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2016年03月27日 イイね!

2016年冬期ドラマ感想批評

 今期のドラマは、比較的多めの5作品を選んで鑑賞しました。それにしても、「月9」の滑りっぷりといったらなかったです。名作を思わせる題名、ときの女優の有村架純、フジテレビでかつて名作を書いていた坂元裕二脚本、と来ながら、月9の歴史の中で下から2番目の視聴率を獲得したのですから、なかなか出来るものではありません。

その他の時間帯は、激戦区ではない時間帯や深夜に佳作が見られました。肩の力を抜いたほうが、楽しめる作品ができるような気がしてきました。もちろん、脚本には力を入れてもらわなければなりませんよ。

さて、全ての作品を見終わったこの日付で、感想批評を書いてみます。

「いつかきっとこの恋を思い出して泣いてしまう」

 題名から推して、悲しい結末になるような、胸が張り裂けそうな作品を予想していました。しかし結果は、少しも心に響かず、残らないストーリーでした。

ストーリーを要約すると、以下のようなものです。

引越運送ドライバーが、手紙をひろう。北海道の人のもののようだが、どうしても渡さなければならないような内容であったために、北海道まで届けに行く。

東京に行ったことがない女の子であったが、そのまま都内まで着いて来てしまう。ところが、少し用を足している間に、ドライバー男性には急用ができてその場を去ってしまう。

放置された女性とドライバーは数ヵ月後に再会し、いろいろやり取りをする。

感想

 そもそも、北海道が田舎であるという前提で成立しているドラマなのですが、携帯電話もインターネットもない時代を想起させるような設定です。確かドラマで言うところの北海道は、苫小牧近辺だったように思います。苫小牧は、現実には工業都市でした。また、田舎には繁華街はありませんが、このご時勢精神的にはそんなに田舎ではありません。

 北海道から東京に来てしまう突然の展開には驚きましたが、東京に物語が移ってからもドラマにテーマが見えないのです。年齢が近い若者が、辛い介護の仕事やブラック企業への就職に飲み込まれてしまうのですが、そこには必然性も物語性も見られませんでした。

たびたびドラマの批評に、のび太の日記「朝起きて昼寝して夜寝た」を出してしまいますが、この作品も同様、「みどころ」がないのです。登場人物にドラマチックな展開がなく、のんべんだらりと日々が流れていく印象です。ドラマを観察日記にしてはなりません。

セリフもおかしかったなあ。男が、「いま仕事の帰りですか?」と、通りの向こう側の女に呼びかけると、女は「はい、いま仕事の帰りです。」と答えます。語学初心者の教科書ではないのですよ!

この作品の現況は、プロデューサーです。何を書きたいか自分の中で物語を作らないまま、人手を集めて任せてしまったことが原因と考えられます。

「ヒガンバナ」
 仕事を頑張る女性を描く時間帯の作品です。女性だけの刑事ものですが、この作品では犯罪者も女性だけにされていました。

捜査の要領は、主人公が持つイタコのような一種の乗り移り能力と、脇役のプロファイリングで進行することは以前書きました。そのため、女子が集まってカンで捜査を進めている印象です。そのカンが当たったから良いようなものの、万一操作ミスにでもつながったら、疑われた方はやりきれません。刑事ものではありますが、こういうデタラメな刑事ものはやめて欲しいものです。もちろん、だからといって警察ものを肯定しているわけではありません。

 演技の上では、大根役者で暗い表情しかできない堀北真希に、口が悪い女刑事を務めさせてアラを隠しました。かつて「ギネ」という産婦人科物のドラマで、藤原紀香を演じさせるために取った手法です。大の大人が昔の女子高校生のような乱暴な喋り方をすると、なんとも情けない気分になってきます。

ドラマ中の「仕事ができる女性」はそのように描かれがちですが、ドラマで放送されると、なぜか現実世界でも既定事実になってしまいます。人間的に器が狭い女性が増えるきっかけになるので、やめてほしいものです。

「フラジャイル」
 医療関係者には大変不評だった、病理医ものです。私としては、仕事上で身につまされるような言葉「一発当てゲームやっているんじゃないんだから」が面白くありました。ドラマも周辺人物を主人公に吸えるかのような描写もあり、脚本家の技の存在を感じました。

