
2020年春期のドラマが、いくつか放送され始めました。放送されていない作品もあり、一体どのようなサイクルで放送するのか、妙な楽しみもあります。
そんな中、TBS金曜日午後10時のドラマの放送が始まりました。「MIU404」です。予告編でもカローラアクシオ(E140)で追跡するシーンが出ており、刑事ものドラマと自動車好きの私としては、非常に楽しみにしておりました。
この作品は、主人公たちが所属する警視庁機動捜査隊の活躍を描くものです。この部署は事件の初動捜査を担い、所轄の警察署に捜査を引き継ぐ、という部署です。星野源演じる堅物の刑事と、綾部剛演じる足が速い現代っ子(?)の刑事のコンビが捜査を行うものです。「俺たちの勲章」の松田優作と中村雅俊のコンビもの、「大追跡」のお荷物部署ものの良いところを取り入れた設定です。
すでに放送は終了していますが、第一話は暴走する犯人の車両を抑止すべく、主人公たちが乗る覆面パトカー(カローラアクシオ E140型)をぶつけて止めるという、近年まれにみるカーアクションが取り入れられていました。その必然性については私はいくつか言いたいことはあるものの、総じて面白い第一話でした。
そして、二話、三話と放送されましたが、二話では主要な登場人物となる、子供を失っている老夫婦を主題のテーマの外に追いやり!、犯人の青年が過去に父親から受けたDVを描いてしまうという脚本の失態が見られました。
次の三話は、ついに違法ドラッグの使用でつぶされた高校陸上部員と刑事の鬼ごっこになるという、空っぽな脚本になってしまいました。二話で暗雲が立ち込め、三話で大雨といった状況で、この先が心配になって来た状況です。
この原因は、またぞろ脚本の野木亜紀子氏と演出の塚原あゆ子氏で固定したコンビを組んでいるからではないか、と推察しました。この二人は、「アンナチュラル」「逃げ恥」でスマッシュヒットとなった結果、実力以上に評価されているきらいがあります。
このコンビの特徴として、「登場人物の日常会話≒無駄話」が多すぎ、主題となるテーマに充当する時間が割を食ってしまうこと、「結末を描かず、「現代の若者の狂気(非常識)」や「ネット社会の闇」というもっともらしいことで片づけてしまう」ことが感じられます。「アンナチュラル」の時もそうでしたが、見終わった後の爽快感が得られないのです。
過去の刑事もの作品のうち、東映の「Gメン'75」は、視聴者に問いかける形でわざと話をパタッと終わらせた回はありました。しかし、この作品はそういう形でもないように感じるのです。
この作品は、古き良き刑事ものの特徴と面白さを想起させる設定ながら、脚本や演出の味わいのなさが台無しにしてしまっています。もっと練られた脚本は出来ないものなのでしょうかね?私は、原案脚本家は固定だったとしても、各回脚本家は別々だったり、演出も別々の人がした方が、互いに競ってよい作品ができると思います。
追伸
このブログのタイトル写真は、第一話劇中クライマックスのカーアクションシーンです。左の車はそれまで「E140型カローラアクシオ」だったのですが、この瞬間のみテールランプとリヤバンパー形状が異なります。CGで描かれた車なのでしょうか?まあ、確かに車の動きは実写のものと比較すると、不自然でした。
Posted at 2020/07/14 22:11:04 | |
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