2021年10月31日
私は学生の頃、大人(働いて収入を得ている人)は、どんな分野でも「自学自習でプロになる」ものだと思っていました。しかし、実際には実務者と研究者の間で教育が行われ、実務者はレベルアップを、研究者は実務者に必要な教育を検討する、ということが行われていることを知りました。機械や手法は、どんどんレベルアップしますので、当然のことですね。
しかし歴史を紐解くと、昔の「社会人教育」はおよそ理論からかけ離れた、宗教的修行をそのまま持ってきたような方法であることがわかってきました。宗教にもいろいろあり、始めた人の思想はいろいろです。滝行、断食、火の上歩き、山歩きなど、多種多様です。それはその宗教を信仰する方の自由です。しかし、社員教育として有効であったかどうかは、甚だ疑問です。
そして今回、1969年に放送されたテレビドラマ「009ノ1」を見ていたら、23:30に当時の社員教育の方法が出ていました。
この映像では中堅社員?をお寺に集め、寒い中ノースリーブと半ズボンで「ワッショイ」とランニング、そして寺の中で座禅を組むというものです。こんな社員研修があったことは、1990年頃にも聞いたことがあります。
まあ、疲れますので何かした気分にはなりますし、座禅と、恐らく粗食にもなるでしょうから、肉体的、精神的苦痛は感じることでしょう。食事も一括調理でしょうから、「同じ釜の飯」となるでしょうね。そして研修が終わった後、ある種の達成感は得られるでしょうから、泣いたりする方がいるかもしれません。でも、僧侶を目指している人以外は、業務上の訓練にはならないですよね。
この種の訓練法は、1983年頃から「ラグビーなどの団体球技」などに形を変えたり、聞いたところでは「演劇やこれに伴う訓練や事業計画、チケット販売」などや「自衛隊で匍匐前進など」を取り入れた会社もあったのだとか。でも、最近この種の話は、全く聞かなくなりました。
おそらく、色々労働について研究が進んだ結果、この種の肉体訓練は効果が低いことが分かったのでしょう。私なら、もっと業務に近い内容のことを指導することでしょう。
当時の人は大真面目にしていたのですし、まさか、「社員を全員ダメにしてやろう」と思ってこの教育法をとっていたのではないでしょうが、昭和時代と言うのは、「理論に基づかない「なんとなく」な方法」や「稚拙な研究に伴う結果」が、特に科学技術以外の分野で多数展開されていたものです。あなたの周りに、この種の古い理論がそのまま伝承されていたりしませんか?
余談
座禅のシーンに、当時の「奈美悦子」さんが出ています。1960年代後半らしい、「魔女っ子アニメ」の主役のようなビビッドなワンピースと、茶髪のストレートで、たびたびリバイバルされるスタイルです。1970年になると公害問題が取りざたされるようになってアースカラーが入ってきたり、ヒッピーの要素が入ってきて装飾過多になったりするので、現代の目で見ると少し旧くなっていきます。一方で、デニムやショートパンツも取り入れられていきます。
余談2
末尾の予告で、「昭和元禄」という言葉が出てきます。確かに1969年は昭和元禄で「好景気万歳」という雰囲気だったそうです。しかし、上にも書いた通り、公害問題がひどくなって「景気よりもきれいな空気や水を」という声が出てきたり、「人間による開発という名の行為はおごりではないか」という哲学的な問題が出てきたり、大学生の学生運動が悪い形で高校生に伝播、のちの不良高校生の遠い原因になったりします。景気の上では、1971年のニクソンショックで後退するので、まさしくこの1969年末は、好景気の最高の状態だったようです。
Posted at 2021/10/31 23:09:19 | |
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