一方で、主人公が「ガリレオ」における福山雅治演じる教授よろしく、人間味薄く失敗も悩みもない神様の存在になっていることが残念でした。マンガやマンガ原作ドラマはそのように描きがちです。ちょっと変な主人公の方が、主人公が引き立つためです。しかし、この作品を見てこの手法はもう卒業すべき手法だと感じました。主人公の人間味の薄さが、ドラマを壊しています。

いっそのこと、武井咲演じる女性を主人公にし、悩みながら成長するドラマにしたほうが何倍も良かったと思います。

「マネーの天使」
 吉本興業制作のドラマです。この時間帯のドラマは、ドラマ枠に数えないほどひどい作品が続いていましたが、このドラマは良かったです。

脚本としては平凡な要素を並べただけですが、ところどころに涙頂戴シーンが有り、お笑いもあり、最後は後期の太陽にほえろ!のように、さわやかな笑いで終わる感じが古典的で良かったです。

作品の進行もなかなか定石的で、これならもう少し予算をかけて「俺たちは天使だ!」のような作品に育てることも可能な印象でした。

この作品は、とにかくバランスの良さが際立っていました。次期作の「ドクターカー」も面白そうで、楽しみにしています。

「スミカスミレ」
 はじめは「45歳若返った」設定に戸惑いもありました。しかし、スミさん(松坂慶子演じる、老女の方の名前)の人柄の良さが光っていました。ドラマは人物設定が大切、ということを改めて認識しました。

ストーリーも、恋愛モノとしては物語的で、甘い感じはなかったです。少女漫画連載作品とのことですが、これなら男性でも楽しめそうです。これも「マネーの天使」同様、ストーリー展開が定石的で、奇をてらっていないところが特徴です。自然な展開や心理描写なので、見ていて引き込まれてしまうのです。

ちなみに、主人公の敵役を演じた「水沢エレナ」さん、デビューしたての頃の瀬戸朝香そのもので、この甘くない雰囲気にノックアウトでした。

まとめ
 今期は5作品も見ていました。月9は、自分でもよく見続けられたと思います。ここで思ったのですが、スミカスミレの最後を物悲しい終わり方にすると、この作品こそ「いつかきっとこの恋を思い出して泣いてしまう」の題名にぴったりだったのではないでしょうか??

ドラマは、人物設定と脚本、と何度も何度も書いておりますが、月9はこれを見失い、脚本家や監督が映像美に酔ってしまったのでしょうね。アイドル映画にありがちな雰囲気になってしまいました。予算と社運をかけてひどい作品になってしまうのですから、フジテレビの病気は重いです。それにしても、有村架純は作品に恵まれませんね。

深夜ドラマは、ハズレのなさが特徴になってきました。ドラマの基本に忠実な手法をとっているからこそ、こういう結果を産んでいるのかもしれません。

かつては「月曜日の9時になると街からOLの姿が消える」と言われました。もう20年も前の事なのですね。OA機器の進化でいわゆるOLは極端に数を減らし、女子短大は4年制大学になり、ギャルもいなくなりと、もう「都会の恋愛」も、「ウケルー、ワラエルー」も、過去のものになったのでしょう。作り手には、ますます「発信者としての、人間的深み」が求められていると思います。

文末に、たまたま先日ニュースヘッドラインに掲載されていた、脚本家の上原正三さんのインタビュー記事をリンクします。上原正三さんは主に東映系の作品で活躍されていました。ゲッターロボやグレンダイザーといった巨大ロボットもの、がんばれロボコンに戦隊もの、Gメン’75なども執筆されています。見る側に訴えかけてくるお話ばかりで、昨今の脚本とは一線を画していると思います。

脚本家は、効率よく学んではいけません。

ウルトラマン屈指の異色作 沖縄出身脚本家・上原正三さんが挑んだタブー
Posted at 2016/03/28 22:54:56 | コメント(0) | トラックバック(0) | テレビドラマ感想批評 | 音楽/映画/テレビ

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