2014年02月07日
この日はお客様を迎えての勉強会の最終日でした。第3回の今回は、5日から7日にわたって行われました。第一回は財務、第二回はマーケティングと当社の社員が行いまして、今回は社外の講師にお願いしております。
先のブログに書いたように、私は「人材育成論」の多くには懐疑的でした。この講師は今回で8回目になる勉強会の初回から行われており、過去に面倒見をした社員からの評価も非常に高い方でした。とはいうものの、見たことがない私はやはり懐疑的でした。その気持ちを隠しながら講師の方を見るのも失礼に当たると考え、本当のところを派遣会社の営業の人にも伝え、また、先日のブログにもしました。
相手の営業の方もさるもの、「講師になってからも大学に通い直し、人間の心理に近づいている」と言っていました。まあ、営業の方ですのでわざわざ自社に不利になることは言わないでしょうが、大学に入り直すのなら、かなり本格、かつ、学術寄りにある人だとは感じました。私がこの種の講師や本の著者で一番気に入らないのは、「たまたま成功しただけに過ぎないある手段を、さも定理である」かのように言い張っていること、「難しい言葉を使ってはいるものの、結局「鍛える」「努力、根性論」であること」だからです。
そして5日、講師をお迎えしました。自己紹介が終わって40分くらいまでは受講生の皆さんも硬く、講師の言うことに疑問を持っているかのような雰囲気でしたが、笑いや身近な話などをきっかけに、心が和んだようで、雰囲気が一転しました。いやはや、お見事でした。
その後は、講師がお願いする実習やグループワークにも積極的に参加し、最終日には「もっと話を聞きたい」「今度、当社に来て欲しい」という方まで現れました。私も興味を惹かれ、講師はもっと色々な話が出来るだろうから、聞いてみたい、という気分になりました。
この講師が行っていることが受け入れられたのは、以下の理由によると思います。
・ビジネス論や仕事論を一切唱えず、人の心を引き出す方法に徹していたこと
・受講生の疑問や質問を押しのけることなく、十分に話を聞いて合意のもとに解決論を出していること
・短い時間に言いたいことを詰め込んでいないこと
・グループワークやロールプレイを重視し、受講生に疑似体験をさせていること
・自身の論を押し付けることなく、「こんな方法です」と柔らかい姿勢であること
おそらくですが、文科系の大学ではこんな授業をしているんだろうなあ。楽しそうです。この講義は、「従業員の心を引き出して、従業員自身の成長に務める」という内容でしたが、講師と受講生の関係も同じ、という位置づけでされているのでしょう。
しかし、コーチング論というのは流行していく中で、随分と汚されてしまったものですね。今では先日書いたように、「従業員自身に目標を決めさせ、あとは目標に達したかどうかをチェックするだけ」というものに変わってしまったのですから、大化けも大化けです。やはり「ビジネス書」は読むものではないです。
*注意点
とはいうものの、指導者は指導分野について十分な知識を持たなくてはなりません。さもないと、被指導者が「体を鍛える」「根性を鍛える」「英語を勉強する」といった、漠然とした方向に向きそうになった時に、これを抑制できません。
Posted at 2014/02/16 15:58:06 | |
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