2020年夏、秋のドラマ感想を書く前に、冬期のドラマが始まってしまいました。そのトップを切ったのは、フジテレビ「知ってるワイフ」です。
企業体とは面白いもので、年数が経過して働いている人がトコロテン式に入れ替わっても、製品などの雰囲気は変わらないものです。テレビ局についても同じで、テレビ局で働いている人や委託先の製作会社が変わっても、作風は同じ傾向が見られます。
この「知ってるワイフ」は、のっけから夫婦喧嘩で始まります。無神経な行動や言動が発生し、アスペルガー気味の男性(大倉忠義)と、カッとなりやすいADHD寄り性格の女性(広瀬アリス)が主人公です。男性はそのアスペルガー要素により、女性や同じ職場の人とイライラさせています。女性の方は、すぐにキーキーとキチガイのように喚き散らし、いわゆる「鬼嫁」として描かれています。
真の主人公は男性側に置かれており、その男性が所々でタイムスリップ、過去を変えては現代の生活を変えていく物語の様です。おおむね同様のストーリーは、14年前に「プロポーズ大作戦」で描かれています。生活感ある描写ゆえ、今回の方が詰まらないのでした。
そのタイムスリップにより互いの本当の性格を見直し、最終回では「一緒に生きていこう」となるのは明らかです。幸い、お互い独身だった過去を中心に描くようなので、広瀬アリス演じる女性のキーキーに視聴者である私が悩まされることもなさそうですし、他人の家庭をのぞき見しているような罪悪感も緩和されます。
それにしても、「プロポーズ大作戦」と「鬼嫁日記」と「世にも不思議な物語」を組み合わせた作品となっており、チャンネルを確認しなくてもフジテレビの作品であることがわかります。フジテレビのドラマに登場する女性は、エキセントリックですぐに喚き散らし、男性に対してオーバーライドする行動をとる傾向にあります。もちろん実在の人物ではありませんので、「こういう女性って面白いでしょ?」と制作者が思っているからこそ登場するのです。
実際のところでは、アスペルガーとADHDの人が一緒にいられる時間は短いことでしょう。すなわち、知り合っても結婚に至ること自体がないのです。そこがでたらめな設定なので、「タイムスリップをしてやり直す」と言われても、実感がわかないのが実情です。
このような、セリフ回しで面白がらせるドラマはもうやめてほしいものです。エキセントリックなセリフ回しで視聴者が面白がるのは、せいぜい2話までのことです。早々に主人公が対処する複数の中間的な目標(例えば、学生生活中に不幸にして亡くなってしまった人を救うなど)を定め、主人公の行動の正当性を示し、視聴者が主人公に感情移入できる要素をつくる必要があります。
まあ、広瀬アリスのキーキーに耐えられなくなったり、ストーリー展開に飽きたり、中間目標が定められなかった場合は挫折することでしょう。
Posted at 2021/01/11 20:31:15 | |
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