今日から就職活動が解禁だそうですね。私は新卒の時に明確な将来像を掴んでおらず、色々な会社を受験しました。その中で、色々な業界の方(といっても、機械メーカー、化学メーカー、ソフトウェア(独立、金融)、ノンバンク、出版、卸売商社、小売、倉庫、広告代理、市場調査位かな?)とお話しをし、業界ごとの考え方や人物像の違いを学べたのは良いことでした。結果として、最初は卸売商社に入れていただいたのでした。
就職活動中の会社では、色々な説明を受けました。当時は景気が完全に悪化して「価格破壊」も一段落しており、次の時代が読みにくい時期でした。価格破壊の時期はコストダウンが叫ばれ、バブルの頃に追加された付加価値サービス(きれいな店舗や無料サービス、接客など)を削ったり、中間マージンをなくして消費者価格を下げることが命題になっていました。
その中でも、特定商品を安く販売する「カテゴリーキラー」と「卸売不要論」が声高に叫ばれていました。前者は、「酒の安売り店」や「パソコンや家電製品の安売り店」が急速に目立つようになりました。特に秋葉原では、「元祖安売りのソフマップ」と「5つのNOで店内で孤独を味わえるSTEP」の二大安売り店が目立っていました。
私が最初の会社に入社時だったか、あるいは卸売業者を受験した時だったかは忘れましたが、「卸売不要論」を否定する説明を受けました。
例えば家庭が食材を用意する場合、究極的には生産者と直接取引をすることが考えられます。家で必要なものといえば、「米・野菜」「魚」「肉」「お菓子」だと思うのですが、これらを12戸の家庭が揃える場合は、4業者が12戸に届けるために、48取引が必要になります。
「直販スーパー」がそれぞれの商品をまとめて仕入れ、12戸の人が近くのスーパーに行ってまとめ買いをすると、
4業者×3スーパー+12戸で、24取引に減らせます。
中間食品卸売商社があると、卸売商社は業者から仕入れ、スーパーにまとめて卸します。そのため、
4業者+3スーパー+12戸で、19取引に減らせます。
EC市場は基本的に直販体制です。近くの宅配業者が取りに行き、間こそ大型トラックで運びますが、商品ごとに戸別宅配をします。商品がまとまって宅配されることは希でしょうね。従って、これまでの「中間マージン」が「宅配業者の負担」に変わっただけです。
購入機会という問題もありますね。今、ある家庭が購入しようとしているものが、以下のものであるとします。
1.漁港でとれたて最高級刺身セット
2.シャンプーを詰め替えたので、予備の在庫用詰替シャンプー
3.半月後のジムカーナで良いタイムを出すための大型ターボチャージャーだけど、まだ腕が・・・。
4.今は冬だけど、業者が放出した昨年の夏服
1は、早く届けないと腐ってしまいますので、急ぐ必要があります。2は、いま注文しても数日中に届けば構いません。3は、腕が上がってからでも構いません。4は、遅くても夏までに届けば大丈夫です。
販売業者は、注文があればすぐに出荷します。宅配業者は保管倉庫はありませんので、それぞれすぐ届けたいと考えます。もしこれらの商品をECで注文せず、お店に行こうとするならば、それぞれ必要な時にその家庭の人が行けば良いだけです。
以上のことから、EC流通は「ちょっととれすぎた魚を特売」や「ちょっとキズモノの特価品」、「行き場のない倒産引受品」などの「部分取引」には向いているのですが、主流の取引とするのには無理があたのではないでしょうか?
ここ最近の、宅配業者とEC取引問題で、昔の話を思い出したのでした。
Posted at 2017/03/01 22:28:45 | |
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