2022年12月30日
10月から12月中旬にかけて、仕事とテレビドラマ鑑賞に忙しく過ごしていました。そのため、ブログも整備記録もパーツインプレッションも、全く書けなかったのです。私自身や身近な人が、病気やケガを負ったりはしておりません。
放送筋の方々には評判が高かったらしい秋期ドラマですが、私の評価が高かったのは中盤まででした。
月曜日
フジテレビ21時 PICU 小児集中治療室
以前放送されていた、「監察医朝顔」のスタッフが製作した作品とのことです。北海道を舞台に、小児救命救急に携わる登場人物たちを描くドラマです。
「監察医~」よりもドラマとしての主軸ははっきりとしており、患者と医師にかかわるストーリーになっています。特に中盤、心臓移植を待つ男の子とクラスメイトの心の通い合いに関する物語は、昭和の学園ものドラマ風の仕上がりでした。クライマックスに、男の子を応援するために男の子が乗るバスの外から、声をかけるシーンは胸を打ちました。
とはいえ、問題点もあります。まず、「監察医~」譲りの物語の緩さです。登場人物の日常を描こうとはしているのですが、各回の物語の主軸をは必ずしも関係ないシーンがあることです。
中でも、大竹しのぶ演じる主人公の母がすい臓がんで死去するのですが、主人公に大きな影響があったとまでは言えない程度の要素でした。それならすい臓がんが治るか、そもそも病気をしない設定の方が良いと感じます。
また、患者が子供ですと、そもそもそれまで生きてきた期間が短いものですから、患者側の物語が薄くならざるを得ません。結局、物語の途中から患者側の描写は少なくなり、患者子供の存在感は小道具と同じくらいになってしまいました。
医療ものドラマとしては話が薄く、もう少し物語の厚みを増してほしかったです。
フジテレビ22時 エルピス—希望、あるいは災い—
この作品に対して、「骨太なサスペンス」という評価がありますが、私はそうは評価していません。
そもそも、主軸となる事件である少女誘拐殺害事件の描写が少なく、「それらを報道するテレビ局内の力争い」になってしまい、緊迫感が欠けていました。それらを描いても良かったのですが、せいぜい2話程度にして「局内圧力回避シリーズ」として、小さくまとめた方が良いです。
また、登場人物をやたらと多くするのですが、こちらも「物語の主軸と必ずしも関係ない人」がいて、物語の軸がはっきりと伝わってこないのです。具体的には、「鈴木亮平」と「主人公の母親」ですね。私は、テレビ局員が独自に操作をする「亜種刑事もの」とすればよかったと思います。
さらに、「1話、2話の主人公嘔吐シーン」は不愉快なだけで不要ですし、長澤まさみ演じる主人公も、ギャーギャーわめくだけで、うるさくてね。
何とか見終えられたものの、「一体何を描きたかったのか」よくわからない作品でした。
火曜日
TBS22時 君の花になる君の花になる
本田翼演じる、男性アイドル宿舎の寮母が、あれこれ騒ぎに巻き込まれる話でした。率直に言って、安直なスマホゲームの設定そのままで、本田翼の演技ともども「見ているこっちが恥ずかしくなるドラマ」でした。
当然、1話の10分程度で挫折しました。
水曜日
日本テレビ22時 ファーストペンギン!
