2020年07月15日
2020年の春期は、コロナウィルスによる様々な影響により、各局のテレビドラマは大きな影響を受けています。撮影できなかったり、撮影が途中で止まったりと、最終回まで継続的ない判断から、放送開始が送らされたり中断されたり取りやめになっていたりします。
そんな状況下で選択をするも何もありませんが、作品について見始めの寸評を書きます。
月曜22時 4/20 『行列の女神 ~ラーメン才遊記~』 テレビ東京
この作品に限らず、この時間帯の作品は放送開始時にはすでに撮影が終了している模様です。放送中に視聴率が悪化した際に対策出来ない問題はありますが、放送回数を少なめにすることで被害も減らしているようです。
この時間枠は、これまで半ば無理やり経済の要素を入れ込んでいましたが、この作品はその例に倣いませんでした。
主人公たちのラーメンコンサルタント会社を通じ、繁盛するラーメン店のポイントや味設定の妙味を伝えるところに、面白みを持ってきたようです。
まあ、面白くないこともなかったのですが、なんだか二十数年前の1990年代末期のフジテレビお仕事ドラマを見ているような気分になりました。さもありなん、製作会社がフジテレビと密な関係にある共同テレビ、脚本家は古家和尚という、これまたフジテレビとの関係が深かった方でした。
全体的に古さを感じる作品でしたが、この時間枠の作品の中ではバランスが良く、楽しめた作品でした。
火曜22時 7/7 『私の家政夫ナギサさん』 TBS
この時間枠特有の、「ちょっと変わった社員もの」ドラマです。製薬会社で営業職を務める女性(多部未華子)と、その妹が姉のために付けた家政婦である、ナギサさんとの心の触れ合いを描くドラマの様です。
「家政婦は見た」「家政婦のミタ」「家政婦のミタゾノ」と家政婦物が続きますが、この家政婦は相手に寄り添う心の優しさを感じさせます。ちょうど、「私のおじさん(WATAOJI)」にも似た雰囲気です。その家政婦が、主人公の心を和ませ、人柄を変えていく物語になるのでしょうか?
それにしても、「田舎の深窓女」といった雰囲気だった多部未華子がキャリアウーマンを演じ、男性が働く女性の心を支えるとは、時代も変わったものです。
水曜22時 6/17 『ハケンの品格』 日本テレビ
2007年のパート1に続くパート2です。パート1と同様に、あらゆる分野について才能を持つスーパー派遣社員の主人公が、会社や社員のピンチを救う作品です。
パート1もそうでしたが、番組スポンサーに人材派遣会社がついており、「この番組で派遣社員を格好良いと思って、ぜひ登録してください。」という狙いが隠されています。作品の根底には、「正社員は能力がなく、派遣社員が会社を盛り立てている」という思想があるのです。
ストーリーは、第一話はいささか荒唐無稽で、主人公がチェーンソーをもって会議室のドアを突破、仲間を救う風景が描かれます。また、主人公が海外のお客さんを接待する際に、七輪で干物を焼いて感動させます。
どうも、全体的に作風が古くなってしまっているように感じます。パート1の頃は、「ガリレオ」などに代表される、「奇人変人の天才」が大活躍する作品が流行っていました。今でもそんな作風の作品が残っていないこともないのですが、古くて古くて見ているのがつらいです。
また、舞台となっている「S&F」という食品メーカー?商社?も、2020年というよりは2000年の会社の様な印象です。およそ現代人とは思えないようなパワハラ失礼発言をする部長など、これまた現代のものとは思えないのです。
おまけですが、主人公を演じる篠原涼子、きれいだとは思うのですが、加齢による衰えが見られること、変人さを演出するための服装の変さ加減から、「痛々しいおばさん」に見えてしまうのも難点です。
十数年の時の流れを感じさせていることが、いまひとつこの作品が振るわない原因ではないか、と思います。
木曜20時 4/9 『警視庁 捜査一課長2020』 テレビ朝日
木曜21時 6/18 『BG 身辺警護人』 テレビ朝日
ともにテレビ朝日の「完成されたことになっている作品」故、見ません。
木曜23時59分 4/2 『ギルティ この恋は罪ですか?』 日本テレビ
登場人物たちの愛憎と裏切りを描いたドラマです。3話を放送した時点で中断されてしまい、物語の緊張感が失われてしまいました。しいて言えば、高校生の際に同級生だった男女登場人物が、互いに結婚していながら相手を名字で呼び捨てにする様子、フランク感やフェロー感を出そうとしているのでしょうが、ちょっと幼稚で気持ち悪いです。
金曜22時 6/26 『MIU404』 TBS
昨日のブログをご覧ください。
金曜23時15分 4/24 『家政夫のミタゾノ』 テレビ朝日
安定した面白さではあるのですが、いささかそのパワーが落ちてきたように感じます。前シリーズまでは、結末で心和ませる描写で終わっていたのですが、今期の作品はちょっと歯切れが悪いです。ミタゾノさんの傍観者度がより高まり、ストーリーにほとんど寄与していないような、エンディングがすっきりしない、というか、脚本の練りが感じられません。
面白いシリーズだけに、次シリーズ、いや、今シリーズでもこれからの奮起を期待しています。
土曜22時 6/27 『未満警察 ミッドナイトランナー』 日本テレビ
この作品はひどいひどい。韓国ドラマが原作なので、心理描写が浅いこと、脚本家が十数年前の「ブラッディマンディ」などの、荒唐無稽ネット犯罪系ドラマの脚本化だけに、ストーリーが薄めです。加えて韓国ドラマお得意の、「突然事態が急変して、」という展開が多すぎて、展開が雑に感じられます。当然、1話のみで挫折しています。
以前も書きましたが、日本テレビのドラマが古く、しかも幼児性を感じさせるようになってしまっています。日曜日22時枠をやめて、この時間帯の作品に注力してはいかがでしょうか。
土曜23時15分 4/18 『M 愛すべき人がいて』 テレビ朝日
無事見終わりました。物語は、2000年末で終わっています。どうやら、2001年初から浜崎あゆみはセルフプロデュースになったようです。これで私が当時、2000年をもって、浜崎あゆみの曲をあまり聞かなくなった原因がわかりました。「evolution」以降、一部の曲を除いて繊細さが失われてしまっていたのでした。
ドラマそのものは、深夜枠、かつ、インターネット放送会社共同制作ならではの、クオリティの低さを感じさせるものでした。また、松浦正人役の登場人物のセリフの単調さが、安っぽさに輪をかけます。
ピンチになると
「ぜってー負けねー!」
勝つことが見えてくると、
「やってやるぜ!」
勝つと
「オッシャー」
ですから、青少年向け漫画雑誌の主人公の様な幼稚なセリフが続きます。加えて、やたらと机や壁をバンバンたたきます。「こんな安っぽい人たちの口に食べ物を入れるために、私たちはCDを買っていたのか。」と思うと、もう音楽を聴くのをやめよう、とすら思えてきます。
これから放送が始まる作品も、多数ある模様です。そうなると、実質夏期ドラマとして製作されることになるのでしょう。では、春期のうちに放送を開始した作品は、放送期間を短縮?延長?この先の時期割り振りも気になるのでした。
それにしても、アマゾンプライムなどには、魅力的な旧作(何と、「五番目の刑事」すら、全話配信されている模様です。)があることに多くの人が気づいてしまい、夏期以降は各作品のさらなる苦戦が見込まれます。対策は一つ、「脚本と演出の改善」以外にありません。脚本家は、過去の作品をも仮想ライバルと考え、重厚な作品を作ってください。
Posted at 2020/07/16 00:14:56 | |
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