
すでに各局のテレビドラマが始まっており、もう何作品か始まります。この作品は、「学校の保安のために警察官が配置された制度」があるものとして、展開しています。主人公は、藤原竜也演じる「嶋田隆平」が、警視庁捜査一課の刑事から赤嶺中学校へと配属されたところから始まります。
この作品と同種の、何らかの大人が学校の秩序を守るドラマは、これまでもありました。
1985年には、故横山やすし主演の「ビッグマグナム黒岩先生」なる作品がありました。文部省(当時)から拳銃の所持を許可された教師が、暴力に荒れる学校に平和を取り戻す物語でした。設定と題名は興味をそそられましたが、中身はからっきしでした。
2007年頃には、内山理名版「生徒諸君」がありました。教室内に巣食ういじめ集団と対峙していくのですが、内山理名のテンションのみが高い演技に、周囲も視聴者も置いて行かれるのでした。
2013年頃には、榮倉奈々他主演で、「黒の女教師」という作品がありました。主人公を含む窓際教師3人が、学校内の各種の悪を退治する物語です。基本フォーマットを「必殺仕事人」に置いているようで、物語が単純な上にコメディ調になってしまっていました。主人公が悪を裁く際の決め台詞「だまらっしゃい!」には、その単純さを物語っていました。
そしてこの作品は、「今のところフィクションの設定ながら、もしかしたらありそうな状況」を実現しています。嶋田隆平は、校長や教員とは別組織として行動し、校内で暴力をふるう生徒に容赦なく手錠をかけて逮捕します。各種の問題は単なる逮捕で解決せず、何か裏があるかのような信念で、最終的に事件解決へと導くのです。また、学校には各話で描かれる諸問題の他、1年前に音楽の先生が死んだ事件が隠されています。事件の描写、主人公にもたらされる行動の正当性など、ドラマとしてのバランスが良い作りです。
各回の展開はもちろんのこと、音楽の先生死亡事件と学校の闇に、私は引き込まれていくのでした。
この、火曜日午後9時の「関テレ」時間帯は、これまでずっと
「あっ、この瞬間が関テレだね」
や
「安定の関テレ品質」
と、稚拙だったり妙に映画かぶれだったりする作風を、酷評し続けてきました。どこがどう変わったのか、この設定や物語展開の面白さは、今後の関テレにも期待してしまいます。
それにしても、今回の主人公は、校内で警察官の制服を着用しています。スクールポリスであることを示し、抑止力の象徴として着用しているのでしょうが、「ビッグマグナム黒岩先生」的に、拳銃を構える劇も見せてほしいものです、なお、第一話では警棒を用いたアクションが描かれていました。
学園ものドラマというと、「金八先生」や「熱中時代」のように、先生が全力で生徒を守り、生徒のためなら命を捨ててもかまわないかのような行動に出るものが代表的でした。しかし、現実にはそんな先生はいませんし、仮にいても卒業後のことは考えませんし、先生にも家族がいるものです。
特に「金八先生パート2」では、放送室に立てこもる「加藤」を警察から守ろうとする金八先生のシーンを名シーンとして取り扱っていました。しかし、当時視聴していた側からいえば、「甘えているだけの不良の方を持つ、感情任せの武田鉄矢」でしかなかったものです。
当時、金八先生に反対するテレビ番組は多く、同テレビ局・異制作会社の「Gメン’75」では、殴りかかってくる不良学生を暴力で押さえつける刑事(若林豪)を描いた回がありました。
また、「太陽にほえろ!」でも、不良学生を容赦なく殴るトシさん(地井武男)の回もありました。
すなわち、多くの人は金八先生を「テレビだから言えるだけ」と、視聴率の高さとは異なる評価をしていたのでした。
そしてこの「青のスクールポリス」ですが、フィクションとして終わらせるのではなく、各学校に警察官を配置することを検討してほしいと感じさせる内容になっていました。
Posted at 2021/01/19 23:29:19 | |
トラックバック(0) |
テレビドラマ感想批評 | 音楽/映画/テレビ