「ファーストクラス」は、登場人物たちの心の声が、テレビの副音声であるかのように聞こえることが特徴のドラマでした。主人公の「吉成ちなみ」が、女性誌の編集部でのし上がる物語でした。
深夜枠であるにも関わらず高視聴率を記録し、春期にシリーズ1が終了、秋期ドラマとして早くも復活するのでした。時間帯を水曜日の10時台に移し、脚本家を変更、登場人物を一新、ないしは、追加しています。作品の舞台も、女性誌編集部からアパレル企業へと移っています。
スタッフ、特に脚本家の変更は、作風の変化を感じます。「1」は、渡辺千穂さんという、女性と会社もの作品には、良し悪しは別として定評がある方でした。「2」は、及川博則さんという方が書いていらっしゃいます。
私はこの方を存じ上げないのですが、前回の特色であった「心の声のセリフ」が多用されすぎて、聞きづらく、また、話の流れが読みづらく、さらに話の進み方が遅いように感じられます。それでいて、描写が丁寧でもなければ深みもない、ということで、少々シーンに無駄が多いように思います。また、セリフや物語の展開に工夫がなく、ただダラダラと話が進行しているだけのように感じます。
「1」の特色が「登場人物の心の声」であっただけに、「2」でこの部分を強化する策には、間違いはありません。しかし、余りに多用すると見ている側はさもしい気分になってしまいます。登場人物の一人くらい、ばか正直で他人を信用しきっている人物や、争いに参加しない「マジンガーZのボス、ヌケ、ムチャ」のようなギャグメーカーが居ても良いように思います。
また、少々登場人物が多くなっていることも気がかりです。ただでさえセリフのより分けが怪しくなっている作品だけに、物語がまとまらなくなるのではないか、と思っています。なお、既に1話の時点でその辺が怪しくなっていました。
同じような失敗は、かつて「グレートマジンガー」でありました。「マジンガーZ」では、幹部が「あしゅら男爵」、「ブロッケン伯爵」、「ピグマン子爵」、友軍として「ゴーゴン大公」があったことが好評でした。これを受けて、グレートマジンガーの敵役は、帝王の下に二つの軍隊、10人の敵を作ってしまいました。この結果、敵の描写が安定しなくなってしまいました。途中、敵役の描写を整理するテコ入れが行われたほどです。
ヒット作のシリーズ2は、前作の成功点をそのまま受け継ぐと視聴者に飽きられ、方針を誤ると視聴者に見捨てられ、なかなか難しいものです。私は「心の声セリフはやや数を減らし、もっと登場人物の背景を描く」作品になれば、また違った面が評価されるのではないか、と思っています。
現在のフジテレビは、そんなことをしないでしょうから、きっと「心の声を拡大、さらに女の争いも激しく」するでしょうが、私には見ている人の心が折れ、脱落する人がたくさん出てくるのではないか、と思うのです。
Posted at 2014/10/16 23:34:03 | |
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