昨年末頃に、クロネコヤマトが電動駆動トラックを導入するとの報道を見ました。国内の自動車メーカーが製造する車ではなく、ドイツのDHLグループのストリートスクーターという会社と共同で開発したトラックとのことです。
これまで、国内のトラックメーカーは大手物流会社向け仕様車を設定していました。「日通仕様」や「西濃運輸仕様」といった具合です。その最たる例は、トヨタの「クイックデリバリー」でした。宅配業務の必要事項を徹底的に調べ、専用ボデーで製造した車でした。
ところが、ここへきてトラックの事情が変わってきていました。ディーゼルエンジンのPM規制です。そのため、2004年頃からディーゼルトラックは排気ガス中の煤を捕集し、排気ガスの温度を上げて時々燃焼させるDPFを搭載するようになりました。DPFが宅配運送との相性が悪かったと考えられます。宅配ゆえの低速運転であるために、排気ガスの温度が上昇せず、常にドライバーに手動再生(すすの強制燃焼)が要求され、そのDPFも早期に灰が詰まって清掃や交換を要求されるというものです。
運輸業者にとって、車をメンテナンスで休ませること大変なコストです。整備料金の増大だけでなく、車の運行管理が煩雑化、さらに休車中の予備車を所有しなければならず、収益に大きく影響します。そこで、メンテナンスコストが低くなる可能性が高い電動駆動車の採用となったのではないか、と思います。
それにしても、報道からは
「企業イメージのために数台導入して飾っておく」
「実験的に各営業所に1台ずつ配置」
程度だと思っていましたら、こんなローカルな地域の車両をすべて置き換える有様です。それにしても、ここのところクイックデリバリータイプが減少し、2t積のエルフやダイナ/トヨエースが増えていることが気になっていました。耐久性に疑問があるキャンターの無配置はわかりますが、とうとう国産車の排除ともなり、今後の動向が気になります。
それにしてもこの車、見たときには「マツダ クラフト」(写真上部左端)を思わせるセミキャブオーバースタイルだと思っていましたが、こうして比較するとかなり形が違っています。もちろん、「トヨタ トヨエース」(写真上部中央左)とも、「いすゞ フォワード」(写真上部中央右)ともイメージが異なります。むしろ、二代目「トヨタ bB」に似ています。シャープな顔立ちに、「この顔立ちのミニバンやSUVが欲しい」という声が上がりそうな予感がしました。
Posted at 2020/07/22 21:38:37 | |
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