漁港を舞台にした、事実を題材にしたドラマだそうです。演技も設定も見ていて全く引き込まれず、こちらも10分間で挫折しました。「働く女性ものドラマ」の時間帯の作品ですが、そろそろ題材に困っているのかもしれません。
フジテレビ22時 親愛なる僕へ殺意をこめて
上記の「ファーストペンギン」が面白く感じられなかったため、こちらを見ようとしましたが、こちらはさらに心に響きませんでした。何だか古臭さを感じたような気がしますが、それだけ心に響かなかったのでしょう。時間が空いたからと言って、何でもよいからドラマを見るほど、私は暇ではありません。当然、挫折しました。
木曜日
テレビ朝日21時 ザ・トラベルナース
題名から推して、1話完結で各地に派遣されるナースものドラマのようですが、すぐに挫折しました。テレビ朝日のドラマ作品全体が、15年位前の「所々ギャグを入れる」古い作風になっており、この作品でも鼻についてしまったためです。
フジテレビ22時 silent
方々で傑作扱いになっています。私も、3話くらいまでは「丁寧な人物描写と心情描写」と、評価していました。しかしその後、物語がほとんど進んでいないことに気づきました。結果として、2007年頃に流行した「ケータイ小説原作ドラマ」と同じ作りだとわかり、一気に気持ちが醒めてしまいました。
すなわち、場面全体が特に変化せず、主力登場人物があれこれ話をするだけの作品なのです。もちろん、耳や発声が不自由な方への理解をさらに深めた効果はあったかもしれませんが、物語誌が進まないのは大変厳しいです。私は見続けるうちに、飽きてきてしまいました。
Z世代に人気だったとのことですが、Z世代が「過去のドラマと比較して、この作品が面白い」と言ったわけではありませんので、「ドラマ素人に受ける作品」でしかないと思うのです。主人公も、今どきCD販売店ですし、特に成長することなく「二人でいれば幸せ」と感じるだけの物語でしたから、Z世代がこういうドラマに傾倒してしまうのは、ちょっと将来が心配です。
何度か言っていますが、「マカロニやジーパンやテキサスが30歳にもならずに死んでいったのは、警察官としての誇りのためではなかったのか。」という、太陽にほえろ!300話「男たちの詩」のセリフを考えると、このsilentの登場人物たちは、エゴでしかないと思います。
金曜日
テレビ東京 20時 記憶捜査記憶捜査3
この時間帯のテレビ東京製作ドラマとしてはましな方のドラマだったのですが、近頃は「引き込まれる描写」がなく、飽きてしまいました。事実上の予選落ちです。
TBS 22時 クロサギ
2006年に山下智久主演で製作された作品の、登場人物入れ替え版です。主人公が詐欺師を鮮やかにだますストーリーです。2006年にはなかなか面白い作品だったのですが、今見るとずいぶんとチープな作品に感じられました。心理描写も稚拙、設定も稚拙、シリーズ構成も稚拙となり、視聴者が見えない作品になってしまっていました。
2006年当時は、「今の若者はロールプレイングゲームに慣れており、ドラマも「弱い敵を倒し、経験を積んだらラストボスに挑む」という作風にする」とされていた時代です。この作品もそれに倣っていましたが、当時の論はもはや通じないといったところでしょうか。最終回まで見ましたが、何だか伝わるものがない作品でした。
テレビ朝日 23時15分 最初はパー最初はパー
進められて視聴を始めたのですが、作中の題材として取り扱われている「お笑い」が、私に合いませんでした。お笑いの人が苦労していることは伝わってきたのですが、物語にする必要性などが伝わってこないのです。1話で挫折しました。
土曜日
日本テレビ 22時 祈りのカルテ~研修医の謎解き診察記録~
フジテレビで画像を見ることで解決する、一種のコスト削減系医療ものがありましたが、この作品もその亜流かと思いました。が、実際は亜流以下で、ほとんど登場人物の他愛もないセリフのやり取りが中心の医療ものドラマでした。2話目の10分経過程度で挫折しました。この作品も、「ナースのお仕事3以降」の影響を受けすぎて、スチャラカで作風の古さを感じました。
フジテレビ 23時40分 最高のオバハン 中島ハルコ2
シリーズ1も1話目の10分間程度で挫折しましたが、今回も同じでした。変人の主人公が周囲の問題を裁くかのようなドラマだったと思います。変人の主人公というのが、どうにも心に浸みないのです。
