
今年のお正月は、コロナウィルス感染防止のために、親戚との行き来はもちろん、初詣や初売りに行くことすらやめることにしていました。そのため余裕時間が発生したために、年末に購入していた「間違いだらけのクルマ選び 2021年度版」をこの日に読んでしまいました。
すでに前著者の徳大寺有恒氏は鬼籍に入られ、二代目著者の島下泰久氏に変わって何年もたちました。かつてはクルマ選び指南本として存在していたこの本の役割は、インターネットの車サイトなどに譲っていると著者も語っており、この本は「じっくりと「その年のクルマ選びを考える前に読む」本である」としています。
昨年度版までは、内容は自動運転や運転支援装置が中心でした。今年度版の中では、自動運転は遠からず実現されるであろうものとして、また、運転支援装置は搭載されていて当然のものとして扱われており、話題の中心ではなくなっています。主な内容は、
「新しい時代の高級車像とは何か」
「2020年代の人々の生活に合ったクルマとは何か」
となっており、人と車との関係性を問うものになっていました。2020年を語る上で、実に重要な項目になっています。
この時期に「何か良い感じの車はないかな?」という姿勢で車を選ぶということは、当然SUVがその中心になってくるとしています。私自身は全く興味がわかないジャンルの車ですが、仮にもう一台車を増やす、ということになれば、トヨタ86やスイフトスポーツよりも、SUVを考えるかもしれません。
セダン離れについても言及されており、その他、迷走するホンダや勢いが低下してきたダイハツ、復活の兆候が見られたかもしれない日産、などと、総論も書かれています。
ただし、前著者の途中の頃からの傾向で、軽自動車の記事があっさりしすぎ、高級・高価格車に力が入れられてしまっているのが、実際の販売台数規模とは乖離してしまっており、指南本としても記録本としても少々残念です。
反面、緊急事態宣言や外出抑制などから、市民生活の動向については言及したくとも多くを書けない状況にもなっており、後年、2020年を振り返る際に必要な「その時代の空気観」はかろうじて書かれています。
この「間違いだらけ」シリーズは、最新刊のうちに読んでも良いですし、数年たってから読み返しても、良い近代史の材料となります。私の家には初代刊からすべての年度版がそろっており、そろそろ物理的な専有面積が課題になってきています。「これからの本は電子版だな」と思いつつ、書籍版を購入してしまいました。ぜひ、発売元は過去の年度版を電子版で発売してほしいものです。
お正月にこの本を読み、2020年を良い形で振り返ることが出来ました。
Posted at 2021/01/05 00:21:44 | |
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