VTEC切り替え時に発生していた、吸排気音の変化やパワーの変化はあまりないでしょう。低回転時の効率向上は、きっと苦労したことだと思います。
そんなわけで、現行CR-Zのエンジンについての記述は、私も間違っていましたが雑誌はもっと間違っているという、広報資料で原稿を書いているんだろうなあ、まあ、人数を考えると仕方がないかなあ、という事象を見たような気がしました。
ところで、後期型はりやサスペンションがダブルウイッシュボーン式になるといった人もいましたよね??
Posted at 2012/11/07 00:24:01 | |
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