日曜日
NHK 20時 鎌倉殿の13人
個人的に興味がある時代でしたので、見続けました。当初はコミカルなシーンが余計だと感じましたが、シリアスさが増した中盤からは、非常に楽しめました。しかし、歴史が原作ですから、他のドラマ、特にオリジナルドラマと並べて評価することはできません。
TBS 21時 アトムの童
テレビゲームを題材にすると聞き、どんな作品に仕上がるのか疑問に思っていました。というのも、1982年頃に放送されたアニメ版「ゲームセンターあらし」が、マンガと違って散々な結果であったためです。
結論としては、やはりゲームセンターあらしの轍を踏んだと判断しました。ゲームはゲーム自体を楽しむもので、底にまつわる人の情景を描くのには向かないのですよね。同じ理由で、マンガ家や小説家、テレビ番組スタッフを描いたものも同じです。たとえて言うなら、「写真を撮影する人を撮影すること」のようなものです。どうしても、二次作品的になってしまいます。
視聴率も振るわず、途中でテコ入れがあったようです。この時間帯の作品のお得意、「銀行」や「TOB」を題材とした作品に路線転換しました。このように経済的な話題を盛り込むと、中年男性などが「仕事をしたり社会を学んだ気分」になるために、一定の視聴率が取れるからでしょう。しかし、物語は迷走することとなり、何だかわからないままに終了してしまったような印象です。
日本テレビ 22時30分 霊媒探偵・城塚翡翠
このドラマに出演している「清原果耶」という方、どうにも印象が定まりません。同じ時期に、「清野」とかいう苗字の方も出てきましたし、ともに特徴と言えるほどの特徴がないルックスであることも、印象が定まらない点だと思います。
物語はインターネットニュースなどでも報道された通り、シリーズ途中でいきなり題名が変更され、迷走ぶりがうかがえます。初期は黒岩勉さんとかいう、物語の主軸を描けない方が脚本を務めており、おそらくその点で原作者と確執が生じたのでしょう。
しかし、後半になっても面白くなったとは言えませんでした。私は後半のうちのある1回、10分間程度を視聴したのですが、これまた古さを感じる作品でした。「都市伝説の女」や「掟上今日子」、「お天気お姉さん」など、不思議ちゃん女子が持ち前のカンで犯罪捜査をする物語であり、この辺も10年前の作品の雰囲気が漂っていました。これでは、人気は出ません。もう、「不思議ちゃん」の時代ではありませんよ。
この時間帯の日本テレビのドラマはどういうわけか作りが幼稚で、その辺が若い人たちに「媚」と感じられるのでしょう。
おまけ
silentの最終回の前に、「終着駅シリーズ」の最終回が放送されました。東映らしい重厚なストーリーで、犯人役を演じた美村美里(旧芸名:ミムラ)の不幸な境遇と犯行シーンに心を奪われ、さらに片岡鶴太郎演じる主人公の、妻役だった岡江久美子さんへのことがが心に染み入りました。ドラマというのは、こういう作品のことをいうのだと、改めて感じました。
まとめ
どこの局もスポンサー対策として「Z世代研究」をし、それに忍び寄るコンサルタントもいます。最近、Z世代が1.5倍速視聴をしているということが新聞にも掲載されましたが、「Z世代は国語力に劣るので、ゆっくりと描写することが良い」と、コンサルタントが言っているのかもしれません。
本当に話の進みが遅く、私はイライラしてきます。特に、「PICU」や「silent」にその傾向がよく表れていました。話の進みをゆっくりとし、視聴者に1.5倍速視聴をさせると、話の正味の量が少なくて済むのですよね。現在のドラマシリーズは9話程度ですが、実質4話くらいで描けそうなことをチンタラと9話で描けば、2倍に薄めたのと同じことです。
まだまだ年齢が若いZ世代が、ドラマの面白さを知るはずがありません。そんなZ世代には、媚びるのではなく、面白さを伝える作品を提供していかなければなりません。
どうやらテレビ局は、「silentショック」とやらで、あのうすーい内容の作品に続こうとしているようですが、あんな手法2度も3度も使えるものではありません。オリジナルな作品で、面白さを開拓していきましょう。
Posted at 2022/12/31 00:21:48 | |
トラックバック(0) |
テレビドラマ感想批評 | 音楽/映画/テレビ