この日は、少々理由があってデミオのディーゼルエンジン車に試乗しました。販売店の試乗車ではなく、1.5万kmを走行したレンタカーです。
デミオには、新登場時にディーゼルエンジン車とガソリンエンジン車を同時に試乗し、その後、レンタカーでガソリンエンジン車に乗っています。ガソリンエンジン車は、山岳路で軽快で粘り強いコーナーリングを見せました。ただし、今回の試乗は市街地走行ゆえ、コーナーリングについては再検証できていません。
エンジン
高回転時の出力は、ディーゼルエンジンゆえ大したことはありません。しかし、3500回転くらいまでの領域では、力強い走りが味わえます。アクセルペダルを全開まで踏み込んだ際の、エンジンの唸り音と振動はやや大きいですが、急加速をしない走りであれば、おそらく楽でしょう。
試乗ではわからなかった点も出てきました。アクセルペダルを踏んでも、ほんの少しの間エンジンが無反応です。アクセルペダルを踏んでいない領域から踏み込んだ際には、あるいはペダルの機械的な遊びかもしれない、と思いました。
しかし、ある程度アクセルペダルを踏んでいる状態から、さらに踏み込んだ時にも同じように応答遅れが発生します。機械的遊びである場合には、アクセルペダルを踏んでいれば遊びはなくなっているはずです。それが、同じように反応が遅れるのですから、今まで経験したことがない操作感覚に陥りしました。人間、こういう時にはかなり違和感を覚えるものです。
どういうことであったか、帰宅してインターネットを調べるとすぐにわかりました。何でも、人間の操作に対してエンジンの反応開始を0.3秒遅らせることで、「溜め」を作るのだそうです。これは良くありません。アクセルペダル踏み込み始めにだけ行うのでしたらわかるのですが、踏み込んでいる状態からさらに踏み込んだ時には、そのような制御は不要です。速度の調整がしづらく、最後まで慣れませんでした。特に市街地走行では、ストレスにつながります。
こういう、時間遅れを作るのではなく、反応開始領域でゆっくり反応を開始するか、ない方が良いと思いました。それだけ、ターボディーゼルエンジンの出力制御が難しいのでしょう。あるいは、マツダ自慢の、ほぼ常時ロックアップを行うロックアップ制御を一時停止し、加速開始初期はロックアップを解除しても良いでしょうね。
トランスミッション
Dレンジ任せで走行しても、マニュアルモードを駆使して走行しても、扱いやすく楽しいトランスミッションであることに変わりはありませんでした。
ステアリング
新登場時に、「操作に対して「あらかじめ回ろうとする」パワーステアリング」と書きましたが、どうやら改善されたようです。そのため、扱いやすいステアリングになっていました。操舵開始時の、やや鈍い領域も適当で、油圧パワーステアリングに近づきました。
サスペンション
フロントサスペンションが良くありません。縮み側も伸び側も減衰力が出ない領域があります。ブレーキを踏めばノーズダイブがひどく、ステアリングを切れば内側が持ち上がります。そもそも、サスペンションが柔らかすぎるかもしれません。改善を望みます。
ブレーキ
現行プレマシー前期型登場時には、ブレーキペダルの踏み応えも、制動力の発生の仕方も適切で、車体の減速度に応じて、ペダル操作力を調整して滑らかに止めることが可能でした。
しかし、この車はそんな良さを無くしてしまっています。そもそもサーボが効きすぎで、ペダル踏み込み初期に踏み応えが全く発生しません。踏み応えが出てくるまで踏み込むと制動力が急に発生し、前述のサスペンションのこともあって車両の前側が急に沈み込みます。
特にディーゼルエンジンモデルはエンジンが重いため、ガソリンエンジンとは比べ物にならないくらい、前輪側が沈み込みます。
これでは、1980年代までのサスペンションがふわふわだった頃の高級車です。サスペンションとともに、改善を望みます。
ボデー
しっかりした車体剛性、ひとクラス上の内装の出来、大満足です。しかし、後席は少し狭いと感じました。小型ハッチバックでは、仕方がありませんね。
また、どこからか排気ガスの臭いが入ってきます。ガソリンエンジンと比較すると、有害成分のことはさておいてもやはり臭いは強いです。車酔いをする方は、このディーゼルエンジンの排気ガスの臭いも原因になります。車酔いをする家族がいる方には、サスペンションとブレーキとこの件を含め、ガソリンエンジンをおすすめします。
また、ガソリンエンジンモデルを中距離試乗した際に気づいた、
ガラス下端の歪みは、改善されていませんでした。
まとめ
デミオは良い車ですが、ちょっと自動車メディアは褒めすぎかな、と感じました。小型車で高級車を作ろうとすることは、過去何回も行われてきました。その中でこの車は、もう少しツーリングカーとしての性能を出しても良いように感じました。高級=柔らかい乗り心地にとらわれすぎているように感じます。
そんなことを含め、やはりこの車ではガソリンエンジンをおすすめします。
参照して欲しい記事(デミオ登場時試乗以降に書いた、同クラスの車)
トヨタ
ヴィッツ(後期型)
カローラアクシオ
日産
ノート(ニスモ)
マーチ(ニスモ)
マツダ
デミオ(ガソリン、ディーゼル同時試乗)
デミオ(1300ccガソリンエンジン6速AT、中距離)
CX3(6速AT)
ホンダ
フィット(1.5RS)
グレイス(ハイブリッド)
Posted at 2016/01/03 21:44:09 | |
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